150万PVのブロガーが明かす「ミニマリスト」についての誤解

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2016.02.08

suzie.20160208

『少ない物ですっきり暮らす』(やまぐちせいこ著、ワニブックス)は、同名の人気ブログを書籍化したもの。

福岡県出身の著者は、ご主人と13歳の息子、11歳の娘と4人で大分に暮らす主婦で、本書の「おわりに」の部分にも「私は片田舎に住む地味な主婦です」と記しておられます。

しかも、「ミニマリストありき」ではなかったという点がおもしろいところ。つまり、さまざまなインテリアの試行錯誤を経て、いちばん大事な家族としっかり向き合うため「減らす」生活をスタートしただけだというのです。

でもその結果、「家族の1日のはじまりを笑顔で見送る」という当初の望みが叶ったのだというのですから、なんとも興味深いところではあります。

そんな立場を軸として、ブログでも本書でも、インテリア、家事、掃除、ファッションなどさまざまな側面から、ものを減らすメリットと楽しさを伝えています。

注目すべきは、ブログが月間PV150万以上の数字を叩き出し、本書もアマゾンの「社会と文化」ランキングで1位を記録しているという事実。それだけ、「シンプルに暮らすこと」に対する関心が高まっているということなのではないでしょうか?

しかしそれでも、まだまだミニマリズムという生き方、あるいはミニマリストという人たちが完全に理解されているとはいい切れず、誤解や疑問も残されている気もします。

そこできょうは本書から、「ミニマリストへのQ&A」をクローズアップしてみたいと思います。

■Q1:ミニマリストになろうと思ったきっかけは?

以前管理していたブログのリンクが「ミニマリスト」というカテゴリーに貼られており、「それってなに?」と調べはじめたことがきっかけだったのだとか。つまり最初から「ミニマリストになりたい」と思っていたわけではないということで、これは非常に興味深いエピソードだと思います。

■Q2:どうやってものを減らしたの?

多くの人にとって気になるのがここだと思いますが、著者はもともと、ひとつ買ったらひとつ手放すタイプだったのだそうです。

ですから、転勤族だったご主人とともに引越しを繰り返すうち、だんだんと減ってきた感じだというのです。

なお洋服は、ミニマリスト言葉を知ってから、実験的に試すようになってさらに減ったそうです。

■Q3:捨て魔なんですよね?

この問いに対しては、「捨て魔じゃないです」とキッパリ。つい最近も、バッグのなかにしまったバッグの存在を忘れ、カビだらけにしてしまったほどだとか。

■Q4:ケチなの?

これも、答えは「違います」。どちらかというと、「コレ!」と思ったら値段を問わず買うほう。たとえばリビングのこたつの天板は5万円、SEIKOの時計は3万円したというのですから、たしかにケチではなさそうです。

■Q5:少ないもので暮らしは回るの?

これも気になるところですが、回っているそうです。なぜなら自分にとってムダなものがないだけで、必要なものはあるから。

■Q6:なんにもなくて、つまらなくない?

「逆に楽しい」との返答。ものが多かったときには気づかなかった、季節の移ろいや日々の変化を感じ取ることができ、心が踊るのだといいます。

そして、家族で過ごす時間も増えることになったとか。

■Q7:「いつも同じ服」って思われたらどうしようと気にならない?

気にならないといいます。理由は明快で、似合う服を鉄板コーデで着る、つまり自分にとってベストの選択をしているという自負があるから。

実際にそういわれたこともなく、逆に「それどこの?」と聞かれるようになったというのですから、意義あることなのかもしれません。

■Q8:ミニマリストでもたくさん持っているものとは?

扇風機を3台、はさみを3つ、タオルは20枚……と、必要に応じた数を持っているそうです。

■Q9:ご主人はなんといっているの?

「暮らしやすい」と喜んでいるといいます。物量がこれだけ少なければ、最悪の場合、家族4人1LDKの家でも暮らせるので、「住む家の心配をしなくても済むね」ともおっしゃっているのだとか。

そればかりか、「いまの暮らしを維持しなきゃいけない」というプレッシャーからも解放されるようです。

そして著者も、「健康な体と精神さえあれば、なんとでもなる!」と伝えているのだといいます。

■Q10:いま、幸せですか?

「はい、幸せです!」という答えが返ってくるのかと思えば、幸せなときとつらいときと半分半分だとのこと。

「日々の移り変わりと同じで、自分自身にも気持ちの波はあるから」というのがその理由。

むしろ、これはとても的を射た考え方だといえるのではないでしょうか?

「インテリア」「炊事と収納」「掃除と選択」「服の着まわし」「家族との関係」など、さまざまな角度からミニマリズムについての考え方をつづった内容。

目先の流行に追われることなく、地に足のついた考え方が軸になっているので、大きな説得力があります。

少なからずミニマリズムに関心がある方は、ぜひ手にとってみてください。

(文/書評家・印南敦史)

 

【参考】

※やまぐちせいこ(2015)『少ない物ですっきり暮らす』ワニブックス

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