こんにちは。深沢真太郎です。
ビジネスパーソンを数と論理に強くする「ビジネス数学」を提唱する、教育コンサルタントです。
今回は生活に役立つ数的思考のお話を。
■いつものバナナと特売バナナ
つい先日、近所のスーパーマーケットに立ち寄ったときのこと。
果物コーナーのいつもの場所にいつものバナナが5本で300円という価格で販売されていました。
ところが、この日は別のスペースに特売エリアが設置されており、そこで別のバナナが20本セット1,000円で販売されていたのです。
バナナ好きの私としては、とても魅力的なオファーです(笑)。
もしあなたなら、どちらを購入しますか?
ちょっと数字で考えてみると、このようなロジックがつくれますね。
いつものバナナ:300円÷5本=60円(1本あたり)
特売のバナナ:1,000円÷20本=50円(1本あたり)
そうです。1本あたりの価格に換算すれば、特売のほうがお得となります。
つまり、どちらが効率的にバナナを手に入れられるかという観点で考えれば、特売セットを選ぶべきです。
しかし、私がこのとき選んだのは……?
いつものバナナ(300円)でした。
いったいなぜだと思いますか。その答えは、極めてシンプルな思考によるものです。
「そんなに必要ないから」
バナナはとても痛みやすい果物です。20本すべて食べるためには、1週間から2週間はかかってしまうでしょう。もしかしたら、食べきれずに捨ててしまうなんてことになるかも……?
あくまで個人の主観ですが、私の中では「痛んで黒ずんだバナナ」ほど不味そうに見える果物はないのです(苦笑)。
■賢い人は特売品を買わない!
そろそろ本題に入りましょう。このエピソードを通じて申し上げたいのは、こういうことです。
賢い人は、必要だからお金を払う。
賢くない人は、目先の効率でお金を払う。
モノを売る側は、少しでも「お得」に思わせようと必死です。
でも、買い物の本質は「必要なものを手に入れる」のはずです。必要ないものまで購入してしまう行為は、あまり賢いとはいえません。
これは、ビジネスセンスにも通じる話です。
たとえば、マーケティングリサーチのサンプル数。
たしかに、多ければ多いほどリサーチの精度は高くなる気もするけど……。
でも、そもそもざっくり傾向が把握できればいいのなら、サンプル数はそんなに必要?
たとえば、採用の人数。
正社員1人よりもアルバイトを3人雇ったほうが費用は安く済むけど…
でも、そもそも誰かを雇う必要ある? いまのメンバーで工夫して仕事をまわせないの?
「そもそも、必要なの?」
そんな視点を持つだけで、余計な支出を減らすことができます。
気づけば、ビジネスシーンでも「賢い人」になれることでしょう。
(文/深沢真太郎)
【参考】
※深沢真太郎(2015)『そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?』日本実業出版社