あがり症の人こそ意識しておきたい緊張を1/3に減らせる考え方

  • LINEで送る
2016.03.08

suzie.20160308

「あがりや緊張を克服したい」「ここぞという場面で力を発揮できるようになりたい」「大勢の前でも堂々と話せるようになりたい」というような望みは、誰の心のなかにもあるものなのではないでしょうか?

しかし、わかってはいても、なかなかうまくいかないものでもあります。

そこで手にとってみたいのが、上記のように願っている「人たちに向けて書かれたという『本番に強い人は、ヤバいときほど力を抜く 人前で話すのが劇的にラクになる7つの技法』(森下裕道著、清流出版)。

接客、営業、人材育成、人間関係のコミュニケーション問題の観点から幅広く活動する著者が、円滑なコミュニケーションを実現するための術を明かした書籍です。

本書において著者は、いま感じている緊張は、3つに分けられると主張しています。はたして、どういうことなのでしょうか?

■著者が教える「緊張の公式」とは

どんなにあがり症の人でも、ちょっとのことで緊張してしまう人でも、その緊張度合いを1/3以下に減らすことができるのだと著者はいいます。なぜなら緊張は、次のような公式で表すことができるから。

「自分が感じている緊張度合い」=「自分の過去の体験やトラウマからくる緊張」+「自分のいまの実際の緊張」+「自分が勝手に想像してつくった未来の緊張」

「自分が感じている緊張度合い」は、3つの要素の複合体だということ。

本来は「現実問題の緊張」だけでいいにもかかわらず、そこに「過去の体験からくる勝手な思い込みによる緊張」と「勝手につくった未来の不安や被害妄想からくる緊張」とを合わせ、3倍以上にふくれあがらせてしまっているということ。

だとすれば、たとえ緊張したとしても、本来感じるべき緊張は、いま感じている緊張の1/3以下にはなるという考え方です。

犬が苦手で、犬を怖がる人の例で考えてみましょう。

■緊張度合いを構成する3つの緊張

(例)

「自分が感じている緊張度合い」

……友人の家に遊びに行ったら、部屋のなかに苦手な犬がいた。その犬が近くにいる緊張度合い。

たとえばこの緊張度合いは、次の3つの緊張によって構成されているということです。

「自分の過去の体験やトラウマからくる緊張」

……幼いころ、親戚の犬にしつこくちょっかいを出していたら、いきなりガブッと手を噛まれた。そのときの「いきなり噛みつかれた恐怖」と「痛かった体験」からくる緊張。「また噛まれるに違いない」という勝手な思い込みからくる緊張など。

「自分のいまの実際の緊張」

……犬が近くにいる、その実際の緊張。

「自分が勝手に想像してつくった未来の緊張」

……幼いころの犬に噛まれた経験から、「また噛まれたらどうしよう」「また急に襲ってきたらどうしよう」「こっちに向かってきたらどうしよう」など、自分で勝手につくった未来の不安や恐れからくる緊張、自分で勝手につくった妄想からくる緊張など。

■過去に起きた悪いことは続かない

当たり前の話ですが、幼いころ犬に噛まれたからといって、今度もまた噛まれるとは限りません。

それに目の前にいる犬は、幼いころに出会った犬とは違う犬です。だからこそ、そこまで怖がる必要はないということ。

「こうなったらどうしよう」という「未来の緊張」など、他人からすれば理解不可能なことでしかないでしょう。

それに、ある人が恐怖心を感じる犬も、犬好きな人にととてもかわいく映る可能性があります。そんなとき「犬を怖がっている」と伝えたりしたら、「大の大人なのに」と驚かれるかもしれません。

緊張や不安、恐れなどを感じたら、次のように考えるべきだと著者は提案しています。

「ちょっと待てよ。これって、本当にそこまで怖いものなのだろうか?」

たしかに、自分の過去の嫌な体験やトラウマから緊張してしまうことは十分に考えられることではあります。

しかし問題は、「過去の悪いこと」がずっと続くものだと思い込んでいるということ。そして、なぜかそういう人は、悪いことは続くのに、よいことは続かないと思っているものだと著者は指摘します。

でも、そんなことがあるはずもありません。なぜなら、未来は“現在”の延長線上にあって、よいことは続くものだから。

当たり前のことなのですが、そこに立ち戻ると、たしかに緊張を緩和することができそうでもあります。

本来あるべき原点に立ち戻るためにも、目を通してみる価値はあるのではないかと思います。

(文/書評家・印南敦史)

 

【参考】

※森下裕道(2015)『本番に強い人は、ヤバいときほど力を抜く 人前で話すのが劇的にラクになる7つの技法』清流出版

関連記事