あるあるジレンマ!なぜ「働かないおじさん」の給料が高いのか?

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2016.06.12

jirenma

会社で働いていると、ジレンマに直面することは日常茶飯事。

特にマネージャー職になると、2つの選択肢を前に「どう決断したらいいか」と悩む場面も多くなることでしょう。

『会社の中はジレンマだらけ』(本間浩輔・中原淳著、光文社)は、ヤフー上級執行役員の本間浩輔氏と、東京大学准教授の中原淳氏が、会社で起こりうる場面を取り上げ、どのような決断を下すべきかを述べた書籍。

対談形式で書かれているので、実際にアドバイスを受けているような気持ちになれるはず。

今回は本書から、チーム内にいる「働かないおじさん」への対処法を取り上げます。

■「働かないおじさん」はあるあるジレンマ

マネージャーとして、「仕事をしないおじさん」にいいたいことを伝えるか、それとも見過ごすかは会社で起こりうるジレンマのひとつ。

実際、「働かない年下の部下」と「それに不満を漏らす若手」の間で板挟みになり、悩んでいるマネージャーも多いそうです。

若手のなかには「自分は働きに見合った給料をもらえていない」と感じている人も多いので、働かずに給料をたくさんもらっているおじさんを許せないと思ってしまうのでしょう。

■「働かないおじさん」は環境でつくられる

本間氏は、「働かないおじさん」が生まれるメカニズムのひとつに、適切な評価がされていないことがあるといいます。

本来なら働かないおじさん(Aさん)に対して、マネージャーが「このままだと評価が下がりますよ」と忠告するのがルール。それでも働かなければ給料を見なおすのは当然のことなのです。

ところが、マネージャーがなにもいえなかったり、下げるべき給料を下げられなかったりするから、Aさんは「このままでいいんだ」と勘違いしてしまうのです。

つまり、「働かないおじさん」はある日突然働かなくなるわけではなく、長い間時間をかけてつくられていくということ。会社側がAさんに間違った仕事の仕方を「学習してもらっている」ともいえるというのです。

■人ではなく「事」を評価しないといけない

本来、評価の目的はフィードバックにあります。フィードバックには「結果の通知」と「立てなおしのお手伝い」というふたつの側面があると中原氏はいいます。

結果の通知は、その「人」ではなく「事(今期の働き)」で評価し、ランクに当てはめるべきなのです。

Aさんについても、彼が過去に大きな実績をあげたとしても、「今期どれだけの仕事をして、どんな成果をもたらしたか」という点のみで評価すればいいということ。

なのにAさんを「人」として評価しようとするから、マネージャーは悩んでしまうのです。

■1on1ミーティングで部下の成果を把握

ヤフーでは「1on1ミーティング」(上司と部下1対1の定期的なミーティング)があるため、マネージャーが部下の成果を確認しやすいと本間氏はいいます。

部下のパフォーマンスは正しく把握するのが難しいからこそ、定期的に1on1を行って部下から直接状況を小まめに聞くことが大切なのです。

マネージャーが部下とそれぞれ1on1を行うことで、風通しがよくなりチーム全体の雰囲気がよくなったこともあるそうです。

■フィードバックと気長なフォローが大切!

中原氏がAさんのマネージャーだったとしたら、「いまの状況のままでは評価を下げなくてはならず、その場合は給料も下がる」とハッキリ伝えるといいます。ただし、相手は年上なので敬意を払うことも必要。

その上で、どういう状況が、どのようによくなかったのかをはっきりフィードバックし、「一緒にこの問題を解決するために、お互い取り組めることはないですか?」とAさんが自ら対策を考えられるように促します。

一度のフィードバックではなく気長にいい続けていくというスタンスも大切だといいます。

■若手メンバーにも問題を投げかけるといい

本間氏の場合は、Aさんが明らかに給料をもらいすぎているので、外部市場とも照らし合わせて彼に見合った給料の額を提示するそう。

遠慮して多めの額を伝えてしまうと嘘をついたことになりますし、「いつ辞めてもいいんですよ」などといってしまったら後がなくなります。

Aさんもかつては給料に見合うだけの仕事をしてきたはずですから、寄り添う姿勢を持ちたいもの。

それに、いくらAさんが仕事をしていないからといって、若手が陰口を叩いているというのもチームの状態としてはよくありません。

ですから若手に対しても「どうすればAさんがパフォームするようになる?」などと問いかけ、みんなで考えるということも効果的だと本間氏はいいます。

本書では他にも、「なぜマネージャーに“現場仕事”が増えるのか」「なぜ産休社員への人員補充がないのか」などの5つのケースが紹介されています。

マネージャーではない人も、会社のジレンマの実態がわかると少し心が軽くなるのではないでしょうか。

(文/平野鞠)

 

【参考】

本間浩輔・中原淳(2016)『会社の中はジレンマだらけ』光文社

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