なぜ食品株や薬品株がブレイク?イマイチな銘柄が高値になる背景

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2016.04.04

suzie.20160404

『こんな時代に たっぷり稼げる株の見つけ方』(天海源一郎著、幻冬舎)の著者は、個人投資家が儲けるための投資の啓蒙をライフワークにしているという株式ジャーナリスト/個人投資家。

本書は「“いまそうなっていること”に素直になる(いまの株式相場の枠組みを知る)」「株価を動かす主体をイメージする(投資家が株価を決定している)」という考え方に基づき、個人投資家が「流れに乗る」ことを手段として書かれているものだといいます。

それは、「枠組み」と「投資家の動き」を意識するところからはじまるのだとか。いわばヤマ勘との決別だということで、地に足のついた考え方だといえるのではないでしょうか。

きょうはそのなかから、「イマイチ相場がビックリ高値になる背景」を取り上げてみたいと思います。

■食品株や薬品株がなぜかブレイク

2015年前半相場の特徴的な動きは、薬品株や食品株の上昇が派手だったこと。しかもそれは、“ド派手”といっていいほどのものだったのだとか。

8月初旬に日経平均採用銘柄(225社)の年初来騰落率をランキングしてみると、上位10社中6社が薬品株もしくは食品株で、これは過去にあまり例を見ない状況なのだそうです。

少し前に話題となった「食べるラー油」のように大ヒット商品が出ることはあるものの、よほどのことがない限り、売り上げが大きく浮き沈みすることがないのが食品業界。

なにしろ食品は必需品なので、コンスタントに売れる反面、それほどの変化はないわけです。風邪などの病気は景気とは無関係なので、薬品にしてもまた同じ。

つまり食品や薬品を手がけている企業の業績は、景気の波にあまり左右されず安定しているということ。

安定=「変化がない=目立たない=地味」というわけで、食品株や薬品株は典型的なディフェンシブ(防衛的)銘柄に位置づけられているもの。

高騰は期待しづらいながら、暴落のリスクも低いわけです。逆にいえば相場の上昇が顕著な局面では、見過ごされるべき銘柄群なのです。

■インデックス運用が拡大したから

なのになぜ、食品や薬品が2015年前半相場でさかんに物色されていたのでしょうか?

その一因として考えられるのは「インデックス運用」の拡大だと著者はいいます。インデックス運用とは、日経平均株価やTOPIXなどといった指数に連動するパフォーマンスを、着実に得ることを目的としたもの。

つまり、平均点狙いの投資ということ。指数をしのぐ成果は望めない代わりに、指数を下回る結果に甘んじることもあまりない手法なのだそうです。

こうしたことから、保守的な運用を重んじる機関投資家などの間では、インデックス運用が主流となってきたのだといいます。

個人投資家においてはコストが圧倒的に低いという観点から、インデックス運用の具体的な投資対象となってくるのはおもにETF(指数連動型上場投資信託)。

株と同じく証券取引所(市場)に上場しており、取引時間中ならいつでも時価で売買が可能。現にETFの運用資産残高は拡大の一途をたどっており、それは世界的に見られる現象でもあるといいます。

■イマイチ銘柄が高値をつけた背景

そして数あるETFのなかでも保守的な機関投資家が選考しがちなのは、よりボラリティリティが低い(値動きが穏やかな)タイプ。つまり、リスクの低いものが好まれているということです。

では、そのような低ボラリティブのETFがどうやってリスクを抑えているのかといえば、ディフェンシブ銘柄に属するセクターの組み入れ比率を高めることにより、運用の安定化を図っているのだとか。

つまり、「インデックス運用の拡大に伴って低ボラリティリティのETFが盛んに買われて運用資産残高が拡大→おのずとディフェンシブ銘柄がさらに組み込まれていく→株価が動き出すことから、トレンドフォローの投資家から追随買いが入る→株価高騰」という流れが生じたということ。

これが、「イマイチ銘柄」が驚くほどの高値をつけた背景だというわけです。

これはほんの一例ですが、わかりやすく解説されていることがおわかりなのではないでしょうか? いわば、株のことはよくわからないという方でも、その動き方を無理なく解釈することが可能なのです。

目を通してみれば、株に対する考え方が変化するかもしれません。

(文/書評家・印南敦史)

 

【参考】

※天海源一郎(2016)『こんな時代に たっぷり稼げる株の見つけ方』幻冬舎

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