実はタラバガニは蟹じゃない!蟹か否かは「足の数」で決まる!?

  • LINEで送る
2016.03.04

kani

新鮮な魚が自慢の居酒屋で、カニミソを肴にキュッと日本酒を。珍味ゆえに好き嫌いはあるかもしれませんが、お酒好きな働く女子には至福のひとときです。

それに「カニミソ」に限定しなければ、「蟹が好き」という人は多いようです。ネット通販の『ポンパレモール』が2014年に20~50代を対象に行ったアンケート調査によると、「蟹が好き」と答えたのは、大好き・好き・まあまあ好きを合わせると、すべての年代で9割に迫る勢い。

同じアンケートでは、好きな蟹の種類は「タラバガニ」が各年代平均で70%ほど、「ズワイガニ」が同じく各年代平均で5割を超え、圧倒的な割合でツートップ。どの年代からもまんべんなく人気を集めています。

でも、ズワイガニとかタラバガニ……なにが違うんでしょう? 東京・新橋で海鮮居酒屋『馳走 大徳』を営む小林一郎さんに教えていただきました。

■足が8本のタラバガニと10本のズワイガニ

「たしかに、ズワイガニとかタラバガニなど、○○カニという名前のついた“蟹みたいなもの”ってたくさんありますよね。でも、実はタラバガニや花咲ガニは、蟹じゃないんです。タラバガニとズワイガニをそれぞれを見くらべてみると違いがわかると思いますよ」(小林さん)

えっと、タラバガニのほうが、足が太いとか、全体に大きいとか、そういうことでしょうか……?

「いやいや、それもそうなんですが、足の数を数えてみてください」(小林さん)

といわれて数えてみると――なんと、ズワイガニは足が10本。それに対して、タラバガニは8本しかありません。

「じつは、蟹に分類されるのは足が10本のものだけなんです。ズワイガニは紛れもなく蟹ですね。足が8本のタラバガニは、生物の分類では蟹の仲間ではないんです」(小林さん)

■タラバガニは蟹よりも「ヤドカリ」に近い?

見た目はどう見ても蟹。なのに、足が8本のタラバガニは、蟹の仲間ではない――としたら、いったいタラバガニはなんの仲間に分類されるのですか?

「タラバガニは足が8本ということで、長年ヤドカリの仲間とされてきました。2009年に分類区分が変更されて、いまはヤドカリ科ではなくタラバガニ科の生物とされていますが、それでもエビ目ヤドカリ下目タラバガニ科で、蟹というよりはヤドカリの仲間であることは変わりませんね」(小林さん)

衝撃の事実。見た目は蟹そのものなのに、タラバガニは蟹ではなく、ヤドカリの仲間だったとは。

「見た目はよく似ているように見えますが、もう少しよく観察してみてください。ズワイガニとタラバガニとでは、足の曲がる向きが逆ですよね?」(小林さん)

おぉ! そういわれれば、ズワイガニの足は内側に曲がっていますが、タラバガニの足は外側に向けて折れています。

「ズワイガニなどの蟹は左右にしか走ることができませんが、タラバガニはこの足の曲がり方のために、前後に走ることもできるんですよ」(小林さん)

ちなみに「越前ガニ」「松葉ガニ」などとして販売されている蟹は、実はズワイガニそのもの。福井県近辺の北陸の日本海で獲れると「越前ガニ」、島根県・鳥取県などの山陰地方で獲れると「松葉ガニ」と、産地によって名前が変わっていますが、種別としてはまさにズワイガニなんだそうです。

■タラバガニの「味噌」は料理に向いていない

小林さんのお店『馳走 大徳』でも、カニミソは人気の一品だとか。カニミソも、タラバガニとズワイガニでは違いがあるのでしょうか?

「カニミソにしていちばんうまいといわれているのは、毛ガニですね。ズワイガニももちろんおいしく召し上がっていただけます。でもタラバガニは、味噌自体がちょっと脂っぽい上に、加熱しても固まらないので、料理には向かないんですよね」(小林さん)

なんと。種別が違うと、足の数や折れる向きだけでなく、内臓にも違いが出てくるのですね。ちなみに、花咲ガニやアブラガニと呼ばれる蟹もタラバガニの仲間で、足は8本。やはり味噌は捨てられてしまうことが多いのだとか……。

じつは小林さんは、フレンチの名店である綱町三井倶楽部で修業していたという経歴の持ち主。

ご実家を継ぐためにフレンチから和食に転向されましたが、先代が30年以上守り続けた新鮮な食の魅力をしっかり受け継ぎ、さらにフレンチで磨いたセンスと繊細さを加えて、味わいの幅を広げています。食材一つひとつへの愛情も、お話からとても伝わってきました。

(文/宮本ゆみ子)

 

【取材協力】

※小林一郎・・・東京・新橋にある海鮮居酒屋『馳走 大徳』の2代目。綱町三井倶楽部で料理人としての修業を積む中、父親の病気に伴い実家に戻り、『馳走 大徳』を継いで23年目。休日には海に山にと繰り出すアクティブなアウトドア派。

 

【参考】

馳走 大徳-新橋タウン情報 新橋ねっと

かにアンケート調査-ポンパレモール

関連記事