こんにちは。深沢真太郎です。
ビジネスパーソンを数と論理に強くする「ビジネス数学」を提唱する、教育コンサルタントです。
熊本地震において被災された皆様には、心よりお見舞い申し上げます。1日も早い復興を心より祈っております。
こういうときだからこそ、私は専門家として数学的に「支援」を考えてみたいと思います。
■被災地のためにお金を使おう
私の考える「支援」とは、「通常の生活ができている方は、やむを得ない事情のある方や一部の職業の方を除き、通常どおりの生活を続け、しっかり経済活動を行い、ほんの少しだけ被災地のためにお金を使う」ということです。
「いますぐ被災地に行ってなにかしてあげたい!」
「悲惨な状態のなか苦しんでいる人たちがいるのに、いつもどおりの生活をしていていいのか?」
そういう気持ちは尊いものであり、なんら否定されるものではありません。
しかし、ここでちょっと冷静になって数字で考えてみましょう。もっと具体的にいえば、「お金」というキーワードで考えてみるのです。
はっきりいいますが、お金がなければ復興はできません。ものすごく簡単にいえば、私たちはみんなで協力して、被災地のためにたくさんお金をつくるべきです。
いったいどういうことかご理解いただくために、とてもシンプルなモデルで説明します。
たとえば、ここに地域Aと地域Bがあります。この場合、100人の住民によって生み出されるお金はご覧の通り19,000円です。
地域A:[住民が使う金額]¥100×[住民の数]10=¥1,000
地域B:[住民が使う金額]¥200×[住民の数]90=¥18,000
合計¥19,000
ここで、地域Aが被災したと仮定します。すると、人数は変わらないとしても、使うお金は減る(たとえば50円)ことでしょう。
さらに、ここで極端に考えてみましょう。
もし、被災しなかった地域Bの住人が全員、通常の経済活動を放棄し、「支援」という名のもとに地域Aに出向いてしまったら、どういうことが起こるでしょう?
ご覧のとおり、この100人が生み出すお金は激減します。
地域A:[住民が使う金額]¥50×[住民の数]100=¥5,000
地域B:[住民が使う金額]¥200×[住民の数]0=¥0
合計¥5,000
そうではなく、大切なのは、地域Bの住人はこれまでどおりの経済活動を行い、そしてちょっとだけ被災地のためにお金を使うことなのです。
■経済活動で支援をすべき理由
現地の名産品や農作物を買うもよし、支援金でもよいでしょう。このモデルでいえば、90人がたった10円でもそのような消費をすれば、被災した地域Aのために生み出されたお金は500円と900円の合計1,400円。
地域Aに生まれたお金は被災するより以前より増え、この100人全員で生み出したお金も増えているのです。
地域A(Aのための消費):[住民が使う金額]¥50×[住民の数]10=¥500
地域B(Aのための消費):[住民が使う金額]¥10×[住民の数]90=¥900
地域B(いつもどおりの消費):[住民が使う金額]¥200×[住民の数]90=¥18,000
合計¥19,400
いつもどおりの経済活動+ほんの少しの気持ち。
これが、私の考える「支援」です。
繰り返しになりますが、「気持ち」だけでは復興はできません。お金がなければ復興は不可能なのです。私たちはみんなで協力して、被災地のためにたくさんお金をつくるべきです。
このテーマに対してはいろんな考え方があり、立場や環境によって正解は異なるでしょう。
しかし、刹那的な感情だけで突っ走るのではなく、ほんの少しでいいからこのように数学的に考えてみたうえで、ご自身がすべき「支援」をされてはいかがでしょうか。
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余談ですが、私は東京の銀座にある熊本産のアンテナショップ、銀座熊本館に足を運びました。義援金も募っておりましたので、もしお考えにフィットするようでしたら、足をお運びになられてはいかがでしょう。
(文/深沢真太郎)
【参考】
※ビジネス数学の専門家 深沢真太郎 〜数字が苦手な人の救世主〜-YouTube
※深沢真太郎(2015)『そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?』日本実業出版社