金利を見れば投資はうまくいく!知っておくべき「3つの金利」

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2016.04.19

suzie.20160419

『金利を見れば投資はうまくいく』(堀井正孝著、クロスメディア・パブリッシング)の冒頭には、「炭鉱のカナリア」の話題が登場します。

ご存知の方も多いとは思いますが、改めてご紹介しておきましょう。

カナリアは周囲の異変に敏感で、それまでさえずっていたとしても、危険を感じると鳴き止んでしまう習性を持っています。

そこで炭鉱労働者は昔、坑道に入る際に3羽のカナリアを鳥かごに入れて持っていったというのです。

いうまでもなく、そのうち1羽でも鳴き止んだら、「炭鉱内にガスが発生しているなど、なんらかの変調が起きている」という合図だと認識したわけです。つまりカナリアは、一種の警報(アラーム)として使われていたということ。

でも著者はなぜ、こんな話を持ち出したのでしょうか? 理由はいたってシンプル。つまり投資の世界にも「炭鉱のカナリア」が存在していて、それは「金利」だというのです。

なぜなら金利は、まだ表面化していない景気の変調をいち早く教えてくれるものだから。それが、投資の世界におけるカナリアだという根拠なのです。

だとすれば、金利について知っておけば投資の確実性は向上するでしょう。投資家にとっては、とても頼もしい味方だということです。

そして著者は、「3つの金利」を「炭鉱のカナリア=警鐘」として機能させれば、景気の変調に気づいていけるとも主張しています。

そこで今回は、この「3つの金利」に焦点を当ててみましょう。

■1:政策金利(短期金利)

まず金利には、「短期金利」と「長期金利」があります。

短期金利は一般的に、期間が1年未満の金融資産の金利のことで、政策金利は短期金利のひとつ。

政策公純は簡単にいうと、中央銀行が一般の銀行に融資を行う際に受け取る金利のこと。日本では2006年まで「公定歩合」といわれていたものです。

金融政策とは、景気を安定的に拡大させるため、中央銀行が政策金利を変更し、市中に出回るお金の量(通貨供給量)を調節すること。

中央銀行は、景気がよいときは政策金利を上げて通貨供給量を減らし、景気が悪いときには政策金利を下げて通貨供給量を増やします。

こうして政策金利を引き上げることが「利上げ(金融引き締め)」で、引き下げることが「利下げ(金融緩和)」。政策金利は、金融政策の影響を大きく受けるといいます。

預金やローンの利率など、私たちがふだん接している金利で、期間の短いものについては、政策金利が基準のひとつになるそうです。また、時期によってその利率が上下するのも、政策金利が上下することが理由のひとつ。

私たちは日常生活のなかで、知らず知らずのうちに金融政策の影響を受けているわけです。

■2:10年国債利回り(長期金利)

長期金利とは、一般的には期間が1年以上の金融資産の金利。10年国債利回りは、長期金利の指標のひとつだそうです。

債券とは、国や企業が期間や利率を決め、一般投資家から資金調達をするために発行するもの。そして10年国債とは、国が10年間利率を決めて発行する債券のこと。

10年国債利回りとは、債券市場における10年国債の流通利回りのこと。そして流通利回りとは、債券市場で債券を購入し、満期まで保有し続けた場合の1年あたりの利回り(%)。

つまり流通利回りは債券の収益率のようなもので、お金を借りるときに支払う金利だと考えればいいそうです。

■3:社債利回り

社債は、企業が発行する債券のこと。社債利回りとは、債券市場におけるその社債の流通利回りのことで、企業が資金調達をする場合のコスト。

流通利回りには債券の構成要素がすべて盛り込まれているため、同年減で発行体が異なる社債をくらべた場合、社債利回りの差は発行体となる企業の信用力の差と考えられるそうです。

信用力とは、満期が来たら借りたお金をきちんと返済できるか、定期的に利息を支払えるかという返済(支払い)能力。いわば、企業の信用力が社債利回りに大きく影響するわけです。

私たちもなにげなく、この信用力を使って生活しているのだとか。いい例が、「お金を誰に貸すか」ということ。

誰かにお金を貸して欲しいといわれたら、返してもらえるかと不安になるもの。でも、銀行になら安心してお金を預けます。銀行なら利息を払ってくれるし、必要なときにはお金を返してくれると、無意識のうちに銀行の信用力を評価しているからです。

たしかにこうして考えていくと、金利を身近に捉えることができそうです。

著者は25年以上にわたって運用の世界に身を置き、金融市場と奮闘してきたという人物。そのような経験に基づいて書かれているからこそ、本書の内容にも説得力があるのです。

著者のいうとおり金融市場の「炭鉱のカナリア」を意識してみれば、投資を成功させることができるかもしれません。

(文/作家、書評家・印南敦史)

 

【参考】

※堀井正孝(2016)『金利を見れば投資はうまくいく』クロスメディア・パブリッシング

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