任意整理は約3年の支払いが必要!誤解されやすい借金の返済義務

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2016.05.06

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頻繁に放送されていた過払い金請求のCMを、パタッと見なくなりましたね。過払い金請求というのは、簡単にいえば、払いすぎた利息を取り戻す方法です。

いまは借金とは無縁の生活を送っている人でも、将来はどうなるかわかりません。そこで、意外と誤解されやすい借金返済に関する真実をお伝えしたいと思います。

■過払い金請求の時効が2017年に終わる

まず、過払い請求とは何なのかを順を追って説明していきましょう。

以前は、「借金の利息は、29.2%以上つけてはいけない」という出資法と、

・元本が10万円未満の場合 → 年20%

・元本が10万円以上100万円未満の場合 → 年18%

・元本が100万円以上の場合 → 年15%

を上限とする利息制限法という異なる規定がありました。多くの消費者金融は、出資法は守っていましたが、利息制限法は守っていませんでした。

なぜなら、出資法の違反はと刑罰の対象になるものの、利息制限法の規定上制限利息を任意に支払った場合は、支払った分の利息を返還請求できないことになっていたためです。

つまり、消費者金融と利用者が約束した利息は、あとで返還請求はできないという考え方だったのです。

しかし、平成18年1月に最高裁判所で、返還請求できるという判決が下されたので、これを基準に利息制限法を越えた部分の利息を取り戻せるようになりました。

このことを過払い金請求というのです。

現在返済中のものはもちろん、すでに完済している場合でも、対象となるものについては、返還請求することができます。

ただし時効は10年ですので、10年以上前のものは請求できません。多くの貸金業者は、この法律改正をもとに規定の利息に変更したため、過払い利息を払っている人は平成18年以前に借金をした人となります。

その時効が今年終わるため、ブームが下火になりつつあるということです。

■任意整理・民事再生・自己破産の違い

しかし、誤解すべきではないことがあります。過払い金請求は、「払いすぎている利息」を請求できるのであって、借金がなくなるわけではないということです。

利息制限法に基づいて再計算した場合、結果的に支払う必要がなくなるケースはもちろんあります。

それでも、借金の支払いができない場合に考えるべきなのが債務整理です。債務整理には、任意整理・民事再生・自己破産などがあります。

(1)任意整理

取引開始時にさかのぼって、利息制限法の上限金利に金利を引き下げて再計算。

そうして借金を減額した上で、原則として金利をカット。元本のみを3年程度の分割で返済する内容の約束を貸金業者と結び、以後この約束に従って返済を続ける方法です。

【メリット】

未払い金利や、遅延損害金などを支払う必要はありません。また裁判所に出向くなどの必要もなく官報に名前が載ることもありません。

財産を処分する必要や、特定の職業につけないなどといったことがないこともメリットだといえます。

【デメリット】

利息の支払いが不必要になるだけで、元本は返済しないといけません。

また、約3年程度での支払いが必要なため、金額が多い場合は少し難しくなります。個人信用情報に民事再生をした履歴が5年から7年程度残りますので、新たなローンを組むことが困難になります。

(2)民事再生

住宅等の財産を持ったまま、大幅に減額(住宅ローンは減額の対象にはなりません)された借金を原則3年で返済する整理方法です。

【メリット】

自己破産と違い、財産を処分する必要がありません。あとは任意整理の場合と同じです。

【デメリット】

全額借金がなくなるわけではありません。民事再生法では、最低弁済額を以下のように規定しています。

・借金総額が100万円未満の場合 → 最低弁済額は借金総額

・借金総額が100万円以上500万円以下の場合 → 最低弁済額は100万円

・借金総額が500万円超1,500万円以下の場合 → 最低弁済額は借金総額の5分の1

・借金総額が1,500万円超3,000万円以下の場合 → 最低弁済額は300万円

・借金総額が3,000万円超5,000万円未満の場合 → 最低弁済額は借金総額の10分の1

また、任意整理同様、個人信用情報には民事再生をしたことが登録されてしまいます。

(3)自己破産

支払い時期がきても、継続してすべての借金を支払えないことを裁判所に認めてもらい、法律上借金の支払いを免除してもらう整理方法です。

【メリット】

借金を支払う必要はなくなります。

【デメリット】

官報という、国が出す刊行物に名前が出ます。現在の価値で20万円を超える財産(現金の場合は99万円を超える金額)は原則処分されます。また、特定の職業につくことが制限されます。

債務整理はとても勇気のいることです。特に自己破産には、人生を棒に振るようなイメージがあるかもしれません。

しかし、返すめどの立たない借金に苦しむよりも、新しいスタートを切りなおしたほうがいい場合もあります。自分だけで悩まずに、早めに専門家に相談してください。

(文/ファイナンシャルプランナー・岡崎充輝)

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