中高で800時間も英語に触れた大人の「やりなおし学習」成功法

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2016.06.08

suzie.20160607

きょうご紹介するのは、『第二言語習得論に基づく、もっとも効率的な英語学習法』(佐藤 洋一著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)。

聞きなれない言葉ですが、「第二言語習得論(Second Language Acquisition)」とは、効果的な外国語学習方法を科学的に探究している分野。

中学・高校で英語を学んだものの、習得するには至らないまま大人になった人が、最短距離で成果を上げるために必要なことを示したものなのだそうです。

■大人の頭で学びなおす手順

英語学習については一般的に、「早く学べば学ぶほど効果的」というようなイメージがありますよね。

しかし、大人の頭で学びなおすことによって、短期間で英語力をアップさせることができるというのです。

そんな方法が本当にあるのかと疑いたくもなりますが、具体的には次のような手順を踏むのだとか。

(1)文法のコアを、自然順序仮説に沿って学習する・・・2ヶ月

(2)十分な量の英語をインプットする・・・2ヶ月

(3)受信型の英語」から「発信型の英語」へ切り替える・・・2週間

(4)「発信型の英語」から「相互理解のための英語」へ切り替える・・・1ヶ月

(5)自分の英語をモニタリングする方法を身に付ける・・・2週間

(6)学習方法をカスタマイズし、学習を継続する

最初のステップは、英文法のコアを押さえること。

その際、「論理的な思考が得意な大人の頭がどのように文法知識を習得していくかについての理論」に基づいた順序で学習していくことが重要なのだといいます。

次のステップは、インプットを蓄積すること。現在の自分よりも少しレベルの高い英語を、おもにリスニングを通して大量に取り込んでいく作業。そんな方法からもイメージできるとおり、「質より量」がポイントになるそうです。

次いで必要となるのは、理解するだけの「受信型の英語」から「発信型の英語」へのモード切り替え。この作業には、短い英作文やスピーチが役に立つといいます。

さらに行うのは、一方通行な「発信型の英語」から、双方向の「相互理解のための英語」への切り替え。

ちなみに英会話学校で会話練習をはじめるタイミングとしては、ここがベスト。基礎が固まらないうちから英会話学校に通うのは、避けるべきだそうです。

なお英会話を練習する際には、ネイティブのように自然な話し方を意識する必要はまったくないといいます。むしろ心がけるべきは、文法のコアを意識しながら、ゆっくりでもいいので、整った文を発話するように心がけること。

自分の話す英語を常にモニタリングすることにより、倍以上の学習効率があると著者は断言しています。

そして最後は、自分の学習方法を自分の手でカスタマイズしていく作業。自分が興味を持っている教材を用いることがポイントだとか。

■決め手はモードの切り替え

このメソッドをひととおり終えたときが、英語学習の第二のスタート地点。以後は学習方法をカスタマイズしながら、継続的に学んでいくことが大切なのだそうです。

なお、「英語をやりなおす」という点も重要。何故なら第二言語習得論においては、新たな言語を習得するためには相当量のインプットが必要だから。

私たちは中学・高校の授業だけでも800時間程度英語に触れてきているので、そのインプットを活かさない手はないというわけです。

いわば、大人の頭で文法を学び直す、過去のインプットを活かす、そのうえで学習に関するさまざまなモードの切り替えを行うことが言語習得の必勝手順だということ。

■成功した人の3つの共通点

著者によれば、英語のやりなおし学習に成功した人の共通点は、大きく以下の3つ。

(1)やみくもに勉強するのではなく、筋道を立て、体系立てて学習を進めている

(2)自分自身の学習段階を理解し、次になにを学ぶべきかを把握している

(3)学習に関するさまざまな外的要素を自分でコントロールしている

ビジネスのための英語学習に成功する人は、「語彙や文法をひたすら暗記する」という受験英語のマインドセットを捨て、「自分のいいたいことを伝えるために必要な量の語彙と文法をおぼえ、繰り返し使う」という割り切りができているのだそうです。

そして「次にやるべきこと」がわかっているからこそ、目の前の課題に手当たり次第に取り組み、壁に突き当たってしまうということもなくなるわけです。

さらに、「なにをすべきか」がわかっている人は、学習時間の捻出など、学習に関するさまざまな外的要因をうまくコントロールできるようになるのだとか。

ざっとご紹介しただけでも、第二言語習得論に基づく英語学習法のオリジナリティがわかるはず。英語力がなかなかつかずに悩んできた人にとっては、本書が突破口になるかもしれません。

(文/作家、書評家・印南敦史)

 

【参考】

※佐藤洋一(2016)『第二言語習得論に基づく、もっとも効率的な英語学習法』ディスカヴァー・トゥエンティワン

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