漢字の常識が変わった?ベストセラーの漢字使用率は20%以下!

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2016.05.23

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日本語の文章に、何割ぐらいの漢字が混ざっているのがいちばん読みやすいか、考えてみたことはありますか?

2014年に発売された、株式会社コムニコ著『ファンを獲得! Facebook投稿ノウハウ』(翔泳社)によると、漢字が10%~30%、ひらがなが60%~70%、カタカナが5%~10%で書かれたFacebookの投稿が、最も「いいね!」やコメント、シェアの率が高くなるそうです。

しかし、これはあくまでカジュアルに書かれた短い文章でのこと。活字として世に発表されているものでは、どれくらいの漢字比率が適切なのか、さまざまな作品をサンプルとして調べてみました。

■各新聞の社説は漢字使用率40%以上

カウントに使用したのは、指定したテキスト内で漢字がどのくらい使われているかをウェブ上でチェックできる「漢字使用率チェッカー」というアプリ。サイトの説明によると、

「20%以下:締りがない文章。30%前後:もっとも読みやすい文章。40%以上:硬い感じの文章」

という基準があるようです。これは、2010年11月27日に読売新聞の「編集手帳」に掲載された『「大漢和辞典」を読む』(紀田順一郎編、大修館書店)を参考にした数字とのことです。

では、あいうえお順で各社の社説を数えてみましょう。いずれも2016年5月19日の社説です。内容は、朝日新聞と読売新聞が党首討論について、産経・東京・日経・毎日の各紙は「1億総活躍プラン」についてでした。

『朝日新聞』

全体の文字数:960

漢字数:408

漢字率:42.5%

『産経新聞』

全体の文字数:885

漢字数:360

漢字率:40.68%

『東京新聞』

全体の文字数:944

漢字数:429

漢字率:45.44%

『日経新聞』

全体の文字数:1,753

漢字数:762

漢字率:43.47%

『毎日新聞』

全体の文字数:1,050

漢字数:473

漢字率:45.05%

『読売新聞』

全体の文字数:977

漢字数:455

漢字率:46.57%

やはりいずれも、基準では「硬い感じの文章」とされる40%以上で、45%前後のものが目立ちます。内容はもちろんのこと、読めば漢字の勉強にもなりますね。

■文学作品の漢字使用率は30%前後!

では、文学作品ではどうでしょうか。

『吾輩ハ猫デアル』夏目漱石(1905年発表)旧字旧かな表記のもの

カウントした文字数:11,520

漢字数:4,185

漢字率:36.33%

『邪宗門』芥川龍之介(1918年発表)

カウントした文字数:1,519

漢字数:413

漢字率:27.19%

『檸檬』梶井基次郎(1931年発表)旧字旧かな表記のもの

カウントした文字数:5,360

漢字数:1,479

漢字率:27.59%

ちなみに、漱石の『吾輩は猫である』は、新字新かなづかいのものだと28.18%でした。同じ作品なら旧字旧かな表記のものの方が、漢字率が高いといえそうです。

■現代のベストセラーは漢字減少傾向?

ここ数年の話題作ではどうでしょうか。それぞれ、「はじめに」を除いた本文の冒頭部分をカウントしてみました。

『オレたち花のバブル組』池井戸潤(2007年発表)文藝春秋

カウントした文字数:1,209

漢字数:387

漢字率:32.01%

ご存じ、大ヒットしたテレビドラマ『半沢直樹』の原作小説です。以下の作品とくらべるとやや漢字は多めですが、その漢字の多さがハードな企業社会を表しているともいえそうです。

『人生がときめく片付けの魔法』近藤麻理恵(2010年発表)サンマーク出版

カウントした文字数:1,207

漢字数:248

漢字率:20.55%

世界中で大ヒットのこの作品は、わかりやすさと親しみやすさが伝わる20.55%。もし、もっと漢字が多かったら、視覚的に「難しい」と感じてしまう人もいたかもしれませんね。

『人生はニャンとかなる』水野敬也・長沼直樹(2013年発表)文響社

カウントした文字数:264

漢字数:52

漢字率:19.7%

写真とともに楽しむ名言集という性格を持ち合わせた本のためか、ほかの本よりひらがなが多めになっていますね。

『伝え方が9割』佐々木圭一(2013年発表)ダイヤモンド社

カウントした文字数:670

漢字数:111

漢字率:16.57%

冒頭部分にたまたま漢字が少なかった、ということもありますが、漢字率がぐっと低めの16.57%。コミュニケーションが題材の本だけに、わかりやすさが重要視されているのかもしれません。

数年前までは、ベストセラーの漢字率は20数パーセントといわれていましたが、ここでカウントしたベストセラーは20%を下回るものも。

これだけではサンプルが少ないのであくまで仮説にすぎませんが、ヒットする本の漢字率は、Facebookの投稿と同じくらいまで減少傾向にあるといえるかもしれません。

■Suzieの人気記事の漢字使用率は

ここまでくると、「他人のことばかりカウントしていないで、自分たちの文章はどうなの?」という声が聞こえてきそうなので、Suzieの人気記事も漢字使用率をカウントしてみました。

『Twitter人気TOP10の傾向が海外と日本で大違いな理由』(5月16日掲載)

全体の文字数:2,557

漢字数:602

漢字率:23.54%

『多くの会社員が間違えている「ちゃんと数字で報告しろ!」の真意』(5月17日掲載)

全体の文字数:1,332

漢字数:322

漢字率:24.17%

『ラーメン1杯に7g!減塩をどう思うのかラーメン屋に聞いてみた』(5月12日掲載)

全体の文字数:1,899

漢字数:441

漢字率:23.22%

ほかの記事も、ほぼ20%~25%に収まっているようです。ちなみにこの記事は29.55%。ちょっと硬い感じになったでしょうか?

(文/宮本ゆみ子)

 

【参考】

株式会社コムニコ(2014)『ファンを獲得! Facebook投稿ノウハウ』翔泳社

漢字使用率チェッカー

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