教育係は入社2年目に!新人に仕事を教える時に必要な「心構え」

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2016.03.08

suzie.20160307

ビジネスの現場では、人に「教える」機会は少なくないもの。また、面倒だからといって、それを避けるわけにもいかないでしょう。とはいえ現実的に、それはなかなか困難なことでもあります。

そこでぜひ読んでおきたいのが、『たった1日でできる人が育つ! 「教え方」の技術』(齋藤孝著、PHP研究所)。

大学教授として若い人と20年以上つきあってきた著者が、新入社員もできない人も「戦力」に変えるためのメソッドを公開した書籍。

本書で著者は、誰もが「教師」になる必要性のある時代において、上司・先輩は必要なことをより短時間で部下や後輩に伝えなければ、仕事が回らなくなってきていると指摘しています。

■最低限のことは教えよう

大きな要因として考えられるのは、職場にパソコンが普及したこと。その結果として生産性が大きく向上したわけですが、そのぶん個人の仕事量は大きく増えることにもなりました。

しかもいまは時代の流れが速いので、新しい仕事もどんどん増える一方です。

ではそんな状況下、職場に新しい人が入ってきたとしたらどうなるでしょうか? それは新卒の場合もあるでしょうし、異動で他部署から移ってくる場合も考えられるはずです。

しかしどうであれ、たとえその人がどれだけ優秀だったとしても、経験知がなければ力を発揮することは不可能。そこで、最低限のことは部署で教える必要性が生まれます。

■見て覚える時代ではない

そうはいってもインストラクターがいるわけではありませんから、誰かが自分の仕事と並行して教えなければなりません。

ただでさえ忙しいのに仕事が上乗せされるわけですから、かかるエネルギーもプレッシャーもかなりのものであるはず。

そしてもうひとつの問題は、いまはもう新人が「見て覚える」時代ではないことだといいます。

職人や芸の世界ならともかく、一般的な職場においては、上司や先輩の言動を見て主体的に判断・行動できるタイプは減っているわけです。

だから、「見ていれば覚えるだろう」では、新人にとってはストレスになるだけ。「なんも教えてもらえない」と上司や先輩への不満を募らせるばかりだということです。

重要なのは、「まずは基本的なことをていねいに教えてほしい。そうすれば、ちゃんとできるようになる」というタイプが多いこと。

この点について著者は、「最近の若い人は真面目なので、うまく教えれば順調に成長するものだ」と断言しています。

つまり仕事の種類が増えたうえに、「ていねいに教えてほしい」という若者が増えた。そんな状況下では、この2つの要素をクリアする必要があるということ。上司や先輩は、効率よく、細やかに教えることが求められるというわけです。

■2つの基本的な「心構え」

そしてそんな観点に立った場合、職場で「教える」ということについては、持つべき2つの基本的な“心構え”があると著者はいいます。

まずひとつ目は、「教える」ことは「業務の一環」であると覚悟を決めること。

部下や後輩が入ってきたり、その指導係を任されたりすることを「面倒だ」と感じる人は少なくないでしょう。

たしかにそれは時間を必要としますし、大きなストレスの原因にもなります。まして上の世代は、「自分が新人のころはそんなに教えてもらわなかった」と、ていねいに教えることを「不必要」と考えがちでもあります。

(1)伝承し続けること

しかし、その根底にあるのは「教えることは業務外のサービスである」という意識なのではないかと著者は指摘します。

そして、「だとすれは、明らかに時代を読み違えている」とも。以前がどうであれ、いまはかなり変わってきているのです。

会社組織のなかで重要なのは、毎年のように人が入れ替わるなかで、ノウハウや技術などを伝承し続けることにほかなりません。

そうでなければ組織の意味がないわけなので、そこに費やすエネルギーを惜しんではいけないわけです。

(2)教える循環をつくること

ただし、特定の誰かが教育の全責任を負う必要はなく、大切なのは全員が役割を分担し、「教える循環をつくる」ことだといいます。つまり、これがふたつ目の“心構え”。

たとえば学校の部活には、3年生が2年生に教え、2年生が1年生に教えるという循環があるものです。

会社でも同じように、入社2年目の時点で新入社員の教育係を務められるようになれば、3年目以上の社員の負担はかなり軽減されるはず。

このように「教える」という行為を血液のように循環させることが、組織にとっての生命線になるという考え方です。

経験に基づく著者の言葉には、強い説得力があります。そんなこともあり、教え方で悩んでいる人にとっては、大きく役立つ内容だといえそうです。

(文/書評家・印南敦史)

 

【参考】

※齋藤孝(2015)『たった1日でできる人が育つ! 「教え方」の技術』PHP研究所

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