摂取量が総カロリーの1%なら恐くない!トランス脂肪酸の真実

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2016.03.06

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普段、私たちは何気なくパンやクッキーを口にしています。

しかしコンビニやスーパーで手に入る市販のものであれば、体に悪いといわれている添加物などが含まれていることも。

それでも、多くの人がそれほど気にしていないのが現実なのです。

惣菜パンやクッキーなどには、「マーガリン」「ショートニング」「ファットスプレッド」などの表記を目にすることがあります。

そのなかには人体に危険だといわれる「トランス脂肪酸」という、海外では規制されている国もある成分が含まれていることも少なくありません。

「トランス脂肪酸とは、カビも一切生えない、腐ることもない、自然界では分解できない化学物質だ」「トランス脂肪酸は食品ではなく、プラスチックだ」といった報道も数多くされてきました。

本当のところ、トランス脂肪酸とはいったいなんなのでしょうか? 実は、正しく理解すれば、それほど恐れることはないものでもあるのです。

■トランス脂肪酸とは一体なんなのか

トランス脂肪酸にはその科学的な響きと印象から、「人工的につくられたもの」というイメージがあります。脂肪酸には、不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸があり、炭素の二重結合があるものを不飽和脂肪酸といい、ないものを飽和脂肪酸と呼びます。

それらにも、構造によって多くの種類が存在します。さらに不飽和脂肪酸はシス型とトランス型に分けられ、トランス型は炭素の二重結合をはさんで反対側に水素原子がついているものを指します。

少し難しい話ですが、このトランス型の二重結合がひとつ以上ある構造の不飽和脂肪酸をまとめて「トランス脂肪酸」と呼んでいるのです。

トランス脂肪酸はすべてが人工物というわけではなく、牛や羊などの反芻動物の胃のなかでは、微生物の働きなどにより、天然のトランス脂肪酸がつくられます。

ちなみに2003年、食事・栄養及び慢性疾患予防に関するWHO/FAO合同専門家会合で、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸等の脂肪の目安摂取量が公表されました。

そのなかでは、「トランス脂肪酸の摂取量は、1日の総摂取カロリーの1%未満」と勧告しています。これは、おもに生活習慣病予防のためです。

■トランス脂肪酸が危険視される理由

では、トランス脂肪酸を摂りすぎると危険だといわれる理由はなんなのでしょう?

実はとても単純で、私たちが普段から意識している肥満の原因になるからということがもっとも大きな理由です。

トランス脂肪酸を少しでも摂ることが人体に影響を及ぼすわけではなく、摂りすぎると血液中の悪玉コレステロールが増え、善玉コレステロールが減るということ。

これにより、心筋梗塞や狭心症などの、心臓病のリスクが高まるといわれているのです。

トランス脂肪酸の摂取量が、食事の総エネルギー量に対して2.8%に達する人は、1.3%の人にくらべ、心筋梗塞のリスクが1.3倍に高まるという米国の調査結果もあります。

■トランス脂肪酸が多く含まれる食品

トランス脂肪酸は、サラダ油などを使用した食品の加工やお菓子、パンなどの製造過程で水素添加をした場合や、油を高温・高圧で加熱した場合につくられます。

具体的には、以下のような食品に多く含まれているのです。

(1)マーガリン、ピーナッツバター、マヨネーズなどのスプレッド系

(2)ケーキ、アイスクリーム、チョコレート菓子、菓子パン、ポテトチップス、ドーナツなどのお菓子系

(3)カップ麺、レトルトカレーなどのインスタント・レトルト食品系

(4)フライドポテト、フライドチキンなどのファストフード系

(5)から揚げ、天ぷら、グラタン、コロッケなどの冷凍食品系

から揚げや天ぷらなどは、家庭で調理することも多い一般的なメニューですよね。

家庭での調理には、サラダ油などトランス脂肪酸の多い油ではなく、製造過程で加工されていない油を使用することで、その摂取量を減らすことが可能。

最近では、マーガリンなどでもトランス脂肪酸を除去したものが市販されています。

■トランス脂肪酸を規制している国も

海外では、トランス脂肪酸の食品への使用を規制している国も多く、アメリカは2018年までに全面禁止を目指しています。

デンマークでも、2003年以降、油脂100gあたりトランス脂肪酸は2gを越えてはならないとし、1g以下は「トランス脂肪酸フリー」と表記してよいとしています。カナダは、放送された食品の栄養表示に、初めてトランス脂肪酸の表示を義務づけた国です。

では、なぜ日本は規制されていないのでしょう。それは、食生活の違いにあります。日本食にはあまりトランス脂肪酸が含まれないことから、日本人のトランス脂肪酸摂取量は他の国にくらべて少ないことがその理由なのです。

私たちは、どうしても聞き慣れない専門用語を恐れてしまうもの。いまこそ、トランス脂肪酸を正しく理解し、摂取量に気をつけて健康を維持したいものです。

結局のところ、どんな栄養素にも摂取量によるリスクはあり、なんでも極端に摂りすぎても、少なすぎてもよくないということですね。

(文/hazuki)

 

【参考】

すぐわかるトランス脂肪酸-農林水産省

トランス脂肪酸、若い女性ご注意!!-NIKKEI STYLE

トランス脂肪酸に関する各国・地域の取り組み-農林水産省

Are All Trans Fats As Bad As We Think?-CBSNews

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