仕事ストレス1位の「人間関係」を好転させて人間力を高める技法

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2016.06.19

ningen

「苦手な上司がいる」「後輩とコミュニケーションが取りづらい」など、職場の人間関係の悩みはつきないもの。

エン・ジャパン株式会社が行った「仕事のストレス」に関する調査でも、仕事でストレスを感じるポイントの1位は人間関係であり、その対象としては同僚・後輩(42%)、上司(40%)が挙げられています。

しかし、今回ご紹介する『人間を磨く 人間関係が好転する「こころの技法」』(田坂広志著、光文社)では、難しい人間関係に直面したときが、人間を磨く最高の機会であるとされています。

日常生活のなかで「こころの技法」を実践していれば、人間関係は好転し、さらに自分の人間力を高めることにつながるというのです。

本書で語られている7つの「こころの技法」のうち、第1の技法「心の中で自分の非を認める」を詳しく見ていきましょう。

■欠点がある人より「欠点を認めない人」が嫌われる!

「人間を磨く」というと、自分の持つ「非」や「欠点」「未熟さ」を改めなければならないと考える人も多いでしょう。しかし、世の中には、多くの欠点を抱えながらも人から愛され、いい人間関係を築いている人がいます。

一方、特に目立った欠点は見当たらないのに、周りからあまり好かれない人がいることも事実です。

著者も、学生時代は後者の人間であったと振り返ります。大学生のころ師事していた教授はとても厳しく、発表やレポートの内容が悪い生徒は怒鳴られることもしばしばだったというのです。

しかし、著者は厳しい指導を受けそうな場面の前に、先回りして必要なことを覚えるなどしていたため、2年間で1度も教授の叱責も受けずに過ごすことができたというのです。そして、そのことにとても満足していたそうです。

ところが卒業する際、この教授から投げかけられたのは「君は優秀だが、かわいげがない」という言葉。「自分には非がない」と思い込んでいた著者の「密やかなおごり」や「無意識の傲慢さ」を指摘されてしまったというわけです。

誰にでも欠点や未熟な点はあるのに、欠点がない人間のように振舞おうとする「優等生意識」は、人の心を遠ざけるもの。

「かわいげ」という言葉に表れた、素直に自分の未熟さを認める「しなやかな心」こそ、人と関わり合う上で必要なものだったのです。

■素直に自分の欠点を認めると人間関係は必ずよくなる

では、欠点が多いのに人から愛されるのはどんな人でしょうか。

たとえば営業センスはあるのに、大雑把なところのあるA課長。会議の時間になっても現れず、携帯に電話するとまだ外回り中とのこと。その後会社に慌てて戻り、会議室に入るなり「いやー、すまんすまん! また俺やっちゃったなぁ」と頭を下げます。

こんな人、みなさんの周りにも1人はいるのではないでしょうか。

しかし、そんな人について、周りに聞いてみると「あの性格には困っているんですが、憎めないんですよねぇ」という答えが返ってくるはず。

なぜなら彼らは自分の欠点をよく知っていて、それを素直に認めているからです。これこそ欠点がゆえに周りに迷惑をかけても、人間関係を損ねない秘訣。

「そんな簡単なことか」と思うかもしれませんが、これはなかなかできることではありません。

言葉だけで「誠に申し訳ない」などと謝ることはできますが、こういうときには多くの場合、心のなかの小さなエゴが「自分は悪くない!」「自分は間違っていない!」と叫んでいるもの。そして周りの人たちはその「小さなエゴ」を無言のメッセージとして敏感に感じ取るのです。

しかし逆に、A課長のように自分の欠点を素直に自覚していれば、それを無言のメッセージとして周りに伝えることができるというわけです。

これができれば、人間関係は決しておかしくならないし、こじれた人間関係がよくなっていくことさえあるのだとか。なぜなら、日常生活で人間関係が悪くなるときは、必ずといっていいほどお互いに「相手に非がある」「自分には非がない」と思っているから。

■相手に感謝の気持ちをもつと自分の心も整えられる!

さらに深い「こころの技法」として、「自分の欠点を受け入れてくれる相手に対して感謝する」というものがあります。

著者もこのことをとても大切にしていて、たとえば商談や会議が始まる前には参加者一人一人に対して、心の中で「ありがとうございます」と唱えることを習慣にしているといいます。

そうすることで、厳しい交渉が予想される商談や、激しい議論が交わされる会議であっても心を整えることができ、会議の参加者にポジティブなメッセージを伝えることができるのです。

コミュニケーションは、言葉で伝わるものは2割、表情や眼差し、態度などの言葉以外のメッセージが8割といわれています。心のなかで自分の非を認めることが無言のメッセージとして伝わるのと同様、感謝の心は言葉に出さずとも不思議なほど周りに伝わっていくのです。

「感謝はすべてを癒す」という言葉があるとおり、相手への感謝の心を持つことは、素晴らしい人間関係を築くための大切な鍵となるわけです。

わかってはいても、自分の欠点を素直に認めるのは難しいものですよね。でも、人間誰しも未熟な点があって当たり前、それを無くそうとするのは無理なこと。そんなふうに思えたら少し心も軽くなりませんか?

人間関係に悩んだときは、7つの「こころの技法」を少しずつでも日常生活に取り入れてみてはいかがでしょう?

(文/平野鞠)

 

【参考】

田坂広志(2016)『人間を磨く 人間関係が好転する「こころの技法」』光文社

「仕事のストレス」のアンケート調査-エン・ジャパン株式会社

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