シンプルに考えるべし!ほとんどの人が引っかかる「平均値の罠」

  • LINEで送る
2016.04.27

shutterstock_177822770

こんにちは。深沢真太郎です。

ビジネスパーソンを数と論理に強くする「ビジネス数学」を提唱する、教育コンサルタントです。

「数字」をテーマにしたビジネス書などに、よく「平均値」の読み方に関するレクチャーが書かれています。

平均売上高、平均単価、平均客数、平均残業時間……。たしかにどんな仕事をしていても、頻繁に登場する数字のひとつが「平均値」だといえるでしょう。

今回のテーマはこの「平均値」を正しく読めるかどうかです。さっそくこんなケースを考えてみましょう。

■部下の仕事の質を改善したい!

あなたは5人の部下に、大量のデータ処理を分担して行うよう命じました。

その仕事量は5人で均等に分け、仕事内容は単純作業で済むものです。その5人の名前とかかった時間は以下のとおりでした。

————————

大野さん(45分)

相葉さん(39分)

櫻井さん(29分)

二宮さん(35分)

松本さん(42分)

————————

[5人の平均:38分]

1週間後、あなたはふたたびこの5人に対して、まったく同量のデータ処理を分担して行うよう命じます。

仕事量は5人で均等に分けることを前提とするならば、彼らの仕事の質をどうやって改善し、このデータ処理が終わる時間を減らしますか?

■シンプルに考えると答えが出る

いろんな考え方があるテーマですが、私が登壇する企業研修などで意外にも多い回答がこちらです。

「5人の平均である38分より時間がかかっている大野さん、相葉さん、松本さんの3人に対して、処理スピードを上げるような研修(トレーニング)などをする」

なるほど。平均値を基準にして、それに満たない者は指導をするということでしょう。理にかなった、納得感ある答えのようにも思えます。

しかし、私ならこう考えます。

「もっとも早かった櫻井さんのやりかたを他の4人にシェアし、同レベルにさせる」

もっとも優れた人のしていることを真似すればいい。これは極めてシンプル話であり、勉強やビジネスなどなんにでも通じる当たり前の考え方ですよね。

しかし、なぜこんなシンプルな考え方がすぐに出てこないのでしょうか? それは、私たちが無意識に「平均値」を特別扱いしてしまうからです。

■平均値の「特別扱い」に要注意

よく考えていただければわかるように、先ほどの問題においても、最後の「平均38分」というデータはなくて構わないものです。

にもかかわらず、その数字を見てしまうと、つい私たちは勝手な意味づけをしてしまいます。基準にする必要などまったくないのに、「平均値より……」という思考が働いてしまうのです。

実際、研修の現場で最後の「平均38分」というデータを提示せずに参加者に考えてもらうと、ほとんどの方が先ほどの私と同じ答えを述べてくれます。

ということはやはり「平均値」は、シンプルに考えれば済む局面をあえて複雑に考えさせてしまうやっかいな存在なのかもしれません。

「平均値」はあくまで「平均値」であり、それ以上でもそれ以下でもありません。勝手に意味づけをすることなく、正しく数字を読み解けるようになりたいものです。

(文/深沢真太郎)

 

【参考】

ビジネス数学の専門家 深沢真太郎 〜数字が苦手な人の救世主〜-YouTube

ビジネス数学ブログ

深沢真太郎(2015)『そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?』日本実業出版社

IMGP1469z

関連記事