なぜ人事のプロは「同じ給料なら難しい仕事を選べ!」というのか

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2016.03.16

suzie.20160316

『熱狂しやがれ – 転職せずに100倍楽しく働く方法』(小杉俊哉著、ワニブックス)の著者は、NEC、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク、ユニデン株式会社人事総務部長を経て、アップルコンピュータ株式会社(現アップルジャパン)人事総務本部長に。

そして、そののち独立したという人物。3万人にキャリア研修を行ってきた実績もあり、つまりは誰よりも、「人が成長していくさま」を見てきた人物だということです。

そんなキャリアを軸として、本書ではビジネスパーソンとしておもしろく生きる方法を伝授しているわけです。

きょうはそのなかから、会社員にとってのお金、すなわち「給料」についての記述を引き出してみたいと思います。

■同じ給料なら難しい仕事を選べ

仕事に熱狂している人たちは、仕事を選べる立場になったとき(上司から選択肢を与えられたとき)、難易度の高い仕事を自然と選んでいるのだそうです。

もっといえば、「同じ給料なら、楽な仕事の方がいいに決まっているだろう」と思っている人がいたとしたなら、それは明らかに仕事に対する熱狂が足りていない証拠だと著者は指摘します。

そもそも難易度が高い仕事にチャレンジするとき、人は自分の実力以上のものを出さなければならないといいます。

いわば、それは背伸び。なぜなら、人は背伸びをする過程を経ないと成長しないものだから。いまの仕事に甘んじることなく、少しずつ背伸びをすることによって可能性が開けていくというわけです。

しかも、そうやってチャレンジした結果が成果につながれば、周囲から賞賛され、自尊心も満たされるもの。

それこそがビジネスパーソンにとっての至福の瞬間であり、それが最高の養分となるのだといいます。つまり、「やり甲斐」が生まれる瞬間。

また、それだけではありません。一時の幸せを噛み締めたら、そこに安住することなく、さらなる幸せを求めて新しいチャレンジを指向するべきだということ。

そうなると怖いのはゴールとしての「成果」ですが、仮に成果につながらなかったとしても、気にする必要はないと著者はいい切ります。

なぜなら仕事に熱狂している人は、成果を出せなかったとしても「ベストを尽くしたのだから仕方がない」と、気持ちをすぐに切り替えることができるものだから。

いっぽう、中途半端な気持ちで仕事に取り組んでいる人は、失敗を経験してもその原因がわからないもの。だから結果的に、失敗したという「結果」だけを引きずってしまう傾向があるのだそうです。

しかし、著者はこう断言します。本来、仕事の醍醐味とは「プロセス」にあるのだと。プロセスで全力を尽くすことで、はじめて失敗からなにかを学び取ることができるというわけです。

「今回はこうやって失敗したから、次はもう少し工夫をして絶対に成果を出そう」と、再挑戦に向けて自分を鼓舞できるということ。

■簡単な仕事を選ぶとどうなる?

では逆に、難易度が低い仕事ばかりをしているとしたら、結果的にどんなことになるのでしょうか?

この問いに対して著者は、それだと「普通にやっていれば成果は出せるだろう」と甘えの感情が肥大化していくものだと断言しています。いいかたを変えれば、マンネリ化、ルーチン化。

だから、必死でやろうとは思わないわけです。だから、日に日に仕事に対する熱量が低下していってしまうということ。

だいいち、簡単な仕事で成果を出したとしても、それは「やって当然」だと思われるだけ。当然のことながら、周囲から評価されることもないわけです。

もし、自分では真面目にやっているのだとしても。だとすれば、自尊心が満たされることもないということになります。

それどころか、難易度の低い仕事でミスを犯してしまったとしたら、それこそ目も当てられないことになるでしょう。

周囲の評価も著しく落ちることとなり、それによって自信を失ってしまうことも十分に考えられます。

だからこそ、「どうせ同じ給料なら、難しい仕事を選べ」と著者は断言するのです。それは緊張感を生み、精度の高い仕事につながり、ひいてはさらに高い給料へとつながっていくものだから。

著者の主張は(文体も含め)とても熱く、だからこそ不思議な説得力があります。なにかしたいことがあって、でも一歩が踏み出せないという人にとっては、格好の一冊であるといえます。

(文/書評家・印南敦史)

 

【参考】

※小杉俊哉(2016)『熱狂しやがれ – 転職せずに100倍楽しく働く方法』ワニブックス

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