鍼灸師が激白!日本人の8割以上が勘違いしている「鍼灸」の真実

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2016.03.01

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「お灸をすえる」、「ツボを押さえる」などといった慣用句があるくらい、鍼灸(しんきゅう)やツボは私たち日本人の生活に浸透しています。でも、実際には一般的に勘違いされていることがたくさんあるのだそうです。

そこで、関西にある鍼灸専門学校で鍼灸師の卵たちを9年にわたり指導しながら、ご自身でも鍼灸院を経営して患者さんを診ている佐々木友子さんに、鍼灸の「本当のところ」を伺ってみました。

■8割の日本人が「鍼灸=怖いもの」と勘違いしている!

佐々木さんによると、一般の人が鍼灸に対して持っているイメージは、8割がたが「怖い」「痛い」「熱い」だそうです。でも実は、肌をさするだけの「鍼」もあるそうですよ。

というのも、ひとくちに「鍼灸」といっても施術方法には種類も多く、流派や各鍼灸師によっても違うから。

たとえば、前述の肌をさするだけの鍼は「小児鍼」といって、生後1ヶ月から受けられます。大人でも敏感な方なら、皮膚をさするだけの鍼で充分だとか。どうしても怖いという方は、トライしてみてはいかがでしょうか?

一方、「お灸」は大きく分けて2種類。

[1]有痕灸(ゆうこんきゅう)=直接灸

[2]無痕灸(むこんきゅう)=間接灸。

「有痕灸には、透熱灸(とうねつきゅう)、焦灼灸(しょうしゃくきゅう)、打膿灸(だのうきゅう)などがあり、直接皮膚に艾(もぐさ)を乗せ、強めの温熱刺激を与えるので、痕が残ります。無痕灸には、棒灸(棒状にした艾を皮膚にかざすだけ)、台座灸(せんねん灸など)、隔物灸(塩やしょうがスライスの上に艾を置く)などがあり、痕も残らず心地良い温熱刺激です。小児にも可能ですよ」と佐々木さん。

無痕灸なら、「お灸に興味はあるけど熱そうで怖い……」という人でも無理なくできそうですね。

■8~9割が「鍼灸=肩こりや腰痛の治療法」と勘違い!

みなさんは、どんなときに「鍼灸」をすると思いますか? 佐々木さんによると、8~9割の人が、「肩こり」「腰痛」に対する施術だと思っているのだそうです。

でも実際は、神経症やノイローゼといった神経系の疾患から、高血圧のような循環器系疾患、そして仮性近視や貧血など、多くの疾患に対して有効だということが、米国国立衛生研究所により認められています。

佐々木さんはさらに、こうした疾患のうち、神経痛、リュウマチ、頚肩腕症候群、頚椎捻挫後遺症、五十肩、腰痛は日本で鍼灸の健康保険の適用が認められているという耳寄りなお話を教えてくださいました。健康保険適用なら出費も抑えられるし、安心して受けられそうですね。

■9割が「鍼灸=体調が悪くなって受けるもの」と勘違い

ほとんどの方(9割)が、鍼灸は「なにか疾患や症状があって施術を受けるもの」と認識しているようですが、健康維持のための鍼灸もあるのです。

元気な人なら、より元気になれるそうですよ。健康維持の鍼灸の場合、プロの目から診て全身のバランス(上下、左右、陰陽など)を整えます。

佐々木さんは、「鍼灸施術が患者様の疾患や症状を直接治すのではなく、患者様の自然治癒力を高めて正常に戻るためのお手伝いをしていると考えています」とおっしゃいます。

つまり、ツボを鍼灸で刺激することで、自然治癒力が発動するようなイメージです。

■鍼灸師が教えてくれた「ツボや経路」に関する真実

最後に、ツボや経絡について基本的な点について教えていただきました。

私たちが「ツボ」と呼んでいるものは、中国医学では経穴(けいけつ)と呼ばれています。これには正穴(せいけつ)=経絡上のツボ、奇穴(きけつ)、新穴(しんけつ)があり、正穴は全身に361個あります。

奇穴は、腧穴(ゆけつ)や特効穴(とっこうけつ)ともいわれ約32種類48穴あります。新穴は1949年以降に定められたもので数は不明です。その他、「押すと痛気持いい」と感じる反応点を阿是穴(あぜけつ)といい、人により数が異なります。

次に経絡ですが、経とは経脈のこと。経は「縦糸」を意味し、ツボとツボを結び人体を縦に走行するものです。経脈には、正経十二経脈(せいけいじゅうにけいみゃく)と奇経八脈(きけいはちみゃく)とがあります。

正経十二経脈は全身に12本の経脈があり、手と足には陰経と陽経が各3本ずつあって関連する臓腑の名前が付けられています。陰経と陽経は表裏関係があります。

奇経八脈は全身に8本ありますが、そのなかで陽経を統括する督脈(とくみゃく)と陰経を統括する任脈(にんみゃく)は重要とされ、正経十二経脈と合わせて『十四経脈(じゅうしけいみゃく)』といわれています。

絡は、絡脈のこと。絡は「つながる」「からまる」「まとう」を意味し、経脈と経脈を連絡するもので、全身に気血(きけつ=エネルギーと栄養)を巡らせていると考えられています。

ちなみに、中国医学は2千年以上前に成立していますが、ツボの数は成立当初から361個だったわけではなく、年代により増えてきました。経脈は成立当初は11本でしたが、その後12本となり現代までそのままです。

私たちの体には、たくさんの「パワースポット」が潜んでいると考えると興味深いですね。そして鍼灸は、肩こりや腰痛以外にもいろいろな症状に効果があって、痛くない、熱くないなら、試してみる価値はありそうですよ。

(文/松丸さとみ)

 

【取材協力】

※佐々木友子・・・平成13年 北京中医薬大学日本校卒業、平成14年 国際中医師資格取得、平成18年 はり師きゅう師国家資格取得、平成21年 鍼灸教員資格取得。現在は、鍼灸専門学校で非常勤講師として指導するかたわら、「はり・きゅう茉莉花(ジャスミン)」を開院し、患者と向き合っている。

 

【参考】

奈良県近鉄高田市駅前の鍼灸院 はり・きゅう茉莉花(ジャスミン)

奈良県大和高田市の鍼灸院(はり・きゅう) 友ちゃん先生の東洋医学的養生法

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