曖昧な表現は卒業!自分の主張を「数字で明確に表す」簡単な方法

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2016.05.11

suzie.20160510

世の中の森羅万象は、「ハカる」ことと一体。物理学的に表現すれば、「ハカれないものは、存在しないのと厳密に同じ」。ハカれるからこそ「存在」となり、意味が与えられる。

こんな考え方に基づいた書籍が『プロフェッショナルをめざす人のための新ビジネス基礎力養成講座 「ハカる」力』(三谷宏治著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)。

当然のことながら、主題となっているのは「ハカる力」です。

「謀(はか)る」でも「図(はか)る」でも「諮(はか)る」でもなく、「測る」「量る」「計る」ことだといいます。

それは、定規をつくり、あてて、試して、対象のなかに潜む「真実(インサイト)」を見抜くことなのだそうです。

■「ハカる」力が必要な理由

多くのビジネス現場に足りないのは、革新的な商品やサービス、あるいは、それらにつながるような調査や発見。

しかし現実的に、職場で行われているのは硬直的なルーティン作業。出てくるアウトプットも新鮮味のないものばかり。仕事がそんなことばかりになっている方も、決して少なくないはずです。

しかし、だからこそ必要なのは、ジャンプ力のあるおもしろい商品やサービスのアイデア。そしてその前提となる世の中の(見過ごされていた)変化、もしくは大変化の予兆。

だからこそ、それらを見つけ、生み出すために「ハカる」力が必要(=足りない)ということ。

■「ハカる力」の根源とは?

ハカることの対極にある姿勢は、「感覚的に重要そうな要因を羅列すること」。たとえば、「売上が増えるには、景気好転と人口増が必要だ」などと口に出してしまうことがそれにあたるでしょう。

たしかにそのとおりかもしれませんが、こんな主張をしたところでなにも変わるはずがないのです。

ハカる姿勢とは、重要な事柄(この場合であれば売上増の分析)にあたって、曖昧な表現を許さず、重要な要因を選び出し、それらに因果関係があるという事実を示すこと。

この例でいえば、

・GDP成長が1ポイント上向いたとき、自社売上は5%向上する

・商圏人口が1%増えたとき、自社売上は2%向上する

・その他の外部要因が変動しても、自社売上にそれ以上のブレは生じない

などというようなことを示す。つまり、

(1)定性的表現にとどまらず、定量的もしくは具体的指標に落とし、

(2)大事な要因(だけ)を見定め

(3)それらと目的(売上増やブランド向上等々)との因果関係を確認する

ことが大切で、それこそが「ハカる力」の根源だというわけです。

■言葉を数字に落とすべし!

曖昧な表現を廃し、主張を具体的・定量的にしようとするとき、もっとも明確なのは数字で表すこと。

たとえば「市場シェアが高い」ではなく、「市場シェア30%」と伝える。

30%が高いかどうかは競合状況によるもの。シェア50%の敵がいるなら、30%は高いとはいえないわけです。しかしシェアトップで2位が20%なのだったとしたら、その30%は高いといえます。だからそのときは、「シェア30%、相対シェアは1.5」と表記すれば完璧だということ。

このように、言葉を数字に落とすことはなかなか面倒。しかも私たちはつい、感覚的表現を使ってしまっているものです。

・この分野では敵が「強い」

・顧客とのリレーションが「効く」

・流通を「押さえれば」勝ち

でも、「押さえる」といわれても、そこに具体的な説得力はないわけです。そこで、

・カバー率90%:流通チャネルの9割が自社製品を取り扱っている

・専売契約率70%:それらのうち7割が専売契約を結んでいる

・離反率3%:専売ディーラーが他者に寝返る率が年3%のみ

というふうに、数字に落としていくことが重要。しかも単純なところからでいいのだそうです。

議論をきちんとぶつけ合おうとするとき(明確な意思決定をしようとするとき)、そのベースとなるべきなのは数字。

客観的なファクト(事実)が求められるということで、発言者の情熱や気合い、声の大きさであってはならないといいます。

たとえ周囲がそうだったとしても、それを覆すことができるのは「数字による議論」だということです。

こうした基本を軸として、以後も「ハカる力」の重要性が解説されていきます。事例やコラムも豊富に用意されているので、著者の考え方を無理なく理解できることでしょう。

(文/作家、書評家・印南敦史)

 

【参考】

※三谷宏治(2016)『プロフェッショナルをめざす人のための新ビジネス基礎力養成講座 「ハカる」力』ディスカヴァー・トゥエンティワン

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