20年もIBMで働いた女性が経験から語る「ひきずらないコツ」

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2016.05.23

suzie.20160522

20年間にわたってIBMに在籍していたという著者による『ひきずらない技術』(深谷純子著、あさ出版)は、IBMでの経験から得たものを「ひきずらない」ための技術としてわかりやすくまとめた内容。

というのも同社には、やりたい仕事があると、自分から「やります」と手をあげることができる社風があるというのです。いってみれば、社員の意思が尊重される社風だということ。そんな環境下において著者は、「ひきずりやすい人」と「ひきずりにくい人」には共通点があるということに気づいたそうです。

だからこそ、彼らの特徴を研究すれば、「高いパフォーマンスを発揮できるノウハウ」を見つけられるというわけ。「ひきずらない技術」を身につけることによって、「ストレスフルな現場で、いかに適応しながら結果を出していくか」を学ぶことができるということです。

著者によれば、引きずってしまういちばんの原因は、「ストレス対応力」の弱さ。つまり裏を返せば、ストレス対応力を鍛えることが、ひきずらないためのいちばんの方法だということ。

なお、ストレス対応力を鍛えるためには次の4つのステップで進めていくのだといいますが、どの段階でストレスが解消できるかはその人の感じ方によって違うとか。

■ステップ1:ネガティブ感情を受け入れる

ネガティブ感情を放置すると、心理的に落ち込むだけではなく、食欲低下や不眠などの身体的不調、生産性の低下やミスなどの行動面にも影響が出るもの。それが、ますますストレスを増幅させる原因となるわけです。

大切な基本は、心のなかで絡み合うモヤモヤをじっくりと紐解いて受け止めること。喜怒哀楽があるのが人間で、ネガティブ感情がまったくない人はいないので、否定せずに受け止めることが大切だというわけです。

ネガティブ感情がわかったら、

・腹式呼吸(おなかからゆっくり吸って、ゆっくり吐く。吐くときにネガティブ感情を外に出すイメージで)

・エクササイズ(ジョギング、水泳などの有酸素運動を行うことで、心身の安定をはかるセロトニンが分泌される)

・集中してできる作業や趣味(作業に没頭することでイヤなことを忘れる。料理や楽器の演奏、カラオケなど)

などを試してみると効果的だそうです。

■ステップ2:思い込みを見なおす

感情の多くは、「思い込み」から生まれるといいます。たとえば過去に失敗を経験した人は、同じような状況に遭遇すると、「今回も無理だ」「自分にはできない」をいうネガティブ感情を持ってしまい、行動をためらうということ。

思い込みは過去の経験がつくりだしたものなので、とても大切。しかし、頑固な思い込みはストレスの原因にもなるため、本当に正しいか、間違っていないかを見なおす柔軟さが必要だということです。

思い込みの扱い方で重要なのは、ネガティブ感情を感じたら、自分に問いなおしてみること。

思い込みとは、一事が万事そうだと決めつけてしまう心の動き。「きょうはちょっと都合が悪い」といわれただけで全否定されたようにとらえてしまい、「いつも断られる」などと思い込んでしまったりするわけです。

だからこそ環境や人のせいにせず、当たり前と思っていたことを疑ってみると、突破口が見つかるかもしれないということです。

■ステップ3:肯定的な意味づけをする

これは、ネガティブ感情をいったん横に置き、問題に視点を変えてみるということ。

自分にとってプラスになることはないか、肯定的にその状況をとらえてみる。感情を切り離し、ストレスの原因となった状況を冷静に見るために、傍観者となってみる。いってみれば、他人事だと思って自分にアドバイスをするということです。

ポイントは、どんなことにも肯定的な見方が必ずあると信じること。

■ステップ4:脳によいレッテルを貼っていく

ここまでやってきて、まだストレスを感じている場合は、自分からストレスのある状況を変えるために行動することが必要。

その際に重要なのは、どんな小さなことでも行動に移すこと。しかもその際、脳が喜ぶ感情のレッテルを貼ると効果的なのだとか。なぜなら、人の感情はパフォーマンスに大きく影響するから。

私たちは情報を目や耳からインプットし、それを脳で「受け取り」→「感じ」→「理解し」→「考えて」→「記憶」するもの。

このとき脳が好きな情報だと一連のサイクルが活発になり、嫌いな情報だと鈍くなるのだそうです。つまり、好きか嫌いかと言う感情によって脳のパフォーマンスは左右されるということ。だからこそ、脳によいレッテルを貼っていくことが意味を持つわけです。

本書では他にも、「ひきずり」状態から抜け出すためのさまざまな方法が紹介されています。活用すれば、「ついひきずる」回数を減らすことができるかもしれません。

(文/作家、書評家・印南敦史)

 

【参考】

※深谷純子(2016)『ひきずらない技術』あさ出版

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