知ればパワーをもらえる!80歳で開業したおばあちゃんの生き方

  • LINEで送る
2016.03.26

CYMERA_20160319_105552

女性最高齢の79歳で宅建を取得し、80歳で不動産屋開業。とてつもないスーパーウーマンの話かと、誰もが思ってしまうことでしょう。しかしそれが、80歳まで専業主婦で生きてきた普通の女性の話だというのですから驚きです。

今回紹介する『85歳、おばあちゃんでも年商5億円』(WAVE出版)の著者・和田京子さんは、和田京子不動産代表取締役社長で、本のタイトルどおり85歳。

ずっと専業主婦で子ども二人を育て上げ、孫も成人。77歳のときに夫を看取ったあとは毎日寝てばかりだったといいます。

しかしある日、孫から「おばあちゃん、勉強しようよ」と提案されたのをきっかけに“80の手習い”として、宅建を受けることに。もともと家に興味があったこと、そして過去に購入した7軒の家のほとんどが欠陥住宅だったという悔しい思いが、学びたい意思につながったようです。

そんな和田さんが年商5億円の不動産屋さんになるまでには、どんな転機と考え方があったのでしょうか? 年齢を追って紹介していきたいと思います。

■「若い人が3回なら私は12回復習」79歳で宅建を取得

宅建を取ると決めて学校に通うようになって以降は、目覚めてから朝練代わりに問題を解き、朝食をとったら専門学校へ。

授業が終わったら学校内にあるテーブルを借りてその日に習ったことを復習し、家に戻ったらもう一度テキストを音読する、という徹底ぶり。

「教科書の習った部分を、次の授業までの3回は繰り返し勉強するように」といわれていたので、クラスメートの4倍の年齢やらなければと思ったそう。若い人が3回やるなら、自分は12回というわけです。

しかもどんどん学ぶ内容が増えるので、自分の時間のすべてを費やさなければ間に合わないと考えたといいます。

次第に楽しくなって勉強にのめりこんだそうですが、そこまで自分を追い込んで努力できたことはすごいとしかいえません。

■「働く場所がないから起業」80歳で不動産屋開業

晴れて宅建に合格した著者でしたが、それまでは専業主婦しかしたことがなかったのだとか。80歳で社会人一年生、実務経験ゼロ。もちろん雇ってくれるような会社はありません。

でも、「せっかく猛勉強して資格を取得したのだから、なんとか社会のなかで生かしてみたい」と起業を決意。不動産を取り扱う者として必要な火災保険と損害保険の募集人資格もすべて取得し、「起業に向けて精いっぱいやってみよう!」と気持ちを固めたといいます。

このようにどんどん行動する著者には、読んでいて本当に勇気づけられます。

「いい年になって、バカなことはおやめなさい」など、周囲の多くの反対を受けたという著者。しかし、子育てを終え、夫を看取ったおばあちゃんだからこそ、残りの時間をこの仕事に費やしたい。これまで家族のために生きてきた自分を、今度は社会のために役立てたいと本気で考えたというのです。

それでも、いざ営業をはじめてみると、わからないことだらけでオロオロ。知識としては頭に入っているものの、実践では教科書通りにはいきません。

家族の貯金を投げ出してはじめた会社なので、余裕があるわけでもなく、経費ばかりかさみ、家族からは何度も「もうやめよう」といわれたそうです。

それでも、やめるにはあまりにも悔いが残る。戦争のなかを生き抜いた経験もあり、おかゆをすすってもやめたくないと思ったようです。

■「同業者からの嫌がらせに屈しない」82歳ではじめての購入申込書

結局、開業して丸2年が経っても会社は一度の利益を生むこともできず、資金も底をつきそうに。ようやく一軒の契約が取れたときは、大喜びだったそうです。

しかし、今度はチンピラのようなたかり、つぶしの不動産屋に脅されることに。得られるはずの仲介手数料を踏み倒されそうになり、利益を横取りされそうになりました。

著者ははじめての契約だったので、謙虚に誠実に頭を下げてばかりいましたが「それでは負け犬になって子分として使われるだけ」。不動産の世界ではまったく通じなかったのです。

それでも、どんな時も正直に、礼儀正しくありたい。でも間違ったことを放ってもおけない……。断固戦うことを決め、顧問弁護士にお願いすることに。すると相手は手の平を返したように支払いに応じてきたのです。

著者の諦めない強い意志が、よい結果につながったのでしょう。

■「見栄を張らない」85歳で年商5億円の不動産屋さんに

いろんな苦難やトラブル、難案件があったものの、いまはお客様が絶えない店となった和田京子不動産。最近では商売に成功する秘訣を聞かれるようになりましたが、秘訣はないとのこと。

結局、考え方は主婦のときとちっとも変わらず、自分の生き方がそのまま商売に出ているそうです。ただ、もしこだわっていることをあげるなら、次の5項目とのこと。

(1)見栄を張らない

(2)お客様を選ばない

(3)お客様の不利益になる取引はしない

(4)どんなときも正直

(5)自分の判断基準をもつ

これは小さな不動産屋だからできること。手間もありますが、その分自信をもってお客様に提案できるようです。

また、和田京子不動産は年中無休、24時間営業。忙しい世間様がゆっくりできるのはお正月くらいだろうと、訪れたい人のために開けているのです。休みたいと思うときもあるそうですが、それもほんの一瞬。自立できているいまは、すごく気持ちがいいようです。

著者は戦時中、何度も人に助けられて生きてきた方です。

世代的に「お国のために死んでこそ立派」という教育をされてきたため、今日まで「戦争で亡くなった人に申し訳ない」と世の中に借りがあるような気持ちで生きてきたとのこと。

そこで最後の人生は、少しでも世の中のためになることをして「借りを返したい」と本気で思っているそうです。

この本は、85歳の一人の女性の生き様を描き、読む人に生きる希望と勇気を与えてくれます。生きるパワーが欲しい老若男女には、ぜひ一読をおすすめしたいと思います。

(文/齊藤カオリ)

 

【参考】

和田京子(2016)『85歳、おばあちゃんでも年商5億円』WAVE出版

関連記事