30~40代の老後準備は非合理的!本当に効率的なお金の使い方

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2016.04.24

hinkon21

いま、年収が多くても貯金できない家庭が問題になっています。

年収750万円以上1,00万円未満の家庭の11.2%、1,000万円以上1,200万円未満では13.5%、1,200万円以上では11.8%が金融資産ゼロ、というデータもあります。

『隠れ貧困 中流以上でも破綻する危ない家庭』(荻原博子著、朝日新聞出版)の著者は、テレビでも人気の経済ジャーナリスト。著者がこれまでに取材してきた“高収入なのに貯金できない家計”をヒントに、老後破綻をきたさない家計を考えてみましょう。

■人生には「3つの大きなお金のハードル」がある

本書では、「年収800万円ありながらも、ローン返済や教育費を払うと毎月の収支は赤字」といったケースが示されています。こうした、大きな無駄をしているわけではないのに貯金ができず将来が不安な家計を、著者は「お金の生活習慣病」と呼びます。

こんな状態では老後も不安。そのため、ローンを長期に組みなおすなどして家計に余裕を持たせ、「若いうちから退職までに何万円貯めよう」という考えになりがちです。

しかし著者は、そんな発想に“待った”をかけています。「30代、40代で老後の準備を始めるのは合理的ではない」というのです。

人生には、「住宅ローン」「子どもの教育費」そしてその後にくる「老後資金」という3つの大きなお金のハードルがあります。著者によれば、貯金できない家計の問題の根本は“貯金ができない”こと自体ではなく、ハードルを越える“順番”を見極められていないこと。

まず「住宅ローン」「子どもの教育費」をクリアしてから「老後資金」に着手すべき、というのが著者の主張。そして、30~40代の目標は「ズバリ、家計を“50歳でプラスマイナスゼロ”に近づけておくこと」。仮に貯金ゼロでも、現役時代に住宅ローンさえゼロにできるなら「老後の勝ち組といっても過言ではない」とまでいいます。

■住宅ローンの返済は「早ければ早いほどおトク」

そのために、30~40代は貯蓄できなくてもまず繰り上げ返済で住宅ローンをできるだけ早く返し終えることが得策、と著者は訴えます。

その理由は2つ。ひとつは、早めに返すほどおトクだということ。

多くの人が、最初に利息を多く払う「元利均等方式」でお金を借りているため、早い時期に多めに返済することで利息分が大きく減るのです。

買ったばかりの時期に約100万円繰り上げ返済をすれば、約100万円分の利息を払わずに済むそう。これは、なんと100万円投資して200万円手にするのと同じことなのです。

そして、住宅ローンを早く返し終われば、それまでローンで支払っていたお金を貯金に回せる点。たとえば年間150万円をローンで払っていた場合、そのお金は“ないもの”として生活してきているので、家計に大きなメスを入れなくても年150万円の貯金をすることが可能なのです。

年間150万円のローンを50歳で終えれば、その後60歳で退職するまでに1,500万円貯めることができます。妻がパートに出るなどすれば、2,000万円も見えてきます。

■まずは「住宅資金を用意すること」に専念すべき

もうひとつ、著者が指摘するお金の使い方は「住宅ローンの頭金をなるべく多く出す」こと。ここでもハードルの順番をよく考えて行動することが大切になってきます。

教育資金や老後資金として別に貯めていると、必然的にその分住宅ローンの頭金に割ける金額は少なくなるもの。

しかし著者は「まずは目前の住宅資金を貯めることに全力投球しましょう」と断言します。

頭金を多めに用意できれば、住宅ローンもその分少なくなり、返済を早めたり貯蓄をしたりする余裕が出て、教育資金も貯められます。最も教育費がかかる大学入試から大学卒業までの数年間を乗り切ることができれば、今度は老後資金に全力投球することができるのです。

「お金には色がついていない」と著者はいいます。その時々、手元にあるお金をもっとも使わなくてはいけないところに集中的に使っていくことで、効率的なお金の使い方ができるというわけです。

公的年金が目減りしていくなか、30~40代の若い世代にとって「老後資金をどうつくっていくか」は大問題。

しかし著者は、「30~40代は、年金より現金」を肝に銘じよと訴えます。遠い将来を不安がり個人年金などを検討するよりも前に、まずは足元固め。確実に借金を減らす方が、効率よく家計を回すことができるのです。

本書では、平均より収入が多くても効率的なお金の使い方をしていないばかりにお金の生活習慣病に陥っている家計を詳細に分析。そこから逆説的に「効率的なお金の使い方」を導き出しています。

また、高収入でも収支がマイナスになるケースなど62の具体的なお悩みをQ&Aの形で解説。自分の家計に即、活かせるアドバイスを見つけることができます。

収入が増えてくる50代、そして老後に借金家計に陥らないために、30~40代で読んでおきたい1冊です。

(文/よりみちこ)

 

【参考】

荻原博子(2016)『隠れ貧困 中流以上でも破綻する危ない家計』朝日新聞出版

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