介護離職者は年間10万人超!仕事と介護を両立させる秘訣とは?

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2016.05.15

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厚生労働省の調査によれば、超高齢化社会に突入した日本では全国民の4人に1人が65歳以上の高齢者です。

そのため、介護や看護を理由とした離職・転職者も増えており、平成23年10月~平成24年9月の1年間で10万人を超えています(総務省「就業構造基本調査結果」)。

さらには、介護などのために離職し無業者になった人のうち、40歳代で約8割、50歳代で約5割、60歳代で約3割もの人が、もう一度就業を希望しています(総務省「同」)が、現実はなかなか厳しいようです。

■介護離職者の再就職後の年収は「4割以上ダウン」

再就職者の平均年収は、男性が556.6万円から341.9万円と約4割減ります。女性にいたっては、350.2万円から175.2万円とおよそ半減。

たとえ再就職できたとしても収入は大幅に減少するのが実情です。加えて、仕事のある日の介護時間が男性で1.6時間、女性で1.8時間増大するというデータもあります。

こうした現状を踏まえて、仕事を続けながら介護を行うために必要な情報を詳細に紹介しているのが、『親が倒れた! 親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと』(翔泳社)です。

著者は、20年以上にわたり介護現場などを取材し、離れて暮らす親のケアを支援するNPO法人を設立した太田差惠子さん。

そんな実績があるからこそわかる「親の入院~介護」で必要となる情報を時系列に整理してあり、介護にまつわる不安を解消してくれます。とくに、仕事と介護の両立を目指す人にとっては心強い1冊といえます。

■介護離職者は経済的・精神的・肉体的にも負担増!

親の介護が必要になると、仕事を辞めなければサポートする時間が確保できないと考えがちですが、辞めてしまえば経済的に立ち行かなくなることも。

仮に、パートで年間100万円の収入があったとすれば、それが0になり、10年間で1000万円の損失になります。自身の老後も遠い話ではないので、収入源は確保しておきたいものですね。

また、介護一色の生活になれば、じつはストレスが増し、「経済的」だけでなく「精神的」「肉体的」にも負担が増加するという調査結果があります。

介護を機に仕事を辞めて精神面で「非常に負担が増した」31.6%、「負担が増した」33.3%と回答した人を合わせると、約65%の人が精神面で負担が増したと感じています。

肉体面でも「非常に負担が増した」22.3%、「負担が増した」34.3%となり、半数以上の約56%の人が負担増を感じています。

経済的に「非常に負担が増した」35.9%、「負担が増した」39.0%となり、じつに約75%、4人に3人が経済的な負担を強いられているのです。

離職者の年収は前述したとおりですが、転職先でも正社員として働いている人は、男性は3人に1人、女性は5人に1人という少なさです。年収が大幅ダウンする大きな要因といえそうです。

介護は終わりの見えないことなので、目先のことだけに一喜一憂せず、長期的な視野に立ち、家族で協力しながら最善の方法を探っていきましょう。

■介護休業制度を利用して「介護の体制」を作るべし

ところで、働きながら家族を介護するために、一定の期間休業することができる「介護休業制度」があるのをご存知ですか?

勤続1年以上であれば、パートや派遣社員を含めておおよその労働者が対象に。期間は対象家族1名につき、要介護状態になるごとに1回、通算93日まで取ることができます。

介護休業開始日の2週間前までに事業主に申し出ればOK。

とはいえ、介護休業の取得率は低く、2012年で3.2%。その一方で、同年、約9万5000人が介護を理由に離職したという調査結果もあります。

そこで、短期間の休業を分割して複数回取れるように2017年からルールを改正した制度の導入が検討されているようです。

また、対象家族が1人であれば年に5日まで、2人以上であれば年に10日まで、1日単位で休暇を取得できる「介護休暇」や、短時間勤務などが可能になる「短時間勤務制度等」も整備されています。

■介護休業中は雇用保険から「賃金の40%」が支給

介護を行う労働者が仕事を休める制度があることはわかったけれど、休業中の賃金が気になるところ。じつは、法律での定めがないため、多くの会社で無給となっています。

ただし、雇用保険から「介護休業給付金」として、賃金の40%が支給されます。

原則、対象家族1人の介護につき1回の支給ですが、93日以内で終了し、その後、病状が悪化するなどした場合は、2回目の介護休業を取得することができ、通算93日に達するまでは受給できる仕組みです。

気をつけたいのが、支給の対象年齢。支給されるのは65歳未満で、65歳以上の人が介護休業した場合には、支給対象にならないようです。

親の介護といえば、入浴や排せつ、食事などの介助を思い浮かべがちですが、こうした「情報収集」はとても大切です。介護は、必要なことを関係機関に申請しなければ、事態はなにも進まないことが基本だからです。

突然やってくるのが、親の介護。いざというときに困らないためにも、時間的にゆとりのあるうちから積極的に情報を収集し、知識を蓄えていきたいものですね。

(文/山本裕美)

 

【参考】

太田差惠子(2015)『親が倒れた! 親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと』翔泳社

2014年 「仕事と介護の両立と介護離職」に関する調査-株式会社明治安田生活福祉研究所

平成24年度仕事と介護の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書-厚生労働省

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