360万人も保育園に入れない!なぜ「待機児童」が生まれるのか

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2016.03.22

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『はてな匿名ダイアリー』に投稿された「保育園落ちた日本死ね!!!」というエントリーをきっかけに、いま待機児童をはじめとする育児の問題が噴出しています。

待機児童を抱える女性たちが「落ちたのは私だ」というデモを起こすなど、社会現象になりつつあります。

厚生労働省の発表によると、2015年4月1日の時点での保育所全体の定員は234万人。

保育所を利用する児童数は2,266,813人で前年から47,232人増加しており、特に3歳未満は31,184人増えています。

一方で待機児童数は21,371人。ピークだった2010年の26,275人より4年連続で減少しているものの、まだ多くの子どもが保育園に入れていないという悲惨な状況です。

また、NPO社会保障経済研究所代表の石川和男氏は、潜在的に保育園に入りたくても入れない子どもが360万人もいると試算しています。

この数字からも、「女性が活躍しやすい社会」という政府の方針とは程遠い現実が見て取れますよね。

この待機児童問題について、私たちはどんなことを知っておくべきなのか?

幼稚園・保育園の口コミサイト『園ナビ』を運営する株式会社うるるの脇村瞬太氏に背景と対策を教えていただきました。

■実は待機児童問題は都市部だけではなかった!

そもそもの話として、高度成長時代より子どもの数が減っているのに、なぜ待機児童が生まれてしまうのでしょうか?

脇村氏は、貧困世帯の増加が原因だと語ります。

「都市部ほど深刻に見えますが、全国的に貧困が拡大してきて、共働きでないと食べていけない世帯が増えていて、さまざまな問題が同時に表面化してきています」(脇村氏)

実際、前述の厚労省の調査でも、待機児童数一位は東京都の8,672人ですが、第二位は沖縄県の2,160人。熊本県が678人で福岡県の315人の倍以上。

待機児童は、必ずしも都市部だけの問題ではないのです。

また、脇村氏は「生活保護の受給者が過去最高(2015年7月、215万5,278人)となっているように、幼稚園の保育料が払えない世帯が増えています。

潜在的な数が300万人以上というのも、家から近くて月謝が安いという、望んでいる園に入れない層が多いことを示しているのだと思います」とコメント。

つまり、「月謝の安い保育園を」と思ってなかなか保育園が見つけられない世帯もいる、ということ。

「保育園の情報は、各自治体から出ている情報がすべてなんです。だから、昔からやっている環境のいい園のことは、どの親御さんも知っていて、みんな入れたい。そこから漏れた世帯が、“保活”をすることになるわけです」(脇村氏)

いま、高い月謝を払える人達は少ない。それで、保育園難民となってしまうというわけですね。

■1月から複数の保育園に内金を入れておくべし

それでは、少しでも条件のよい保育園に入れるためのポイントはあるのでしょうか。

「決まった答えがないのが、待機児童問題の難しいところなのですが、いちばん大事なのはご自身の就業環境や親との住んでいる場所の近さなど、なにが加点要素でなにが条件として良くないのか把握しておくこと。

その上で、4月のタイミングで入園させるのに、前年の秋にあった認可保育園の応募の結果が出るのが2月ですが、そこから動いては遅い。1月の段階で、内金を入れておく園をいくつか持っておくことも必要コストのうちです」(脇村氏)

預ける場所がなくて露頭に迷わないよう、複数の選択肢を早めに用意することが待機児童にならずに済む最低条件といえそう。

さらに脇村氏は「みんなが希望する園に入るのは現実的に無理でしょう。ご自身の選べる中でベストは何なのか、情報を集めて検討することも大事です」といいます。

妊娠中から保育園を探しはじめる女性も多いです。「子どもがほしい」と思った段階で保育園探しをしておいてもいいかもしれませんね。

ちなみに『園ナビ』によるインターネット調査では、園の情報収集を92.3%が母親が担当しており、父親の関与はわずか3.4%。

園を決める決定権も母親が83.7%で父親が14.3%と、女性の側に負担が偏っていることが浮き彫りになっています。

同調査では93.1%が「園選びに不安に感じた」と答えていますが、まずは世帯内で話し合い、心配ごとを共有するといったことも必要になってくるのではないでしょうか。

(文/ふじいりょう)

 

【参考】

園ナビ

「待機児童」数、実は360万人超? 多様な保育サービス事業者の参入を!-アゴラ

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