3つの壁を外すだけ!忙しくても着眼(ひらめき)を得られる練習

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2016.02.16

suzie.20160216

『ベンチャーキャピタリストが語る 着眼の技法』(古我知史著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者は、シティバンク、マッキンゼーなどを経て、現在は独立系キャピタリストとして活躍する人物。

これまでに60社以上の起業や、事業開発の現場に直接参画してきたのだそうです。

本書ではそのような経験値をもとに、そして「着眼」をテーマとして、新しいビジネスを生み出すための視点を明らかにしているわけです。

しかし、そもそも「着眼」とはなにを意味するのでしょうか?

その問いに対する回答は、まず本書のページをめくると飛び込んできます。

■ひらめきとは着眼のこと

「天才とは1パーセントのひらめきと99パーセントの汗である(Genius is one percent inspiration and ninety-nine percent perspiration)」

ここで取り上げられているのは、有名なトーマス・エジソンの言葉。そして著者は、この真意を読者に対して明らかにします。

努力を積み重ねるということが美徳という意味ではなく、「どれだけ必死になって努力を積み重ねても、ひらめきがない限り、すべては無に帰する」という、非情な現実を認識すべきだという意味だというのです。

そして、こうもいいます。

「ひらめきとは着眼です。突き抜ける着眼がひらめきです」と。

■「着眼を得る」ためには

たとえ毎日が忙しくとも、着眼を得るため意識的に取り組んでほしいことがあると著者はいいます。

着眼を阻む、次の3つのブロックを外す練習がそれで、忙しいなかでもできるものなのだそうです。

[1]ルール・ブロック(会社のなかの内部統制やコンプライアンスなどがうるさい)

[2]ソーシャル・ブロック(他人の目がうるさい)

[3]セルフ・ブロック(自分のなかにいるもうひとりの自分がうるさい)

これら3つのブロックは、多くの現代人を無意識のうちに苦しめるもの。そして、自分をいつの間にか制御し、制約している圧力、あるいは立ちはだかる壁を意味するのだとか。

■外すべき3つのブロック

[1]ルール・ブロック

ルールによるブロックが生じる背景は明確で、子どものころからの家や学校でのしつけの帰結だということ。

いわば、やむを得ないものですが、あえてたまにはルールを忘れ、自分の頭で考えようと著者は勧めています。

ルールがもたらす問題は、ルールに従っていれば「いい子」だと評価してもらえるということ。

そして「ルールこそが正しい」と信じてしまう結果、言動の一元性や一面性の固定化、思い込み、思考の硬直が起こるというわけです。

しかし、常識的な世の中のルールを学校で教わり、社会人になってからは会社のルールをただ信じるだけでは、新しい発想も着眼も生まれなくて当然。

だからこそルール・ブロックを外すことが大切で、そのためにはまず、自分が無意識に遵守しているルールで、社会的に問題のないものを列挙し、自分の五感と地頭を駆使して状況対応をしてみるといいそうです。

[2]ソーシャル・ブロック

これは、他人の目を機にするという制約。まわりの人間の(ソーシャルな)意見や感情に自分の言動が左右されていくという、アイデンティティ喪失のブロック(プレッシャーともいえるもの)。

ソーシャル・ブロックが働いてしまうと、自分の判断や意見を曲げてまで、他人たちがつくる空気を読んでしまうもの。

本来は主体的に自分の発想や考え、意志に従って意見表明し、行動すべきところでも、自分を押し殺してしまうわけです。

しかし、空気を読む暇とエネルギーがあるのなら、まず主体性を持って考え行動することにエネルギーを注いだほうがいいと著者。

それが、着眼力をつける最初の、ほんの小さな、しかし絶対に必要な一歩になるからだというのがその理由。

なお、ソーシャル・ブロックを外すのは簡単で、疑問や反対の考えが湧いてきたら、そのまま流れに沿って「すみませんが、自分の意見をいわせてください」と枕詞で断り、自然体で意見を述べればOK。

どうしても意見がいえない人は、最初は質問をするだけでもいいそうです。

[3]セルフ・ブロック

自分のなかにいるもうひとりの自分との闘いは、なかなか厄介なもの。なぜなら、もうひとりの自分があるべき自分を導くこともあるけれども、反対に制御することもあるから。

しかし、「どうせダメだろう」「やっても仕方がないだろう」などという“内なる声”をよく聞く人は、セルフ・ブロックの奴隷になっていると著者は指摘します。

セルフ・ブロックを外すためには、多重人格にならない程度に、もうひとりの内なる自分を意識的に演じてみるのがいいとか。

なんでも肯定する、常に楽観的で積極的姿勢の、自分を応援するもうひとりの頼りになる自分を、意識してつくりあげるということです。

どのような仕事に就き、どのようなシチュエーションに身を置いていたとしても、「着眼」は必要不可欠。そのためにまず、これら3つのブロックを外すところからスタートしてみてはいかがでしょうか?

(文/書評家・印南敦史)

 

【参考】

※古我知史(2015)『ベンチャーキャピタリストが語る 着眼の技法』ディスカヴァー・トゥエンティワン

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