こんにちは、深沢真太郎です。ビジネスパーソンを数字と論理に強くする「ビジネス数学」を提唱する、教育コンサルタントです。
私の周囲に「かつて算数や数学で苦労したし、いまも数字が苦手。だから、子どもにはそういう苦労はさせたくないんですよね……」とおっしゃるパパやママが、たくさんいます。
そんな悩みを持つご両親に、ぜひ実践していただきたいことがあります。それは、塾や学校に頼るのではなく、ご家庭のなかで数字を使って会話をすること。私はこれを、「親子で『数会話』」という言葉で表現し、推奨しています。
■親子で「数会話」をしよう!
数字を使って会話をしなさいといわれても、おそらくピンとこないでしょう。でも、たとえばこういう会話を子どもと日常的にしてみればいいのです。少し長くなりますが、おつきあいください。
ママ「今日の算数はどんなお勉強をしたの?」
子ども「たしざん」
ママ「じゃあママからも問題を出すよ。□+△=10になるような、□と△をぜんぶいってみて」
子ども「えっと~……(□、△)=(1、9)(2、8)(3、7)(4、6)(5、5)(6、4)(7、3)(8、2)(9、1)、これでぜんぶ」
ママ「あら、なにか大事な数を忘れていないかしら?」
子ども「……あ!(□、△)=(0、10)(10、0)」
ママ「ピンポ〜ン! すごいじゃない! ぜんぶで11個もペアがあるのね。じゃあ、□をパパ、△をママとしたら、このなかでどのペアがパパとママになる?」
子ども「え? わかんないよ」
ママ「いいから考えてごらん。理由はなんでもいいから」
子ども「……(□、△)=(1、9)かな」
ママ「へえ、なんで?」
子ども「パパとはほとんど話さないけど、ママとはよく話すから」
ママ「なるほど(笑)。きっとパパはもう少しあなたとお話したいと思っているわよ」
子ども「……じゃあもっとお話してみる」
ママ「じゃあ、□と△がいくつくらいになるようにしようか?」
子ども「(□、△)=(5、5)」
ママ「いいじゃない。きっとパパもうれしいと思うよ」
■「数会話」の2つのポイント
これは、あくまでも一例。要するになんでもアリです。ただ、2つほどポイントがあります。
(1)とにかく数字で表現させる
(2)どのくらいかをたずねる
上記の数会話では、(1)は「じゃあ、□をパパ、△をママとしたら、このなかでどのペアがパパとママになる?」ですが、「パパとママはどの数字?」でもOK。パパママ以外でも、身近なものを数字で表現させてみましょう。
また、(2)は上記で「じゃあ、□と△がいくつくらいになるようにしようか?」となっていますが、「じゃあ、□と△はいくつくらいが目標?」と聞くのもいいです。他には、「アンパンマンはどれくらい好き?」なんて質問もアリでしょう。
■数字を身近な言葉と思うべし
ご存知のように、優秀なビジネスパーソンは例外なく、定量化して数字で議論することが得意です。今回ご紹介した親子の数会話は、まさにそんな大人に育てるための入り口になるのです。
子どもに「数字」で苦労させないためには、まず幼い時期に苦手意識を持たせないことが重要になります。もしそこで「数字=キライ」になってしまうと、後から克服するのはかなり大変なことです。
実際、私も大学で若者に数字の教育をしていいますが、強烈な苦手意識を持つ学生がいます。そんな学生への指導は、プロの私でも骨が折れます。
そうさせないためにも、幼いころから「数字=普段の会話の中によく登場する身近な言葉」であると認識させ、親子の会話に「数」を持ち込むようにしてみてください。
(文/深沢真太郎)
【参考】
※ビジネス数学の専門家 深沢真太郎 〜数字が苦手な人の救世主〜-YouTube
※深沢真太郎(2015)『そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?』日本実業出版社