事実を「1つのかたまり」として把握する!問題解決の基本スキル

  • LINEで送る
2016.02.19

suzie.20160219

相手に対して、自分がいいたいことを伝えるのは難しいもの。「うまく伝えられない」「理解されない」などの悩みを抱える方も、決して少なくないはずです。

しかし相手にうまく伝えられないのは、そもそもきちんと考えていないからだ」と主張するのは、『外資系コンサルの3STEP思考術―――どんな難問にも答えを出せるアタマの使い方』(森秀明著、ダイヤモンド社)の著者。

ボストンコンサルティンググループ、ブーズ・アレン・ハミルトンなどの外資系コンサルティング会社を経て起業し、経営者や事業の責任者が抱える戦略や業務、組織の課題解決を支援しているという人物です。

そこで本書では、コンサルタントたちがどのように考え、クライアントから寄せられる難問に対してどのように答えを出しているのかを明らかにしているわけです。

■問題解決には4つの基本がある

とはいえ、ビジネスにおける問題解決の活動はいたってシンプル。

[1]相手の要望や悩みを聞き出す

[2]その要望や悩みの解決策を考える

[3]その解決策を説得力のある形で具体化する

[4]具体化した解決策を相手に伝える

基本は、この4つだというのです。ちなみに[4]で完了する場合もあれば、ふたたび[1]に戻り、相手に伝える解決策を練りなおすこともあるのだとか。

このサイクルは、「相手から引き出した情報を活用し、相手の行動を変えるための情報に変換する」「そして適切に相手に伝える」という活動の繰り返し。

大切なのは、構想をよく練り上げて考え尽くすこと。なぜならよく考えないことには、理解されることも、相手の心の琴線に触れることもないから。

当然ですが、それでは納得感を持って相手に伝えることはできないわけです。

■いいたいことが伝わらない理由

そして、いいたいことが伝わらないのには、3つの理由があると著者はいいます。これは、本書の重要なポイントでもあります。

[1]相手の話の内容や世の中の事象を「整理」できていない

[2]物ごとを取り扱いやすいような大きさに「分解」できていない

[3]相手に伝える意味を引き出すように「比較」できていない

だとすれば、「整理」「分解」「比較」という3つのスキルを身につけることができれば、自信を持ってあらゆるビジネスの難題に立ち向かえるということにもなるはず。

それどころか著者は、仕事に必要なのは、この3つの基本スキルだけだとも断言します。

■全ての仕事に必要な基本スキル

(1)「整理」とは?

整理とは、「事実を1つ1つのかたまりとしてとらえる」こと。そしてその定義は、「事実」を「かたまり」の集合と考え、それぞれのかたまりがどのくらいの大きさで、どのような内容なのかを正確に把握することだといいます。

たとえば「自社製品Aの拡販策」の場合、「既存の販売ルートではAの売り上げは頭打ちだ」という課題も、「B社とのコラボイベント開催で集客と商品認知を図る」という計画も、「総費用は300万円」という概算データも、すべてが事実。

また、事実の大きさもさまざま。「自社製品Aの拡販策」はひとつの事実ですし、それは会社全体の「今後3年間の事業戦略」という大きな事実のなかにあるもの。それでも、「自社製品Aの拡販策」と「今後3年間の事業戦略」は、どちらもひとつの事実です。

こうして渾然とたくさん存在している事実を、かたまりごとにとらえることが整理で、これが事実と整理の関係だということ。

(2)「分解」とは?

分解とは、「大きなかたまりを小さく分ける」こと。あるいは、ある考えに従って「事実」を小さくグループ分けしていくこと。

ちなみに分解の反対は統合。大きな事実を小さく分けていく=分解していくと、小さな事実がいくつもでき、小さな事実をまとめていく=統合していくと、大きな事実に復元できるわけです。

たとえば「ビジネスパーソンを対象にした新製品のマーケティング」について考える場合、「総所得額」という切り口で考えるのも、ひとつの分解の仕方。

このとき、「年収500万円未満」「年収500万円以上、700万円未満」「年収700万円以上、1,000万円未満」「年収1,000万円以上」というようにグループ分けすることが分解のルール。

いわば事実を分解するときには、「モレなくダブりなく」という考え方が鉄則。

(3)「比較」とは?

比較とは、「かたまり同士を並べてくらべる」こと。細かさのレベルが同等の、“粒度”が同じ事実同士をくらべることです。

A社とB社の「利益」という事実をくらべたいなら、重要なのは「A社の営業利益」と「B社の営業利益」を並べてくらべるべき。「A社の営業利益」と「B社の最終利益」をくらべても、正しい比較にはならないわけです。粒度が同じものをくらべるとは、つまりこういうこと。

比較の重要な意味は、2つの事実の間のギャップにメッセージが浮かび上がってくるところ。

現在の売り上げの状況が1億円で、3年後の売り上げの状況(目標)が3億円だったなら、「2億円のギャップをどう埋めたらいいか」ということがメッセージになります。そこから、なんらかの施策や戦略を提案することになるわけで、これが事実と比較の関係。

つまりこうして考えると、世の中のすべての仕事は、事実の正しい認識と、整理、分解、比較の3つのスキルで成り立っていることがわかります。

そしてバラバラだった事実をかたまりとしてとらえ、グループ分けしたり並べなおしたりすることで、新しい戦略や施策、行動などに近づくことができるのです。

このように、思考術をロジカルに検証しているのが本書の特徴。そうすることによって、自分の思考に足りないものが浮かび上がってくるような構造になっています。

(文/書評家・印南敦史)

 

【参考】

※森秀明(2015)『外資系コンサルの3STEP思考術―――どんな難問にも答えを出せるアタマの使い方』ダイヤモンド社

関連記事