一流みかん農家が教える「プロフェッショナルになるための流儀」

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2016.03.19

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仕事のジャンルにかかわらず、「仕事で一流になりたい」と思っている方は多いのではないでしょうか。しかし、「一流とはなにか」「どうすれば一流と呼ばれる人になれるのか」など悩むことも少なくないと思います。

今回は、和歌山県の有田みかん農家の三代目・谷井康人さんが書いた本『奇跡のみかん農園 けっして妥協しない零細農家のすごい仕事の話』(SBクリエイティブ)をピックアップ。

谷井さんは父親から継いだ小さな農園主ですが、毎年お断りするほどみかんの注文が殺到するまでに成長。

また、パークハイアット東京やザ・ぺニシュラ東京、フォーシーズンズホテル丸の内などの東京の名立たる高級ホテルに生搾りのフルーツジュースを卸す一流のビジネスマンでもあります。

そんな谷井さんの「プロフェッショナルになるための流儀」とは、どのようなものなのでしょうか。早速ご紹介していきたいと思います。

■1:ひとつのことを極めて一流になる

「雲の上の頂上に登りなさい。雲の上の頂上に登ると、下界からは見えない他の雲の上の山頂が見える」

これは、ひとつのことを極めて一流になると、他業種でも一流の人たちに会えるようになるという意味。著者が師匠と呼んでいる農園主・永田照喜治さんの言葉だそうです。

永田さんは作物の糖度や栄養価を高める「永田農法」の開発者でもあります。著者は高校卒業後こちらの農園で働き、この言葉で、視界が一気に広がったそうです。

■2:20代で1000万円分食べる

「みかん農家」という食の仕事をする著者が、一流オーナーシェフからいわれたのは「20代で1000万円分食べなさい」ということでした。

「食べたら、プロに負けない舌ができる。まずは食べることだよ」といわれ、そのとおりに実践。おかげで、今は高級ホテルやレストランで仕事をするとき、どんなシェフが出てこられても、舌では負ける気がせず、自信をもって自分の意見を言うことができるそうです。

仕事に必要であれば、お金がかかっても、よいアドバイスを実行に移すことが一流への道なのでしょう。

■3:お金で経験を買う

若いときはお金の貯金をするよりも、お金を経験に変えて、「経験貯金」をしましょう。「どんな分野でもよいので、自分の熱中できるものにどんどんお金と時間を投資して、経験という貯金をする。

次第にその経験がその人の魅力となり、人から見たらいつも輝いている人間となって映る」と著者はいいます。一流を目指すなら、他の一流の職人が持つ空気感を味わう・経験することが重要。

著者もお客様の求める味を追求し、一流の人を相手に仕事をするために大きな金額を投資してきたそう。失敗もあったそうですが、お金は無駄にはならず、経験として自分に返ってきているようです。

■4:ホテルごとの100種類の味を覚える

著者は、取り引きするホテルの要望に合わせたジュースをつくることを心がけています。そして、一度つくれば終わりではなく、さらに少しずつでも改良を重ねているといいます。

約100種類ものジュースを頭に入れ、それぞれに違う酸味、甘味、濃度加減など、数字ではなく舌で覚えてブレンド。ときには、頭と体で覚えることも重要だということです。

■5:一流のお客様に愛されるものをつくる

自然界では、川流れのように上から下へと流れる法則があります。下流でうろうろしていてもダメです。下流でヒットした商品は一時的には売れたとしても、すぐに消えてしまうし、忘れられてしまうもの。

上流、すなわち一流のお客様に評価されると、商品は長く生き続けると著者はいいます。そうすれば、10年、20年経ったときに勝ち組になっているはずだという考え方。

■6:できないときは正直に謝る

一流のお客様とおつきあいするコツは、媚びを売らないこと。

味や値段には妥協せず、おいしいみかんができなかったときは「今年はおいしいみかんができなかったので、送れません。すみません」と謝るそうです。

みかんは生もの、年によっても出来の良し悪しがあります。お客様にも5年10年というスパンで毎年毎年食べていただくことで、同じように自然とつきあってほしいとのことでした。

■7:スタッフをリッツ・カールトンに宿泊させる

経験を通して学ぶことはとても大事です。お客様から「おたくの電話対応はおかしい」とクレームが入り、スタッフの研修として「ザ・リッツカールトン大阪」のクラブフロアに泊ってもらったとのこと。

ホテルのサービスやホスピタリティに感心したスタッフは、電話対応の声や言葉つきまでガラリと変わり、大きな変化があったようです。

■8:ひとつに特化して深く掘る

三代目サルバトーレ・フェラガモ氏と食事をする機会に恵まれた著者は、「ブランド価値を高めるためには、なにをするべきだとお考えですか」と、思い切った質問をしました。

すると、「ひとつに特化して、深く掘ることが大事。そしたらそこにブランドができる」とのお答えをいただいたそうです。

著者もひとつのことをやり続けて臨界点まで達したときに、ポンと跳ねることができる、と考えていたそう。やはり、これだと思ったらとことん突き詰めるのが重要なようです。

著者の好きな言葉に「種のまき方で、収穫は決まる(アール・ナイチンゲール)」という名言があります。人生で手に入れる収穫物はすべて、自分が社会にまいた種の質と量の結果、という意味だそうです。

少しでも共感がある人は、ぜひ本書を手に取って、一流に近づくヒントを得てみてはいかがでしょうか。

(文/齊藤カオリ)

 

【参考】

谷井康人(2016)『奇跡のみかん農園 けっして妥協しない零細農家のすごい仕事の話』SBクリエイティブ

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