日本の豊かさは世界29位!今後の日本人に必要な「5つの課題」

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2016.02.28

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日本は世界的に見ても、豊かなことで知られる国。実際、GDP(国内総生産)ランキングでは現在も世界3位の座をキープ(2015年4月現在)しています。

しかし、「一人当たりの購買力ランキング」を見るとどうでしょう。なんと、市民一人あたりの豊かさは世界29位なのです! 「豊かな国」とは言い難い、シビアな現実を見た気がします。

ライフネット生命保険株式会社 代表取締役会長兼CEOの出口治明さんと、内閣府と大学教員の経験を持つエコノミスト・島澤諭さんの共著書『自分の半径5mから日本の未来と働き方を考えてみよう会議』(SBクリエイティブ)では、日本人の労働生産性について警鐘を鳴らしています。

そこで今回は、この本より抜粋した「日本人の働き方の5つの課題」を紹介したいと思います。

■1:「おもてなし」は自己満足?

日本のサービスは質が高いのですが、それが料金に含まれていないことが、労働生産性を低くしている原因にもなっているそう。

たとえば、ブラック企業として取り上げられる企業はほとんどがサービス業です。賃金も上がらず、労働時間ばかり長く、離職率も高くなっています。

従業員に見合った対価を与えられないのに、「おもてなし」ばかり強制するのはおかしいこと。お金のとれない「おもてなし」は自己満足に過ぎない、と著者はいいます。

なぜ日本は一人あたりのGDPの順位が29位と低いのかといえば、労働生産性が低いから。労働生産性とは「いかに効率よく人と時間と資源を活用しているか」の指標で、「生産量(GDP)÷(就業者×労働時間)」で割り出されます。

生産性が低いとそれに見合った給料しか貰えず、いつまでたっても生活が豊かにはならないのです。

■2:年功序列は時代遅れ! 同一労働・同一賃金のすすめ

年功序列とは、勤続年数が増えていくに従い、地位も賃金も上がっていく仕組みです。著者は「若いときに搾り取られた給料以上の働いた分を、年をとったら取り返す仕組み」とも表現しています。

これが維持される限り、年をとれば必然的に働かなくなります。現状維持で給料がたくさんもらえる人は、わざわざ生産性を上げる努力はしないでしょう。やる気がある人でも、いくらがんばっても賃金が上がらないとなれば、やりがいを感じられずにやめてしまうかもしれません。

高度成長の時代はうまくいったシステムも、現在ではうまくいかないとのこと。やはり同一労働・同一賃金の、生産性に応じた給料体系にするべきのようです。

■3:残業禁止が生産性を上げる

日本の生産性を上げるためには「残業の廃止が必要」と著者はいいます。ダラダラ残業してしまう人は、労働生産性が高いとはいえません。

日本の生産性の低い理由のひとつに、「仕事のコストパフォーマンスを重視されない」ことがあります。これは「いくら仕事ができても、給料はそんなに変わらない」ということとイコールです。

コストパフォーマンスに重きが置かれない場合、ロイヤリティー(忠誠)に重きを置かれるようになるそう。すると「残業する人ほど真面目」、「遅くまで仕事をするほど愛社精神がある」などと評価され、余計に生産性が上がらなくなってしまうのです。

残業禁止については個人の意識よりも、企業や管理職が率先して取り組まないとなかなか解決できない問題のようです。

■4:「どのくらい仕事をしたか」という評価の仕組みをつくる

今後は「なにをどれだけやったか」という評価の仕組みをつくる必要があるでしょう。

生産性に見合った賃金を支払う仕組みを作るためには、各人の生産性を正確に計測し、それを評価した上で、その評価に対して上司と部下の双方で対話が必要とのこと。

また個人では、自分の頭で人とは違うことを考えることも重要。仕事の生産性を上げるために、自分でいろいろな方法を「ラン&テスト」で試すのがいいようです。仕事のスピードが上がれば、生産性の向上に繋がるでしょう。

■5:労働生産性のアップは今後の日本に不可欠!

日本は少子高齢化の影響で、労働人口は減少傾向です。2060年には労働人口が約4割も減ってしまうそう。このまま労働生産性が変わらなければGDPも約4割減ってしまいます。

労働生産性の向上を阻む最大の壁は「時間もスタッフも無限に使える」といった誤った考え方です。

著者も「『長時間働いたから良い仕事ができた』と言う例は67年間の人生で見たことない」とのこと。ご飯をしっかり食べて、しっかり寝て休養するほうが、何倍も良い仕事ができるはずなのです。

世界を見ても、今は「時短」に向けて動いています。例えばドイツはGDPが世界4位の経済大国ですが、午後6時以降の残業は禁止にする法改正に取り組んでいます。日本も働き方を見なおすときが来ているようです。

日本は一人あたりの豊かさで考えると、決して世界に誇れる状況ではありません。今後の日本を考えると、働き方を改革し、労働生産性を上げるように努めていかなくてはならないようです。この本は“日本の未来と働き方を考えたい”すべての人に、ぜひ読んでほしいと思います。

(文/齊藤カオリ)

 

【参考】

出口治明・島澤諭(2016)『自分の半径5mから日本の未来と働き方を考えてみよう会議』SBクリエイティブ

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