本を読むのが遅い人でも多読家になれる「寝起き10分」読書習慣

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2016.03.11

innnami

いま、読書に苦手意識を持っている人が少なくありません。

平成25年の文化庁調査では、1カ月の読書量が「0冊」という人が47.5%とほぼ2人に1人。「読書に興味はあるけど、時間がなくて……」「もっとスラスラ本が読めればなぁ」なんて思っている人も少なくないのでは?

「僕も、本を読むのが遅いんですよ、本当に。気づくと同じ行を何回も読んでいたり、放っておくと1ページ読むのに5分くらいかかっちゃう“遅読家”なんです」

そう話すのは、月60冊の本を読み、『Suzie』など4つの媒体で書評を発表している書評家の印南敦史さん。

“遅読家”なのに1日2冊も本を読める、その秘密はどこにあるのでしょう? 『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(ダイヤモンド社)を出版した印南さんに、本がスラスラ読める”とっておきの方法”を伺ってきました!

■10日間のダラダラ読みより60分のパラパラ読み

印南さんがすすめる基本の読書スタイルは、このひとことに集約されています。パラパラ読み、つまり本の内容が自分のなかを”流れていく(flow)”ように読む。それは”読書”という言葉から受けがちな、じっくり熟読するイメージとは対照的なスタイルです。

「そもそも、時間をかけて熟読しても、内容の多くは忘れてしまうものです。じっくり読んでも流すように読んでも、印象に残る部分は案外同じだったりしますし、むしろ、さらっと流し読みすることで、自分にとって重要な部分が浮かび上がるんです」と印南さん。

「毎日本を読んで書評を書く」という仕事を始めてからそのことに気づいた印南さんは、読書への考え方を180度転換します。そして生まれたのがこの「フロー・リーディング」という発想。”流れるように”さらっと目を通し、気になった言葉や引っかかったところに重点を置く読書法です。

■読書リズムをつくる秘策「寝起き10分読書習慣」

読書に対する思い込みを取り払ったら、身につけたいのが「読書リズムをつくる」こと。そのためのとっておきの方法が“寝起き10分読書”です。

「まず1日10分でいいから、決まった時間帯に本を開く習慣をつけること。本を開くことが”普通”になれば、電車に乗ったり時間がちょっとあいた時にもスマートフォンではなく本を開くようになったり、読書がどんどん身近に、楽しくなっていくんです」

10分では短い気がしますが、じつはそれもポイント。とにかく時間がないという人も1日10分なら確保でき、時間に制限があることで集中力が高まってフロー・リーディングがしやすくなるといいます。

そして“寝起き”の真意は?

「起きたときって頭が冴えていて、情報がすぐに頭に入ってきます。それに、読書のリズムをつくるには、毎日同じ時間帯に習慣づけするのがいちばん。

目が覚めてから布団を出るまでの時間って、ムダに費やしちゃうことが多いですよね。毎日10分くらいの時間を確保するのもわりと楽なので、習慣づけしやすいんです。その上、スッキリ起きられるメリットもあります」

■10分読書をするだけで1日中アイドリング状態に

さっそく読書の習慣づけにトライしてみたくなったという人のために、『遅読家のための読書術―』から、印南さんがおすすめする「iPhoneのアラーム機能を使った”寝起き10分読書”の具体例」をご紹介しましょう。

たとえば朝7時に起きて活動する場合――

・6時49分 目覚まし時計の音 → 読書開始

・6時50分 好きな音楽(読書用BGM) → 音楽を聴きながら読書

・7時00分 目覚まし時計の音 → 読書をやめて起きる

「1日10分の習慣がつけば、それがエンジンになるんです。たとえば朝10分読書して『もっと読みたいな』と思えたなら、そこで一旦やめても続きが気になるから、昼休みにまた読める。

そうやって1日ずっと“アイドリング状態”でいられるんです。エンジンをかければすぐにワッと発進できる、そんな状態をキープできるんですね。それを積み重ねていくと、本を開くこと自体が習慣になるんです」

『遅読家のための読書術―』は発売数日で増刷が決まるなど、大きな反響を呼んでいます。

「本をもっと速く読みたい、たくさん読みたいと思っている人がけっこういるということだと思っています。出版不況ともいわれるけれど、みんなそれほど読書嫌いではない気がする。

たとえばスマホを開いているとき、名作文学が読める“青空文庫”を読んでいる可能性もある。そうでなくとも、なんらかの文字情報に触れている人は少なくないはず。

本かどうかは別として”読んでいる”ことが、スタートラインとして重要じゃないかなと思うんです。スマホでなにかを読んで興味を持ったことがきっかけで、本を買ってみるということもあるでしょうし。

だから、『本が売れない』『みんな本を読まない』と悲観するよりも、もっと『本って楽しいよね』っていうことをいい続けていきたいですね」と印南さん。その言葉には、本を愛する気持ちがこもっています。

本書では、ほかにも本をスラスラ読める「フロー・リーディング」のアイデアがたくさん紹介されています。どれも”遅読家”の印南さんが編み出した、誰にでも可能な方法。

本を開けば別世界が広がったり、知らなかったことに出会えたり、それが読書の魅力です。本書をきっかけに、月20冊があたり前になる読書生活を楽しんでみませんか?

(文/よりみちこ)

 

【取材協力】

※印南敦史・・・作家、フリーランスライター、編集者。株式会社アンビエンス代表取締役。1962年東京生まれ。広告代理店勤務時代に音楽ライターとなり、音楽雑誌の編集長を経て独立。

ウェブ媒体『LifeHacker[日本版]』『NewsWeek日本版』『Suzie』『WANI BOOKOUT』などで年間700本以上の書評を発表している。著書に『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』(KADOKAWA)のほか、音楽関連著作が多数。

 

【参考】

印南敦史(2016)『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』ダイヤモンド社

本を年間700冊も読む書評家が教える「3つの読書習慣構築術」―Suzie

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