虐待相談件数が15年で7.6倍に!児童相談所は今どんな状態?

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2016.06.02

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昨今、児童虐待事件が多く報じられています。厚生労働省の発表によると、平成26年度、全国の児童相談所での児童虐待相談対応件数は8万8,931件。児童虐待防止法施行前の平成11年度に比べると、7.6倍にも増えています。

そこで児童相談所の現状について、東京都福祉保健局・児童相談センターの栗原さんにお話を伺ってみました。全国的に相談対応件数が増加傾向にあるなか、東京都では人員が足りているのでしょうか?

■平成28年度に児童福祉司を18人増員

この2ヶ月でも虐待相談件数は昨年度同期にくらべて増えており、人員については厳しい状況だとか。

しかし今年度に入って児童福祉司を18人増員しており、他に警察官OBや保健師などの非常勤スタッフとも連携をとりながら対応しているそうです。

また、この人員増はスタートしたばかりの段階のようです。

今年4月、厚生労働省が虐待への対応を強化する「児童相談所強化プラン」を発表。児童福祉司や児童心理司、保健師などの専門職を今後4年間で合計1,120 人程度増員する目標を掲げています。

■児童相談所は子どもの安全を最優先する

今年3月には、相模原市の男子中学生が児童相談所に保護を訴えたものの認められず、自殺したニュースがありました。子ども自らが助けを求めた場合には、どのように保護の決定がなされるのでしょうか。

「子どもから保護を求められた場合には、児童相談所で調査、話し合いをして、保護の要否を決めています。警察や小中学校等からの通告も、基本的に同じように対応します」とのこと。

ただ児童相談所は、子どもの安全を最優先するため、子どもを親から引き離し、一時的に保護してから調査をすることもあるようです。

また虐待通告があった場合は、原則48時間以内に子どもを直接目視することがルールとなっています。調査の際は2~3人で行動し、家庭を訪問する際にも複数の職員で聞き取りに行くそうです。

■子どもの虐待を見てしまったときの対応

私たち大人ができることは、虐待を発見したら通告すること。

しかし外出先で子どもが虐待されているところを目撃した場合でも、「その親子のことがわからない」「証拠もない」「一瞬の出来事だったから」などの理由で、児童相談所への通告を迷う人も少なくないはず。

このようなケースでも、通告をすれば対応してもらえるのでしょうか。

「虐待かなと思ったら、児童相談所に連絡してください」と栗原さん。子どもに危険が差し迫っている状況などを目撃した場合には、警察に通報しましょう。

また近くの児童相談所がわからなくても、児童相談所全国共通ダイヤル「189」があります。「189」にかけると、近くの児童相談所につながります。

たとえば駅で虐待を受けたと思われる子どもを見て、通告をしたとします。こうした場合は児童相談所職員がその駅に行き、できる範囲で特定のための調査を行うそうです。

特定が難しい場合でも、「わからないから」と調査されないことはないのです。たとえ情報が少なくても、虐待かなと思ったら通告することが大切。

■通告しても「通告者の秘密は守られる」

通告は匿名でも行うことが可能です。ただし児童相談所の担当者が、再度詳しく話を聞くことができるように、できれば連絡先を伝えましょう。児童相談所は決して通告者の情報を外に漏らすようなことはないため、安心して教えてほしいといいます。

また虐待であるか、そうでないかを判断できずに通告を悩むことがあるかもしれません。

わかりやすい例が、同じマンションに住む赤ちゃんが普段とは違い、とても激しく泣き続けているとき。保護者の怒鳴り声がしたとしても、それが虐待からなのかはっきりしないこともあるでしょう。

しかし小さい子どもは、自分から助けを求めることができません。誰かが通告をすれば、48時間以内に専門家によって子どもの安全確認が行わるのです。「他の誰かがしてくれるかも」と見てみぬふりをせず、虐待のサインを見つけたら専門機関に連絡をするようにしましょう。

親からの虐待により、子どもが命を落とす事件もあとを絶ちません。大切なのは、地域社会全体で子どもたちを見守ること。

「虐待かな」と思ったら通告するだけでなく、外で出会う親子に温かい目を向ける、困っている親子がいたら声を掛けるなど、自分ができることをしていきましょう。それが子どもを救うことにつながるのですから。

(文/椎名恵麻)

 

【取材協力】

東京都児童相談センター・児童相談所-東京都福祉保健局

 

【参考】

児童虐待の定義と現状-厚生労働省

児童相談所強化プラン-厚生労働省

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