50社を経営する起業家が伝授「海外でビジネスする際の注意点」

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2016.05.16

suzie.20160516

『「世界」で働く。 アフリカで起業し、50社を経営する僕が大切にしていること』(金城拓真著、日本実業出版社)の著者は、タンザニア・ザンビア・マダガスカル・ベナン・ニジェール・ブルキナファソ・コートジボワール・カメルーン・トーゴと、アフリカ9ヶ国で50社以上の会社を経営しているという起業家。

金取引、農場経営、不動産、タクシー、運送業、金鉱山運営、ホテル、中国製品の卸売、土地開発など業種もさまざまだといいますが、「アフリカでビジネスをする際に、一番気をつけなければならないのは、相手の裏切りです」(20ページより)という言葉からも想像できるとおり、そのビジネスは一筋縄ではいかないもののようです。

しかも「裏切り」に気をつけなければならないのだとしたら、お金のトラブルも少なくなさそう。そこできょうは同書のなかから、お金についての考え方を引き出してみたいと思います。

■日本人はお金に盲目的になりがち

日本人のいちばんの欠点は、お金を絶対視していることだと著者はいいます。

もちろんお金は重要ですし、なければご飯も食べられないことになります。しかし多くの方は、お金に対して信仰に近い念を抱いているというのです。そして多くの場合、盲目的になりがちでもあるといいます。

ところが著者は、「すべての物事は俯瞰的に、客観的に捉えなければいけない」と考えているのだそうです。

■海外では「お金で解決できない」

また、「お金でなんでも解決できる世界は日本のなかだけ」と思っておいたほうがいいともいいます。

外国に出て、お金で物事を解決しようとすると、「私からどんどんボッタくってください」と喧伝しているようなものだというのです。

しかしそうなると、よからぬ輩がその人のもとに現れるのは時間の問題だということ。それは、日本人が海外でトラブルにあう原因のひとつではないかとも著者は考えているのだそうです。

にもかかわらず、多くの日本人はお金で物事を解決しようとするもの。

もし取引において不安な部分があれば「専門家に委託しよう」「この規模の会社なら委託しても間違いないはずだ」「これだけの金額を積んだのだから、大丈夫なはずだ」というように考える企業が多いというのです。

しかし当然ながらそれは、著者の目から見ると「詐欺をしてください」といっているようなもの。

もちろん、業務を委託すること自体が悪いことだというわけではないでしょう。ただし、相手が誰でもいいというわけではないということ。

取引相手を自分の目で見て、自分の感覚に従って取引を決めたり、業務を依頼したりすべきだというわけです。気になってしまいがちな会社の規模や金額は、そのあとに見ればいいという考え方なのです。

■お金を出してしまったらおしまい

「騙し」や「裏切り」と表裏一体の環境に身を置いているだけに、自分と取引をしている人を見ずに、取引をしている人の外側で判断するなんて理解できないと著者はいいます。

ビジネスはある意味においてマネーゲームであり、お金で解決しなければならないことも多くあります。

しかし、それと同じくらいの割合で、「お金を出してしまったら間違うビジネス(相手にたかられるような結末を迎えてしまうビジネス)もある」というのです。

実際のところ、著者が尊敬しているビジネスパーソンも、お金に関してこのようにシビアな感覚を持っている人ばかりだといいます。そして、実際に大成功されている方も多いのだとか。

また、いま成功していなかったとしても、将来的に大成功するのはこのようなタイプだとも感じているそうです。

そして著者は、こうもいうのです。この先、日本人が世界で戦っていくためには、こうしたお金の感覚を養うのも大切なことかもしれないと。

たしかに、著者のビジネスフィールドであるアフリカの現状を、そのままのかたちで日本に置き換えるのは現実的ではないかもしれません。

著者の目に映っているアフリカのビジネスシーンと日本のそれとの間には、大きな隔たりがあるのも事実だからです。

しかし、それはあくまで「現時点においては」の話にすぎません。世界が加速度的にグローバル化している状況下においては、予想よりも早く、彼らの価値観を共有しなければならないときが訪れる可能性もあります。

つまり未来に焦点を当てた場合、本書はぜひとも読んでおくべき一冊であるといえるのです。

(文/作家、書評家・印南敦史)

 

【参考】

金城拓真(2016)『「世界」で働く。 アフリカで起業し、50社を経営する僕が大切にしていること』日本実業出版社

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