35歳以上で3~5個に!医師に聞いた「卵子老化」の正しい知識

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2016.06.10

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晩婚化が進むいま、「妊活」についての意識が高まっています。しかし、卵子老化や不妊の原因について知りたくても、情報が多すぎてかえって混乱してしまうことも。

そこで今回は、妊娠にまつわる正しい知識を得るために、不妊治療専門の「はらメディカルクリニック」原利夫院長にお話をお聞きしました。

■晩婚化により卵巣年齢が上昇している

現在日本の女性が初めて出産を迎える平均年齢は、30.6歳。女性の社会進出にともない、妊娠・出産年齢は上昇しています。

「現代は、初潮から妊娠までの期間が長く、生理の継続によって子宮や卵巣に負担がかかっています。子宮内膜症、卵巣のう腫といった病気を防ぐためには、妊娠は若いころのほうがいいんですよ」(原先生)

晩婚化により卵巣年齢は上昇。妊娠率の低下が懸念されています。

キャリアアップのために妊娠適齢期を逃してしまうケースも少なくありません。これから先、妊娠を望む女性は何をすればいいのでしょうか。

■生理がきちんと来ているか確認しよう

欧米だと、35歳くらいで結婚したら自然妊娠よりも不妊治療・体外受精に進むというのは本当ですか?

「35歳以前から2年間性交があっても妊娠しない場合、不妊治療を考えたほうがいいということ。35歳で結婚するぶんには、まだ1~2年様子を見ても大丈夫です。36歳なら1年程度様子を見てもいいでしょう」(原先生)

まだ結婚する予定がない場合は、心構えとしてなにに気をつければいいですか?

「まず気をつけなければいけないのは、生理が周期的にきちんと来ているかということ。来ていれば、妊娠できる体の準備が整っているはずです。

最近多く見られるのは、不特定多数の異性と性交したために、性病にかかり卵管が詰まるといったトラブルが起きるケース。異性関係にルーズだと性病にかかり、不妊症になってしまうことがあります」(原先生)

これは、若い世代にとっても大きな問題ですね。

また、生理痛がひどかったり、20歳を超えても生理周期が整わなったりする場合は、一度婦人科を受診するのがおすすめです。

■外科手術と不妊に意外な因果関係が!

外科手術が不妊と関係すると聞いたことがあります。鼠径ヘルニアや、子宮頸がんの手前のステージである高度異形成の手術は不妊に影響するのでしょうか?

「鼠径ヘルニアに関しては、子どものころに手術をした際、腸と間違えて卵管を縛られてしまうケースがあります。そのために不妊症になってしまう人がいるのです。大人になってからの鼠径ヘルニアの手術では、間違って卵管を縛ってしまうことはないでしょう。

高度異形成では、子宮の入り口を削り取る手術をおこないます。通常、排卵期になると精子が子宮に入りやすくするために頸管粘液が多く分泌されます。ところが、高度異形成の手術で子宮頸部を削り取ると、粘液が不足して精子が子宮に進みづらくなり、妊娠に影響が出てくるのです」(原先生)

高度異形成は、子宮頸がんの検診によって発見できますから、早期発見のために定期検診を受けることが大切ですね。まだ結婚する予定がないなら、避妊具を使うなど、子宮頸がんになるリスクを避けることも必要になります。

■卵子の老化とは減少と質の低下を指す

年齢を重ねると、卵子が老化してしまうと聞きました。これは具体的にどういうことなのでしょう。

「排卵に備えて成熟する卵子の候補は3~18個、加齢とともにその数は減り、35歳以上になると3~5個に減ってしまいます。

また、35歳を過ぎると卵子の遺伝情報が欠損しやすくなり、ダウン症の発症率が高まります。卵子の老化とは、この卵子の減少と質の低下を指しています」(原先生)

25歳未満で43%だった妊娠率も、35歳以上では14.5%まで下がってしまうんですよね。

「20歳くらいの人は、タイミングが合えば結婚して3カ月で妊娠するわけです。35歳を越えると、妊娠するチャンスは1年に1~2回の割合まで減ってきます。年齢によって妊娠率にかなり差があります」(原先生)

35歳という年齢は、卵子の質が低下し、女性ホルモンの年齢が減少してくる時期。自然妊娠を望むなら、35歳までがいいそうです。35歳未満でも、2年以上妊娠しないなら婦人科で検査が受けられます。

■なぜ卵子の「凍結保存」が必要なのか

いま、卵子の凍結保存が話題になっています。そもそも、どうして卵子を凍結保存する必要があるのでしょうか。

「卵子が老化すると妊娠しづらくなるので、そうならないうちに若いうちに卵子を取って受精させておこう、ということですね。年を取ってからの卵子では妊娠しづらい、また、赤ちゃんに障害が起きやすくなります。いますぐ妊娠の予定はないけれど、将来子どもがほしいなら若いうちに卵子を取っておこうという考え方です」(原先生)

35歳をすぎても仕事をバリバリこなしたいという女性は多くいます。仕事に打ち込み、妊娠を諦めないためには、受精卵の凍結は選択肢のひとつになるのですね。

未婚の女性でも、卵子のみを凍結保存し、年を重ねてから若いころの卵子で妊娠・出産が可能だそうです。保存の費用は病院によって異なりますが、妊娠できる時期の延長に期待が高まります。

大きな問題となっている晩婚・少子化問題。必ずしも子どもを産むことがすべてではありませんが、不妊症にならないために気をつけるべきこと、妊娠を諦めないためにできることがあります。正しい知識を身につけ、ときには専門の医療機関を頼ってみてはどうでしょうか。

(文/ぱるぱる)

 

【取材協力】

※原利夫・・・医学博士。58年慶応義塾大学大学院医学研究科修了にて医学博士学位を取得。同大産婦人科助手を経て、62年東京歯科大学市川病院講師、平成元年千葉衛生短大非常勤講師となる。

平成5年、不妊治療専門クリニックはらメディカルクリニックを開設。専門は生殖生理学、内分泌学、精子学。著書に『図解赤ちゃんがほしい人のための本-二人で治す不妊』池田書店、『不妊治療がよくわかる 元気な赤ちゃんができる本』池田書店など。

 

【参考】

はらメディカルクリニック

原利夫(2008)『図解赤ちゃんがほしい人のための本-二人で治す不妊』池田書店

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