一風堂も一蘭も!福岡に「一」の付くラーメン屋が多いのはなぜ?

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2016.03.17

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全国のラーメンを食べ歩くラーメンミュージシャン、井手隊長です。

北は北海道から南は沖縄まで食べ歩いていますが、普段は「お店の名前の由来」についてあまり気にすることがありません。

しかし、いろいろ調べてみるとそれぞれおもしろくて、店主の方のお店にかける思いが伝わってきます。

本や曲でも、タイトルって非常に大切な要素ですよね。ラーメン屋さんの店名もそう。ラーメンの中身と同じぐらい、吟味されている店名が多いんです。

そんななか、気になったのが福岡のラーメン屋さんの店名。今回、ある共通点を見つけました。

そこで、フードジャーナリストでラーメン評論家の山路力也さんのお話をもとに、福岡のラーメン屋さんでよく使われている数字の疑問を解明していきたいと思います。

■福岡には「一」の付くラーメン屋が多い説

福岡には、博多ラーメンや長浜ラーメンを中心に、豚骨一本のこだわりのお店がたくさんあります。

有名なラーメン屋さんの名前を挙げていくと、ある法則性に気づきませんか?

そうです! 「一」がつくお店がずいぶん多いのです!

しかも全国、世界的に展開されているラーメンチェーン店の名には軒並み「一」がついています。

たとえば、『一風堂』『一蘭』『一幸舎』……。他にも長浜には、横文字の「1(ワン)」が付いた、『ナンバーワン』という人気店もあります。

『一風堂』と『一幸舎』の公式サイトを見てみると、店名の由来が以下のように記されています。

『一風堂』 → ラーメン業界に「一」陣の「風」を巻き起こす

『一幸舎』 → 「一」つでも多くの「幸」せをお客様やスタッフ、関わる全てに与えられる空間「舎」をつくりたいとの想いを込めて

由来はそれぞれ違うものの、ラーメンファンとしてはこれを「偶然」で片づけるには寂しい気がします。

それで、この点について山路さんに話を伺ってみました。

山路さんいわく、「戦後すぐに、『一九ラーメン』や『一心亭』のように「一」を付けている老舗が増えてきたところに、後発の『一風堂』『一蘭』『一幸舎』などが出てきました。

あとは『長浜一番』や『一竜』などの屋台もあって、さらに最近だと『一双』も出てきて、ますます「一」がつくお店が増えている状況になっています」とのこと。

なんと、この風潮は戦後からだったんですね。

■店名に「一」を入れるのは老舗店の影響?

さっそく、山路さんから名前の挙がった老舗『一九ラーメン』の店名の由来を調べると、「一から九、始めから終わりまでよろしくお願いします」という意味を込めて、とありました。

老司四ツ角に開店された当初は、幹線沿いにはラーメン屋さんは皆無に等しかったといいます。そんななかで「一」からラーメン屋さんを立ち上げる……。店名にはそんな想いがあったようです。

というわけで、疑問の答えは「一」から豚骨ラーメン屋さんを立ち上げた『一九ラーメン』などの老舗の存在に、『一風堂』『一蘭』『一幸舎』などの福岡を代表するお店が出てきて、その流れを受けて「一」を冠するお店が定着した、ということになります。

ただ、「一」は単なる数の名ではありません。他に、「最もすぐれていること」「最上」「最高」(大辞泉より)という意味もあります。

福岡の博多ラーメンは、全国でも1、2を争うご当地ラーメンとして知られています。

『一風堂』『一蘭』『一幸舎』は、博多ラーメンの全国代表としてのプライドも大きいでしょう。そんななか、「一」を冠した店名からはその気合がビシビシ伝わってきます。

豚骨「一」本で気合でのし上がってきた福岡のラーメン。「豚骨では他のどの県にも負けない!」そんな思いで今後もラーメン界を牽引していっていただきたいですね。

これから、さらにどれだけ増えていくのか。福岡の動向に注目です。

(文/ラーメンミュージシャン・井手隊長)

 

【取材協力】

※山路力也・・・フードジャーナリスト/ラーメン評論家/かき氷評論家。

著書『トーキョーノスタルジックラーメン』『ラーメンマップ千葉シリーズ』(幹書房)他。連載『SENSE』(センス)『世田谷ライフmagazine』(枻出版社)『千葉日報』(千葉日報社)『Retty』(Retty)他。

ウェブ『ラーマガ』『トーキョーラーメン会議』『千葉拉麺通信』運営。テレビ『モウソリスト』(フジテレビ)『ZIP!』(日本テレビ)『L4you!』(テレビ東京)他。

飲食店プロデュース、商品プロデュース、イベントプロデュースなども精力的に行い、常に「作り手の顔が見える料理」を愛し「その料理が美味しい理由」を考えながら情報発信している。

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