伝説の入江塾が明かす!子どもの性格形成は中学1年生で決まる?

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2016.02.15

suzie.20160215

きょうご紹介したいのは、『灘高→東大合格率ナンバーワン 伝説の入江塾は、何を教えたか』(入江伸著、祥伝社)。

まずは、ここがどんな塾なのかをご説明する必要があるでしょう。

■入江塾はただの学習塾ではなかった!

入江塾の正式名称は、伸学社。大阪の帝塚山に1986年まで存在していた学習塾で、塾頭である本書の著者、入江伸氏の名から「入江塾」と呼ばれていたのだそうです。

大阪府立高校の教師だった著者が退職後、中学生向けの通信添削を行なう仕事をはじめたのがそもそもの発端。やがて生徒たちが自然発生的に集まり、直接の講義を受けるようになっていったという流れ。

そして結果的には2~3年後に、塾生のひとりが超難関校として知られる灘高にトップで合格したことから灘高受験希望者が次々と集まり、「入江塾」の名は全国に広まっていったのだといいます。

灘高が55人を募集したある年には、合格者のうち30人が入江塾の出身だったこともあったのだとか。それどころか、高校生も教えるようになってからは、入江塾で学んだ灘高生の九割近くが東大へ進学したというのですから驚きです。

しかも注目すべきは、閉塾までの30年間にわたり、入塾のための審査や試験をいっさい行なわなかったこと。

やる気がある子であれば、成績にかかわらずすべて受け入れたというのです。

また、単なる進学塾とは違い、人間形成に重点を置いていたことも注目に値するでしょう。著者の塾運営の目的が、「勉強の成果のみの追求ではなく、少年らしい、健やかな自主性の養成」にあったためだといいますが、その姿勢は学習塾の枠を大きく超えています。

しかし、だからこそ多くの実績を生み出すことができたのだともいえるはずです。

本書は、そんな著者が過去に送り出してきた『入江塾の秘密』(昭和49年初版)、『奇跡の国語』(昭和53年初版)、『奇跡の入江塾方式』(昭和55年初版)の3点から部分的に抜粋して再構成したもの。

現代の受験や教育にも通じる、重要なエッセンスが盛り込まれています。

■中学1年は子どもにとって大切な時期

本書のなかで著者は中学1年を、暗示的に将来が呈示され、大なり小なり子どもの声質も変化してくる大切な時期であると位置づけ、「この時期ほど親の指導が子どもの性格形成に大きく影響を持つ時期はない」といい切っています。

そして実際に中学1年生を教えているなか、彼らの勉強に対する態度により、子どもたちを大きく3つの類型に分けていいとも主張しています。

しかもそれは持って生まれた基本的な資質によるものではなく、環境によって育成され、偶然も大きく作用した後天的なものなのだとか。

それでいて、いったん形づくられると、なかなか取れにくい性質になってしまうともいいます。

■中学1年の勉強に対する態度3つの型

[第一の型]

第一の型は、誰にもはばからず、自分の興味を積極的に、外部に示すことができる子どもたち。刺激に応じ、体の神経が全身的に動き出す感じがする型です。

この型の場合、環境が性格形成を大きく支配していることがわかるのだといいます。

そのことに興味を持った時期が他の友だちより早かったというようなことも重要な要素として機能し、それも大きな成長の原動力になるというのです。

「まず自分が知ったんだ」という自信が、積極性に輪をかける結果になるわけです。

[第二の型]

第二の型は、「これはおもしろそうだ。いま話をよく聞いておいて、今度、時間のあるときに本格的にやってみよう」という反応を示す子どもたち。

性格は生真面目でありながら、「自分は頭がいいのだ」との自信は持てないタイプ。

家庭的には恵まれ、さびしさをあまり感じたことがない子に多く、母親からの配慮は行き届いているものの、普段からかなりの精神的課題を両親から与えられている受け身型なのだとか。「これをするには、こういう条件が必要なのだ」と考える“条件派”ともいえるそうです。

[第三の型]

第三の型は、「おもしろいころはおもしろいけれど、またしんどいことが増えたなあ」という型の子ども。

この型は、母親がつねに他の兄弟や、近所の子どもとその子を比較し、足らないところを注意し続けてきた場合が多いのだといいます。

■小学校6年から中学1年の教育が重要

つまり、これらの型を踏まえたうえで、その差異を認めつつ、それぞれに適した学習法を取り入れていくべきだということ。

実際に三者に対する教育法が紹介されていますが、ほんのわずかな差異が、できる子とできない子を分かつのだといいます。

端的にいえば、伸びる子どもは小学校時代は比較的楽しく勉強してきて、軽く灘中を受けて軽く失敗した子に多いといいます。

そして伸びない子どもは、「灘中、灘中」と何人もの家庭教師に追い上げられ、親も懸命になりすぎ、肝心の子どもの心が勉強から離れている子。中学に入ってからは、勉強がすでに重荷になっている子どもに多いそうです。

つまりこうした例から考えても、小学校6年から中学1年にかけての教育方針が、子どもの性格決定に与える影響は大きいということ。

時代が違うとはいえ、本書における著者の主張は、現代の教育環境にも十分にあてはまるように思えます。

なにより魅力的なのは、著者か子どものことを心から大切に思っていることがはっきりとわかる点。

子どもの教育について思うところのある方には、ぜひとも読んでいただきたいと思います。

(文/印南敦史)

 

【参考】

※入江伸(2015)『灘高→東大合格率ナンバーワン 伝説の入江塾は、何を教えたか』祥伝社

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