追加時間が3分でも3分後に「サッカーの試合が終わらない理由」

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2016.04.30

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サッカーの試合をテレビ中継などで見た人は、「アディショナルタイム、目安は4分です」なんて発言に聞きおぼえがあるのではないでしょうか。

Jリーグがスタートしたころは「ロスタイム」と呼ばれていましたが、この呼び方は日本独自のものでした。野球の「ナイター」等と同じように、和製英語だったからです。

2010年以降、世界基準に合わせて「アディショナルタイム」という言葉を使うようにと、日本でも統一されました。

Jリーグのラジオ中継でピッチレポーターを12年にわたって務めている私は、ロスタイムからアディショナルタイムに切り替えられたころはよく、慣れずにこの言葉を噛みまくっていたものでした。

■第8節までに15試合がアディショナルタイムに得点

前半45分、後半45分、トータルで90分を試合時間として戦うサッカーですが、けが人が出るなど何らかの事情で試合の流れが止まってしまうことがあります。

サッカーではその時間を試合時間として考えていませんので、中断した時間をトータルした分だけ、試合後に追加として加えるのです。

それが「アディショナル(=追加)タイム(=時間)」。

この時間を図るのはゲームを担当する主審で、主審からの合図をうけて第4の審判が時間を表示し、場内アナウンスなどでスタジアム全体に通知されます。

このアディショナルタイムにゴールが決まるドラマチックな展開は、意外に多いものです。

スタジアムの電光掲示板などに表示される時計は、キックオフから45分たつと表示が消えることが多いのですが、「まだあと○分ある!」と思うと最後の力を振り絞ることができるせいでしょうか、JリーグJ1の第8節(4月24日開催)までに前後半あわせて15試合で、このアディショナルタイムに得点が決まっています。

また、2015年シーズンに向けてのJ1昇格プレーオフ準決勝では、4位のジュビロ磐田と対戦した6位のモンテディオ山形が、後半のアディショナルタイムにコーナーキックからゴールキーパーの山岸選手がヘディングでゴール。まさに劇的な勝利を収めました。

■同じ「アディショナルタイム3分」でも長さが違う?

ところで「アディショナルタイム」は冒頭の言葉のように、「目安」と表現されるのですが、それには理由があります。

たとえば、「アディショナルタイムの目安は3分」、と表示された場合、逃げ切りたいチームは時計が3分を刻んだらすぐに試合が終わってほしいと思ってしまいます。

しかし、実はアディショナルタイムの「3分」というのは、3分台が対象。

つまり、3分00秒に試合が終わることもあれば、3分59秒まで続くこともあるのです。決して、負けているチームを贔屓しているわけではありません。

また、アディショナルタイムに入ってからもけが人が出るなどしてさらに追加の時間が必要になることもあります。

その場合は再追加の表示はされませんが、目安の時間を過ぎても試合が続けられます。どれだけの時間が新たに追加されるか、裁定するのはやはり主審です。

この場合、多くは主審がちょっと大げさなジェスチャーで腕に着けている時計を止め、追加タイムが必要になることを周囲に知らせます。

よく見ると、主審は腕時計を二つ着用しています。片方の時計はキックオフから止めずに時間を計り、もう片方の時計は、試合が止まるたびに操作して実質的なプレイタイムを計測しているようです。

このように、「3分になったから即終了!」ときっちり決められているわけではないために、アディショナルタイムは「目安」で表現されるというわけです。

■アクシデントで「12分」のアディショナルタイムも

2010年に行われたJリーグJ1の清水エスパルスvs.湘南ベルマーレの試合では、前半のアディショナルタイムが12分と表示されました。

これは試合中にゴールマウスが壊れるというアクシデントがあって試合が中断したため。このような長い中断では、選手も集中力を保つのが大変だったことでしょう。

この試合は、現在イングランドのプレミアリーグでトップを走るレスターで活躍中の岡崎慎司選手の2ゴールなどで清水が5―0と圧勝しました。

Jリーグの試合では、前半のアディショナルタイムが1分前後、後半のアディショナルタイムが3分前後というのが一般的です。

後半のほうが長いことが多いのですが、これは、前半よりも後半に選手交代が行われることが多いため。選手交代には1回あたり約20秒ほどかかるので、後半に両チームとも3人ずつ交代したら、単純計算でもそれだけでトータル2分のアディショナルタイムが必要になりますね。

前半をリードしていても、あるいは90分近く互角の勝負を続けていても、最後の数分で試合がガラリと変わることがあり得るのがサッカーという競技。熱い戦いから最後まで目が離せません。

(文/宮本ゆみ子)

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