2.5人に1人が非正規雇用労働者な時代の「年金の増やし方」

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2016.06.28

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「まだ先のこと」と思っていても、いつかはやってくる老後。そのとき、手にできるお金が現役時代の雇用形態によって違ってくることをご存知ですか?

一般的に、非正規雇用は正社員より低賃金で、退職金も期待できないとされます。そんな弱い立場で働く人が年金を増やす方法を、節約アドバイザーのヨースケ城山さんが教えてくださいました。

最近の雇用形態の実情とともに、保険のしくみを紐解きながら、さっそく見ていきましょう。

■いまの日本に非正規で働く人は約4割もいる

厚生労働省が2015年12月に発表した2014年の「就業形態調査」によると、民間企業で働く非正規社員は40.5%に達し、初めて4割の大台を超えました。

総務省の「労働力調査」(2014年)では、非正規の割合は役員を除く雇用者全体の37.4%という割合が算出され、およそ2.5人に1人が非正規雇用者というのが最近の実情です。

また、総務省の調査(2014年)によると、正社員として働く機会が見つからず、非正規社員として働く人(不本意非正規)の割合は、非正規全体の18.1%。

年齢層別では、25~34歳グループが28.4%と最多。「初就職者」の4割が非正規という統計もあり、大学新卒者で就職後、数年で転職する人の割合が増えている一因ともなっています。

加えて、非正規社員から正社員への転職も容易ではありません。総務省の「就業構造基本調査」(2012年)によると、過去5年間で転職した人のうち、非正規から正社員になった人はわずか24.2%にとどまります。

■たとえ非正規雇用でも厚生年金に加入できる

増加傾向にある非正規雇用者は、正社員より待遇が不利になりがちですが、適用条件さえ満たしていれば「厚生年金」に加入することができます。

正規雇用者と比べると低賃金のため、年金の受給額は少なくなりますが、企業と掛け金が折半されるので、「国民年金」にくらべると有利であることはいうまでもありません。

さて、ここまでに2つの保険の名前が登場しました。まずは「国民年金」について簡単にご説明しましょう。

これは基礎年金と呼ばれる保険で、収入に関係なく保険料は定額で、受け取る年金額は加入年数で決まります。保険料は、全額個人負担。会社勤めの人は、おそらく給料から天引きされていることでしょう。

一方の「厚生年金」は、国民年金に上乗せしてもらえる保険金のことで、会社勤めの人が対象になります。国民年金と違い、保険料は会社と折半で、もらえる金額も収入に応じて異なります。

「厚生年金」に、非正規雇用者でも正社員の所定労働時間および日数のおおむね4分の3以上働いていれば、加入対象者となるのです。

そのため、「非正規雇用でも厚生年金に加入しているなら、無理して転職する必要はないでしょう。厚生年金に加入しているだけでお得なので、低賃金で足りない分は副業などで稼ぐのも一案だと思います」と、ヨースケさんは話します。

■厚生年金が無理なら個人型の確定拠出年金を

厚生年金の加入資格がありながら、会社が加入してくれない非正規雇用者は、全国に推計で約200万人もいることが、2015年度の厚生労働省の調査で判明しました。

保険料の半分を負担すべき雇い主が、違法に「加入逃れ」をしている可能性が指摘されています。

厚生年金未加入が疑われている企業は、なんと79万社にのぼり、2016年4月から悪質な企業には立ち入り検査を実施し、強制加入させる方針で臨んでいます。とはいえ、そう簡単にはいかない大きな壁が、現実には立ちはだかっているのです。

なぜなら、厚生年金の保険料支払いは、中小零細企業にとっては死活問題でもあるから。加入したいけど払えない……。そのために、加入できないという状況なのです。

倒産の危険性もあるので、厚生労働省としても無理やり加入させることもできない……。しかし、労働者としては加入してもらいたい。そんな葛藤があるようです。

働く立場からいえば、同じ職場でじっと待つ方法もあります。しかし、いままで加入しなかった会社に今後を期待するのは難しいので、「個人型の確定拠出年金」で防衛しましょう。

掛け金の限度額は月額6万8千円。全額自己負担となりますが、全額所得控除となるため、国民年金の保険料に上乗せして所得控除の対象となります。

ヨースケさんは、「これが非常に有利な制度になります。引かれる所得税や住民税が安くなるのです」といいます。

これを使えば節税しながら老後資金準備もできます。最低でも月額5,000円からですが、国民年金基金が65歳からの支給開始に対し、確定拠出年金は60歳からの有期年金で、5年とか10年など期間が選べるので、60歳から65歳までのつなぎ資金にすることも可能です。

■国民年金を払えないなら免除か猶予申請を!

苦しい生活状況のときは、国民年金保険の支払いを免除したり猶予したりすることができます。免除や猶予の申請ができるのは、「低所得による免除」「失業等による免除」「若年者、学生等による猶予」といった種類があります。

支払いが苦しいことを申請しなければ、未納扱いになります。

それが、免除申請をしていると、国から半額負担で年金受け取り金額に含まれます(年金受取額は増えます)。猶予の場合は、追納しない限り金額には含まれません(年金受取額は増えません)ので、なるべく免除申請をおすすめします。

とはいっても猶予制度、免除制度ともに、受給期間には含まれるので障害年金や遺族年金の対象になります。未納扱いは、損をするので絶対に避けましょう。

非正規雇用とひと口に言っても、置かれた状況はさまざま。収入、年齢、家族構成などを考慮し、自分に合った年金の増額計画を立てましょう。

(文/山本裕美)

 

【取材協力】

※ヨースケ城山・・・節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナー、AFP、住宅ローンアドバイザー、年金アドバイザー。

著書は『給料そのままで「月5万円」節約作戦!』(ごま書房新社)。本の内容は、『らくらく貯蓄術。住宅ローン地獄に落ちない為の家計防衛のススメ。』にもまとめられている。

ブログ『節約アドバイザー ヨースケ城山ブログ』では、節約だけではなく転職活動、著書、社労士、FPのことを配信中。

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