議員って儲かるの?元市議会議員が明かす「政治家のお財布事情」

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2016.04.18

suzie.20160418

『あなたのまちの政治は案外、あなたの力でも変えられる』(五十嵐立青著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者は、茨城県のつくば市で8年間にわたって市議会議員を務めてきたという人物。

そのような活動を通じ、感じたことがあるのだそうです。

それは、多くの人が「どうして保育園に入れないのか」「なぜ街灯が少ないのか」など日常生活の不便さには関心を持っているのに、その原因となっている“政治”には関心を持っていないということ。

しかし現実的に、私たちの毎日の生活は政治から切り離されたものではないはず。だからこそ、多くの人々に政治への関心を持ってもらいたい。そんな思いから、本書を執筆したのだといいます。

主人公で主婦の香織、夫でサラリーマンの大輔、小3で長男のソウタ、2歳の長女ヒナタからなる「香織一家」を軸としたストーリー仕立て。話の要所要所で、ママ友や市議会議員、市役所職員などが絡んできます。

そのやりとりを読み進めるうちに、子育て、介護、交通、都市計画などさまざまな問題への疑問を無理なく解消できるわけです。

きょうはそのなかから、“政治とお金”についての気になる話を引き出してみたいと思います。

■市議会議員の報酬は人口によって変わる

この項で、「政治家ってやっぱり儲かるの?」というストレートな疑問が浮上します。

市議会議員の山下の回答によれば、議員は“報酬”を受け取っており、彼の議会の場合、額面は月額45万円なのだそうです。

「やっぱり多いんだな」という印象を否定できませんが、詳しく説明を聞くと、どうやらそうともいい切れないようです。なぜならこれは、会社でもらう給料とは違って、税金などが引かれていないものだから。

ここから所得税、国民健康保険税や市県民税、国民年金などをマイナスすると、手取りは月平均で24万円くらいだというのです。

それに加え、「期末手当」というボーナスのようなものももらえるので、実質は年450万円くらい。なお、業績に関係なく支払われるのだそうです。

ちなみに全国どこの市区町村でも同じ額だというわけではなく、人口が多いところは金額が多く、人口が少ないところは金額も少ないのだといいます。人口によって仕事が変わるわけでもないので、仕組みとしてはちょっとおかしい気もします。

また報酬の他に、政務活動費というものも支払われるそうで、山下のまちの場合は月額3万円なのだそうです。

■県議会議員と国会議員の報酬はいくら?

しかし、もしも県議会議員になったとすると、金額はずいぶん上がるのだとか。額面で年収約1,200万円だといいますから、税金や年金を払ったあとの手取りもかなりの額になりそう。

しかも県議会議員の場合、政務活動費は月額30万円。つまり市議会議員のひと月の手取りとほぼ同じ額が政務活動費としてもらえるわけです。

さらに国会議員になると、年収は約2,200万円。そして報酬の他に文書通信費が月額100万円もらえることに。しかも領収書がいらず、つまりはなにに使ってもいいということ。

秘書給与費なども合わせると、年間約7,000万円くらいがもらえるというのです。また、公務ということになると新幹線のグリーン車が乗り放題になるなどの特典も。

■市会議員にはなにが求められているのか

しかし、そういう話を聞くと、「はたして金額に相当した仕事をしているのか」ということが気になります。

その点については、市議会議員の場合だと、議員として必ず出席しなければいけないのは年に4回の定例会で、年間で30日くらいだそうです。

それに加えて、委員会が開催されたり、全員協議会という会議が開催されたりしますが、すべてを合わせても公務は年50~60日くらい。

それだけで何百万円ももらえるとはうらやましい気もしますが、議員としての活動は、公務以外の部分で差が出てくるのだといいます。

たとえば政策の勉強や現場の声を聴くことに時間をかなり割く議員もいれば、もっぱら地域のお葬式やお祭りに有力者として顔を出す冠婚葬祭専門というような議員もいるということ。「

冠婚葬祭専門議員」には1年で100~150回も出席する人がいるそうで、そのため新聞のお悔やみ欄をしっかりチェックしているのだとか。

そんな議員に税金から高い給料を払ってほしくないと感じても不思議はありませんが、議員報酬を高いと思うか低いと思うかは、その人が政治家になにを期待するかということとも関係しているもの。

葬式や結婚式に来てほしいとか、道路などの陳情を市に届ける役割をするとか、仕事の口利きをしてほしいとか、姿勢の問題点を追求してほしいとか、いろいろなニーズがあるわけです。

つまりそう考えると、政治家を育てるのは、選挙で投票している市民の仕事ということになるのです。

話の大半が会話形式で進んでいくため読みやすく、知りたいことを無理なく知ることができる良書。政治に関心を持つために、有効な内容だといえそうです。

(文/作家、書評家・印南敦史)

 

【参考】

※五十嵐立青(2016)『あなたのまちの政治は案外、あなたの力でも変えられる』ディスカヴァー・トゥエンティワン

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