こんにちは。深沢真太郎です。
ビジネスパーソンを数字と論理に強くする「ビジネス数学」を提唱する、教育コンサルタントです。
この記事を読まれている方のなかには、講師やライターなど、“なにかを伝えること”を仕事にしている方もいらっしゃることでしょう。そんな方々とお話していると、ある共通の悩みがあることがわかります。それは、「話す(書く)ネタがなくて困っている」というもの。
なにを喋ったらよいかわからない。なにを書いていいかわからない。私もそのような仕事をしているので、気持ちはよくわかります。
しかし、私はこれまでネタに困ったことはほとんどありません。実際、よく周囲の人にも「深沢さんはなぜそんなに本を書き続けられるのですか?」「よくそんなにコラムのネタがありますね?」という言葉も頂戴します。
そこで、そんな私がどうやってネタをつくっているのかをご紹介したいと思います。
ビジネス数学の専門家ですから、たとえばここでは「方程式」を例に説明してみたいと思います。
■1つのテーマにネタを最低3つつくる
なぜ「方程式」を勉強するのか?
これがテーマだとします。
多くの方が、1つテーマを決めたら、それについて話すことや書くことは1つだと思ってしまうようです。しかし、私はそう考えません。
私は1つのテーマを設定したら、最低3つはネタをつくるようにしています。いったいどのようにつくっているのか? その答えはとても簡単。
着地を変えるのです。
どういうことか、ご説明しましょう。
■1テーマにつき3つの着地点を考える
たとえば、このテーマをいろんな角度や切り口で眺めてみるのです。
次の方程式を解きなさい
「X+5=10」
仮にこんな問題があったとします。中学校で学ぶ数学、懐かしいですね。もちろん正解はX=5となります。
しかし、実はこの「方程式」にはいろんな側面があります。たとえば筋道を立てて結論を導く行為、ミスなく正確に作業する行為、いつか理系ビジネスパーソンとして活躍するための基礎固め……。
(1)筋道を立てて論述し、結論を導く論理思考のトレーニング
(2)正確に作業をするトレーニング
(3)ビジネスの問題解決に使われている思考法のトレーニング
要するにテーマは「方程式」であっても、その定義や意味づけはいかようにもできるということ。
つまり、伝える内容の着地のさせ方も複数あるのです。私が普段ネタを増やすときに、1テーマにつき複数の着地点を考えています。
具体的には、1テーマにつき3つの着地を考えます。「1×3=3」というわけです。
どんなテーマでも、ひとつネタを考えたら、次はまた別の視点を考えてみたり、違う切り口で取り上げてみたりすれば、ネタがどんどん増えていくものなのです。
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このようにしてネタを増やすことで、伝えられる側も「なるほど。前に聞いた方程式の話は、そういう解釈もできるのか。おもしろいな」と感じることができます。
実際、物事には表があれば裏があります。いろんな角度から見ることで、新たな発見や気づきが得られるもの。そして、人はそのような話を「おもしろい」と感じるのです。
テーマは同じでも、着地を変えれば違うネタになる。言い換えると、かけあわせるものが大きく変われば、同じテーマでも全く違う内容になる、ということ。
「ネタ欠乏症」になりがちな方は、ぜひ試してみてください。かけ算とは、こうやって使うものなのです。
(文/深沢真太郎)
【参考】
※ビジネス数学の専門家 深沢真太郎 〜数字が苦手な人の救世主〜-YouTube
※深沢真太郎(2015)『そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?』日本実業出版社