こんにちは。深沢真太郎です。
ビジネスパーソンを数字と論理に強くする「ビジネス数学」を提唱する、教育コンサルタントです。
先日、スポーツジムでトレーニングしたあと、体重計に乗ったときのことです。デジタルの体重計に表示された数字は以下のとおりでした。
55.55kg
「おぉ、ゾロ目だ!」と、思わず喜んでしまいました(笑)。
「だからなんだ?」といわれてしまうと、それまでのお話です。55.55kgも48.32kgも単なる体重という数字であり、なんら変わらないのですから。
しかし、この「ゾロ目」という数字は、なぜか人の心をちょっとだけ動かすチカラを持っているようです。
■なぜゾロ目の数字は魅力的なのか
たとえば、ふと見た瞬間のデジタル時計の表示が「11:11」だったら、なにか特別な瞬間を目の当たりにしたような感覚になりませんか?
たとえば、ナンバープレートが「33-33」の車を見かけたら、ちょっと「おっ!」と思ってしまうのは、おそらく私だけではないはずです。
不思議ですよね。数字が揃っているだけで、ちょっと特別なことが起こったような気がするのです。
私は心理学者ではありませんから学術的なアプローチはできませんが、とにかく私たちはゾロ目の数字には特別感を感じてしまうようです。
これを私なりにいいかえて表現すると、こうなります。
「人は、『数字が揃っている』という現象に特別感を持ち、意味づけをしやすい」
■数字が揃うと謎の説得力がある!
この人間の習性を、普段のコミュニケーションでも役立てられないでしょうか?
私の答えは「YES」です。具体的には、誰かに「なるほど~」「へぇ~」といってもらえるような説得力ある話をしたいときに、このエッセンスが活用できるのです。
たとえば、ビジネス。
過去3年間の売上高はバラバラだけど、営業利益率はずっと5%で推移してきたとします。
これはいわば、「555」というゾロ目の状態であり、おそらくあなたもデータの中で「555」を特別な数字と認識し、いまのままでは来期も営業利益率5%程度の着地になるという意味づけをするでしょう。
2013年:売上4,200万円/利益210万円/利益率5%
2014年:売上3,500万円/利益175万円/利益率5%
2015年:売上6,400万円/利益320万円/利益率5%
2016年:売上???/利益???/利益率???
そして、そこには説得力が生まれます。なぜなら、人は「数字が揃っている」という現象に、特別感を持ち、勝手に意味づけをするからです。
■マジカルナンバーもゾロ目と同じ
あるいは、こんな身近なテーマでも同じことがいえます。
あるダイエット商材を試したAさんが、「1ヶ月で3kg、Bさんも1ヶ月で3kg、Cさんも1ヶ月で3kg痩せました」といわれたとしたら、「私もきっと1ヶ月で3kg痩せられる!」と思ってしまうかもしれません。
それは、「333」というゾロ目に対して勝手に特別感を持ち、意味づけをするからです。
心理学には、「マジカルナンバー7」などという言葉もあります。
一度聞いただけで直後に再生できる記憶容量は、数にしてだいたい7つだという説です。
その真偽はさておき、1週間が7日であることや、郵便番号が7桁であること、七福神、七不思議といった言葉の存在は、この話に信憑性を持たせますよね。ストレートにいえば、人間はこういう話が好きなのです。
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裏を返せば、なにかを伝えたいとき、特に強力な説得力が欲しいときには、「数字が揃っている現象」をネタにすると威力を発揮することになります。
誰かに「なるほど~」「へぇ~」といってもらえるような説得力ある話は、ゾロ目と同じ構造になっているのです。
(文/深沢真太郎)
【参考】
※ビジネス数学の専門家 深沢真太郎 〜数字が苦手な人の救世主〜-YouTube
※深沢真太郎(2015)『そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?』日本実業出版社