月6万5千円の年金だけでは生活できない!高齢者の生活保護実態

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2016.03.24

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現在、高齢者の貧困問題がさかんに報道されています。

生活保護の受給者数が過去最高を更新し、高齢者世帯の生活保護受給数も増加。厚生労働省の発表によれば、平成27年12月に生活保護を受給した世帯の49.6%が、高齢者世帯となっているのです。

また年金だけでは暮らせず、生活保護を受給する高齢者が増加していることも話題になっています。そこで高齢者の生活保護実態について、横浜市健康福祉局・生活支援課の大井担当課長にお話を伺ってみました。

■60歳以上で生活保護を受給する人は107%も増加

横浜市の平成24年から平成27年度までの生活保護受給者数は、全体で103.6%の増加となっています。

しかし60歳以上では107%の増加、そして60歳以上で老齢年金を受け取りながら生活保護を受給する人は122.7%の増加だそうです。

老齢年金受給者は、老齢基礎年金のみ、基礎年金と厚生老齢年金、(旧)老齢年金の受給者の合計です。障害年金や遺族年金などは除いています。

横浜市のデータでもわかるとおり、年金だけでは生活できず、生活保護に頼る高齢者が増えているのです。

理由としては、「貯蓄がない」「持ち家などの資産形成ができなかった」「親族からの援助が望めない」などが挙げられるといいます。

たとえば、70代のひとり暮らし女性の場合。家賃が5万円で、生活費を含めて毎月13万円が必要だと仮定します。

これまでは年金6万5千円、アルバイト収入6万円、息子からの仕送り1万円の計13万5千円でギリギリ生活できていました。

しかし仕事をするのが困難になり、収入がゼロに。息子からの仕送り額も増やせず、貯金もなければ、自力では生活できなくなり、足りない分を生活保護に頼らざるを得ない事態になるわけです。

生活保護費は、地域や世帯の状況によって異なりますが、生活保護の基準となる最低生活費から、収入(年金や親族からの援助等)を差し引いた差額が支給されます。

上記のケースの場合は、最低生活費から、年金6万5千円と仕送り1万円を引いた額が支給されるのです。

■国民年金の40年間納付だけだと老後の生活が厳しい

ずっと正社員で働き、厚生年金にも加入している場合は、年金受給額も少なくありません。

一方、自営業やフリーランスの人など国民年金だけの場合は、40年間納付したとしても、支給額は月6万5千円程度。国民年金だけを頼りに生活していくのは厳しいのです。

年金をもらいながらでも働くことは可能です。しかし継続雇用で65歳まで働けたとしても、その後の職探しは簡単ではありません。

現在、65歳以降も働きたい人が増えているようです。平成27年4月には、経済的に困っている人に、自立に向けた人的な支援を行う「生活困窮者自立支援制度」がスタート。

横浜市の相談窓口には、高齢者からの相談も多いといいます。年金だけでは不十分、体が丈夫なうちは働きたいと希望する人が多いそうです。就労支援の他に、家計管理の支援も行っていて、とても好評だと聞いています。

■公的な年金以外に個人年金や不動産購入を検討すべし

仕事が見つかったとしても、いつまで元気で働けるかはわからないもの。老後破産を防ぐには、早めの備えが必要です。

大切なのは、いまから老後の資金形成を行うこと。公的な年金をきちんと納めつつ、個人年金保険への加入や不動産の購入、個人事業主なら国民年金基金への加入もいいかもしれません。

持ち家があれば、毎月の家賃の支払いがないため、年金と貯金で生活していける可能性があります。

また、リバースモーゲージを利用する手もあるでしょう。

リバースモーゲージとは、持ち家を担保にして生活資金の融資を受け、死亡した時点で自宅を処分して一括返済すること。つまり、自宅を死後売る約束を生前に結び、先にお金を受け取ることができるのです。

老後を年金や貯蓄などで無理なく暮らしていければ、それに越したことはありません。ですが将来、生活できないほど困窮状況になる可能性もあるわけです。

不正受給問題などのニュースから、生活保護に悪いイメージを持つ人は多いもの。しかし生活保護は、最低限度の生活を保障し、自立を助ける制度です。本当に生活に困ったときには、その選択肢があることも頭に入れておきたいですね。

そして老後はまだまだ先のことだと思わず、情報を集め、老後資金の準備を始めていきましょう。

(文/椎名恵麻)

 

【取材協力】

生活支援課-横浜市健康福祉局

 

【参考】

※第1回~第4回被保護者調査集計結果(平成24年度~平成27年度)-横浜市健康福祉局保護課

※被保護者調査(平成27年12月分概数)-厚生労働省

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