嫌いな教科&好きな教科1位の「算数・数学」を好きになる方法

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2016.06.28

suugakuf

学校の教科で子どもに嫌われがちなのは、やっぱり算数・数学。

人材サービス会社の「アデコ」が昨年秋に小中学生1,000人に行ったアンケートでは24.9%が、「学研教育総合研究所」が2013年に小学生1,200人に実施したアンケートでは22.9%が、「嫌いな教科」に算数・数学を挙げています。

つまり算数・数学は「嫌いな教科」1位の常連なのです。

「うちの子は算数嫌いだけど、私も嫌いだったし仕方ないわ……」、そんなママの声が聞こえてきそうです。

でも、あきらめるのは早いかもしれません。

じつは前述した2調査ともに、「好きな教科」でも「算数・数学」が1位に輝いているのです。どうやら算数・数学は、子どもたちを魅了する力をちゃんと持っているよう。ならば、その魅力を子どもに伝えてあげたいですよね。

そこで、「でも、自分も数学が嫌いだったし……」というパパやママにおすすめしたいのが『算数・数学はアートだ! ワクワクする問題を子どもたちに』(ポール・ロックハート著、吉田新一郎訳、新評論)です。

■学校の数学はつまらなくて内容のないモノ!

本書を書いたのは、ひとりのアメリカ人数学教師。しかも、大学で数学を研究する教授という充実したキャリアをなげうって、小学~高校で教える道を選んだという異色の経歴の持ち主です。

そんな著者は、「本当の意味での数学」はすでに失われ、いま行われている算数・数学の指導法は「つまらなくて内容のない、形だけのもの」だと批判します。その批判が、じつに痛快!

たとえば、こんな問題があります。

「7年前、マリアはあなたの年齢の2倍よりも2歳上でした。あなたが今X歳だとすると、マリアは何歳でしょうか?」

いかにもテストに出てきそうな問題ですが、著者は「ある人に対してこれほど複雑な情報を持っているのに、実際の年齢を知らないなんていうことがあり得るでしょうか? それに、そんな不自然で意味のない質問をすることなどありません!」と痛烈なツッコミを浴びせます。

さらには著者を代弁するキャラクター・サルヴィアチ氏が登場し、こんなふうに算数・数学をこき下ろしているのです。

「学校で学ぶとされている『実用的な算数・数学』をいったいどれだけの人が使っていますか? あなたは、大工さんたちが仕事で三角法を本当に使っていると思っていますか? 何人の大人が、分数の割り算や二次方程式の解き方を覚えていると思いますか?」

■数学の喜びを体験すると世界が輝いて見える

では、著者のいう「本当の意味での数学」とはどんなものでしょう?

本書は、「パート1・嘆き」と「パート2・喜び」の2部構成。「パート1」で、現在の算数・数学教育がいかにつまらないかを語り尽くし、「パート2」ではいよいよ「数学の魅力」が披露されます。

一例として、「奇数を足すと」の項を見てみましょう。

著者はまず、「奇数を小さいものから順番に足してみよう」と読者を誘います。

1+3=4

1+3+5=9

1+3+5+7=16

1+3+5+7+9=25

すると出てきた答えは4、9、16、25。これはそれぞれ2、3、4、5の平方数(2乗)です。つまり、1から順に奇数を足していくとその答えは「足した数字の個数の2乗」になるということに気づきます。

著者のいう「本当の数学」はここから。この法則がいつまでも続くのか、なぜ奇数を足すと「足した数字の個数の2乗」になるのかを証明することです。

そして試行錯誤の結果、著者は1枚のイラストでそれを証明することに成功します。

5×5

どうでしょう、5×5の正方形の中には、ちゃんと1、3、5、7、9が入っています。

この図は、奇数を足すと「足した数字の個数の2乗」になるという法則が“パターン”になっていて、いつまでも続くものであることを証明しています。

このパターンを見つけた瞬間、著者は「突然、息がつけず心臓が止まりそうな瞬間に雲間が晴れて、はっきりと見ることができ」「神の啓示ともいえる感覚」を味わいます。

これが、数学の「喜び」だということ。

■数学は気晴らしなので役に立たなくてOK!

本書は当初、「パート1・嘆き」の部分だけの小冊子としてつくられました。それが数学関係者の間で評判になり、「パート2」を加えて出版されたのです。

著者は、「算数・数学は役に立たないものでかまわない」といいます。数学は人類の楽しみのために存在していて、日々の生活における“気晴らし”であり、“ゲーム”であり、“冒険”だから。

数学が苦手な人ほど陥りがちだった「こんなことを勉強して、なんの役に立つの?」という疑問は、これで氷解します。

役に立たなくていい。ただ楽しめばいい。そうすれば、数学を「好き」と思えるようになると著者は訴えます。

もちろん、数学が科学の発展に果たす役割は小さくはありません。ですが、それは、まず子ども時代に数学を楽しんだ結果から生まれる副産物であるべきなのです。

本書によって、パパやママの数学に対するイメージが変われば、子どもの将来もまったく違ったものになってくるかもしれません。そんな期待を持たせてくれる一冊です。

(文/よりみちこ)

 

【参考】

ポール・ロックハート(2016)『算数・数学はアートだ! ワクワクする問題を子どもたちに』新評論

小学生の日常生活に関する調査(2013年3月調査)―学研教育総合研究所

全国の小中学生の子を持つ父母1,000人とその子ども1,000人を対象にした調査―アデコ株式会社 

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