3人でひとつ!自信のない狩野アナが「モヤさま」で救われた一言

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2016.03.18

suzie.20160318

『半熟アナ』(狩野恵里著、KADOKAWA)の著者は、テレビ東京の人気女性アナウンサー。

前任の大江麻理子アナに代わり、2013年4月からバラエティ番組『モヤモヤさまぁ~ず2』(モヤさま)に出演していることで知られています。

そればかりではなく、他にも『ネオスポ』『SUPER GT+』『競輪中継』などにも出演し、さまざまな分野で活躍中。

本書は、そんな人気女子アナによる初のエッセイ。生い立ちから、『モヤさま』に初めて出演した時のエピソードや失敗談、さらには将来に対する思いなどを、素直につづった内容です。

■1:「振られたら全力で」

著者は『モーニングサテライト』や『ワールドビジネスサテライト』の現場で約3年を過ごしたのち、2013年の春から『モヤさま』に携わることになったのだそうです。もちろん、初のバラエティ番組。

見たことのある方ならおわかりかと思いますが、出演者がしばらくしゃべらない場面など、独特の“間”があるのがこの番組の特徴。

しかし著者は「しゃべりたいときにしゃべり、“間”を埋めて20数年を生きてきた」タイプなので、そこに戸惑いを感じたのだとか。

具体的にいえば、“間”を埋めすぎてしまったり、さまぁ~ずのふたりの言葉で場が盛り上がったところに言葉をかぶせてしまい、おもしろさを半減させてしまったりするようなことが何度もあったということ。

しかしそんなときにも、さまぁ~ずのふたりは、「振られたら全力でいけよ! トライ精神をなくしたら人生終わりだぞ」と励ましてくれたのだとか。

その言葉に助けられ、「番組をよくするためにはどうしたらいいのか」について、より深く考えるようになったのだといいます。

■2:「三歩進んで、二歩下がる」

そこで著者は、さまぁ~ずやスタッフからの助言を受け、「我慢」をしてみることにしたのだそうです。

話し出すタイミングを3秒ほど「我慢」して待ち、そして、思いついたことをすぐに口に出すことを「我慢」する。

“間”が開くと必要以上に焦り、なんとかそこを埋めようと話をしまくる人がいます。著者がまさにそのタイプだったわけですが、そこを改善しようとしたわけです。

“間”があっても慌てず焦らず、さまぁ~ずのふたりの呼吸をよくチェックして、間合いをはかってみるようにしたということ。

とはいえ当然のことながら、一流芸人の呼吸に合わせて場の空気を読むということは、そうそう簡単ではないでしょう。

実際ふたりからは、「最初の半年ぐらいは本気でヒヤヒヤしたよ(笑)」といわれたといいますが、実際そのとおりだと自分でも認めています。オンエアを見て、自分でも自分にヒヤヒヤすることがあるということ。

しかし、だからこそ、大切なことがあるのだと著者はいいます。

三歩進んで、二歩下がる。

いけるかなと試してみて、行きすぎたと感じて、戻る。

それが重要で、毎回、その繰り返しだというのです。そしてその根底には、なにも攻めないで縮こまるより、「攻めすぎて戻る」やり方でいくしかないという思いがあるようです。

■3:「3人で、ひとつ」

そんな調子で、周囲からいろいろなアドバイスを受けながら、あっという間に3年が経過。

それでもいまだに、「モヤさまメンバーの一員」だとはなかなか胸を張っていえない状態。

しかしそんなある日、「きょうは朝からテンションが高いな」とふたりにいわれたことがあったのだとか。

また出すぎてしまったと思って「すみません! 静かにします」と誤ったところ、三村さんから「いいんだよ。俺ら3人でバランスとれば。その方が楽だし」といわれたのだといいます。

このとき、「3人で、ひとつ」という考え方に感動し、そして救われた思いがしたのだそうです。

「新参者として入ってきた人間がどんな気持ちでいるか、きっと考えてくださったに違いない!」と思ったといいますが、そのとおりだったとしても、勘違いだったとしても、そう捉えることはとても大切。

そういう意味で著者は、「ポジティブ思考」の意義を無意識のうちに活用しているといえるかもしれません。

柔らかな文章からは、誠実に書こうとする姿勢がはっきりと感じられます。だからこそ読みやすく、苦悩しながらもあきらめない前向きさに共感できるはず。特に働く女性には、ぜひ手にとっていただきたい一冊です。

(文/書評家・印南敦史)

 

【参考】

狩野恵里(2016)『半熟アナ』KADOKAWA

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