目安は手取り1年分!万一のときのお金を確実に貯めるための方法

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2016.01.30

suzie.20160130

『働く君に伝えたい「お金」の教養: 人生を変える5つの特別講義』(出口治明著、ポプラ社)の著者は、インターネットを媒介した「ネット生保」として知られるライフネット生命保険株式会社の創業者。

同社は、第二次世界大戦後初めて、内外の保険会社を親会社とせずに設立された独立系生命保険会社。2006年の設立時には大きな話題を呼んだだけに、ご存知の方も多いかと思います。

そして本書は、日本生命保険相互会社勤務時代から数十年にわたって豊富な知識や経験を重ねてきた著者が、「お金の原理原則」を伝えるために書いたもの。

お金に関する本といえば、貯蓄のコツや方法、投資すべき銘柄についての知識などを公開したものが大半ですが、本書はちょっと違うようです。

著者の言葉を借りるなら、「小手先のノウハウではなく、『いま学べば、結婚しても、子どもが生まれても、みんながオジサンやオバサンになっても使える、いわば一生モノの運転免許証のようなもの』だということ。

きょうはそのなかから、「貯蓄」に関する考え方を引き出してみましょう。

■貯蓄額は最低でも手取り1年分

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](2014年度版)によると、20代の平均貯蓄額は約279万円。

意外に多い気がしますが、これはあくまで「平均貯蓄額」です。平均については、一部のお金持ちが全体を釣り上げている可能性があるため、そのまま信じてはいけないわけです。その証拠に、数字の真ん中を示す「中央値」を見ると、約112万円なのだといいます。

しかし気になるのは、「だったら月々どれくらい貯めればいいのか」ということであるはず。

その点を考えるにあたって意識すべきは、「人生には予期せぬアクシデントがつきもの」だということだと著者はいいます。

怪我、病気、火事、解雇、会社の倒産など、なにが起こるかわからないからこそ、最低限蓄えるべきお金とは、万一のときのセーフティネットだと考えるべきだということ。「貯める」お金は、「すぐに使える」お金でないといけないというわけです。

そして著者はここで、「手取り1年分」を目安に説明しています。とりあえず1年分あれば当座の生活はなんとかなり、その間に今後の対策を立てられるはずだから。

■貯蓄プランのシミュレーション

たとえば年収が300万円だとしたら、手取りは200万円~250万円程度。これくらいの額を最終的な目標にして、毎月決まった額を貯蓄していけばいいということ。

仮に手取りを20万円、目標を200万円、すでに30万円の貯蓄があるとしたプランを見てみましょう。

まず、最初に決めるべきは期限。「目標額から貯蓄分を引いた、残り170万円を貯めるために何年かけるか」を決めるのです。

早すぎたら無謀な計画になってしまうだけですし、10年後に設定したとしても、その間の備えになりません。

そこで「ちょうどいい期限」を見分けるために大切なのは、自分の目標額と手取り、そして月々の貯蓄額を書き出してみること。たとえば、次のような感じです。

【例】目標170万円(手取り20万円中)

[1年で貯める場合]:月々14万円(とても払えず現実的ではありません)

[2年で貯める場合]:月7万円(まだまだ難しい額です)

[4年で貯める場合]:月々2万8,000円(可能性が見えてきました)

※もちろん5年計画(月々2万8,000円)に伸ばすこともできますし、年2回のボーナスを組み込んで、6月と12月には多めに貯めるというプランを立てることも可能。

■決めたお金以外は使ってもいい

つまり、こうして書き出してみると、「できること」と「できないこと」を無理なく線引きできるわけです。

なお、これはあくまでもセーフティネットとしてのお金を確実に貯めるための方法。結婚式や留学などのまとまった資金を貯金するときにも、同じやり方を使うことができるといいます。

その場合に大切なのは、気合いを入れて「月々に貯める額を増やす」こと。

著者は、お金についての大原則を「財布(日樹で使うお金)」「投資(なくなってもいいお金)」「預金(流動性の高いお金)」に分けて管理する、「財産三分法」を提唱しています。

これは、入ってくるお金の額が変わらないのであれば、「投資」の部分を思い切ってゼロにする、あるいは財布から使うお金をセーブするなど、なんらかの振り分け方を見なおすしかないということです。

残念ながら、「いつもどおりお金を自由に使っていたのに、知らず知らずのうちに残高が増えていた」などということはありません。

そして貯蓄は、「貯める額を決めたら、使わない」。これだけだと著者は主張しています。

逆にいえば、貯めると決めたお金以外はどう使ってもいいということですから、楽しく使えるお金をより多く捻出するため、より倹約=賢約に努めていくべき。

ちなみに、お金についての漠然とした不安や疑問は、データ(数字)とファクト(事実)を見ながらとことんつぶしていくことが大切だというのが著者の考え方。

たしかにそれは、より確実にお金を活用していくために必要なことかもしれません。

(文/書評家・印南敦史)

 

【参考】

※出口治明(2015)『働く君に伝えたい「お金」の教養: 人生を変える5つの特別講義』ポプラ社

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