ローンは最低2%!不動産投資の失敗パターンとその心理的な背景

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2016.06.30

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正社員としての終身雇用がもはや当たり前でなくなり、職場でいくらがんばっても稼げる給料の上限が見えてしまっている現在、不動産投資にトライする人が年々増加しています。

民泊ブームや、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに合わせた不動産ブームも、これに拍車をかけている模様。

「不動産投資」のキーワードで検索すると、「不動産オーナーになれば、不労所得が得られて老後は安泰ですよ」という業者の決まり文句がたくさん出てきます。

しかし不動産投資で成功する人がいる一方、失敗する人も後を絶ちません。いったい、なにが成否を分けるのでしょうか? そのポイントは、これまでの心理状況にあります。

■1:自分で勉強せず営業マンの話を鵜呑みにしてしまうパターン&背景

不動産投資は普通、必要資金が株や投資信託など他の投資にくらべて高額になります。では、投資する人がみな、きちんと時間をかけて下調べをし、冷静に投資戦略を練りに練っているかというと、実はそうでもありません。

むしろ勉強をあまりせず、不動産業者のいいなりになってしまう人が多いのです。

日常の食料品や消耗品などの少額の買い物ではあちこちの店を渡り歩き、値段や内容を比較してから買うのに、不動産という大きな買い物になった途端、思考がフリーズして不動産業者のいうことが情報のすべてと思いこんでしまいます。

「この物件は空室リスクがほとんどありません」「この物件を逃したらもう他はありません」という不動産業者の甘い言葉に引きずられて投資物件を購入した結果、赤字や借金を抱えて失敗してしまう……。

そんなタイプには、「幼少期、親や他人のいうことを鵜呑みにし、自ら冒険をあまりしてこなかった」ような真面目な人が目立ちます。

でも冒険する場合は自力で状況を調べ、対策を練ることが必要。そういった習慣がないために、営業マンの言葉を信じてしまうのです。

また、不動産業者の顔色をうかがってしまう人もこのタイプ。「なんかアヤシイ」「本当かな」と思っても、押しの強い営業マンに不機嫌な顔をされるのが怖くて聞けないのです。

■2:新築物件を建てて損をしてしまうパターン&背景

新築物件をイチから建てることを業者から勧められる場合も、最終的には損をします。

なぜなら、基本的に新築物件は販促のための人件費やパンフレット費用などのコストが上乗せされているため、中古にくらべて価格が高くなるのです。

また、悪質な不動産業者の場合、「これだとコストが安く済みますよ」と安い部材を購入させ、入居希望者が集まらなさそうな安っぽいアパートを建てさせることも。それでも不動産業者には管理料と建築費用が入るので、泣くのは大家だけなのです。

さらに、売却を念頭に置いた場合、新築物件は必ず損をします。新築物件は、購入した時点で20%価値が下落するからです。また、売却する場合には「物件の契約価格の3%+6万円」を不動産業者に払わなくてはなりません。

収入ダウンや老後のことを考えて不動産投資をはじめるケースが一般的ですが、相続の場面になったとき、お荷物となった物件を売却するのもよくある話。

つまり、投資用物件として新築を購入するのは、最初から「負け」の勝負をするようなものなのです。長期的に運用することが前提ならば、需要と供給のバランスで価格が決まる中古物件に投資すべきです。

しかし、なぜこんなことが起こるのでしょうか?

先述の「これまで親や他人のいいなりになってきた」こともありますが、「イメージや見た目に弱い」「新しいものがとにかく好き」な場合もまた多いのです。

普段から見栄を張ってしまうタイプ、ブランドイメージで買い物をしてしまうタイプは、その買い物が合理的かどうかをチェックしないため、ムダにお金を払ってしまう傾向にあるということ。

■3:資金計画がないor無理な返済計画を立ててしまうパターン&背景

不動産投資をする場合、資金を銀行から借りて不動産賃貸収入から返済をしていくのが一般的なパターンです。実は、不動産投資の最大のリスクはこのローンなのですが、ここで思わぬ痛手を被る人が少なくありません。

例えば、短すぎる返済期間で無理な返済計画を立ててしまう、「物件の購入価格=総コスト」と思いこみ、購入後にかかってくる税金やメンテナンス費用などを考慮していないなどがあります。

しかし、いちばんまずいのが、「住宅ローンの感覚で不動産投資のローンを組んでしまう」ケースです。

住宅ローンの金利は大抵0.8~2%ですが、不動産投資ローンはそれよりずっと高く、最低2%はかかります。また、不動産を登記する際の費用も、居住用住宅を購入する場合の3倍ほどかかります。

つまり投資の場合の不動産購入は、通常の住宅ローンとはまったく別物と考えなくてはならないのです。

なぜ、このようなことが起きるのでしょうか?

予測が甘い、不測の事態に備えないなど理由はいろいろありますが、総じて「最悪の事態を考えたくない」「いいことしか考えたくない」という無意識が働いているためだといえます。

実は、奥底には「失敗したらどうしよう」という不安が強く渦巻いているのですが、その不安と向き合うとダメな自分を目にして居場所を失うような感覚に陥るため、あえて考えないようにしているのです。

この他、「契約書を細部までしっかりチェックしない」「借り上げ保証や家賃保証に過度に期待する」「空室リスクを予測していない」などが不動産投資の失敗として挙げられます。

いずれも根底にあるのは、「自分の内側にある不安と向き合うのを怖れている」「自分の目や手や足を使って、情報を自ら集め、可能な限り投資のリスクを見極めようとしない」という点です。

不動産投資は、株式や投資信託にくらべてはるかにリスキーな投資です。この投資の失敗ひとつのために、一家離散や貧困といった不幸な事態に陥りかねません。

不確定要素の高い不動産投資においては、まず自分の力で徹底的にリスクを洗い出し、投資のメリットとデメリットを比較して判断することが必要です。つまり「大人としての責任と覚悟と決断」が求められるのです。

「難しいから」「大丈夫だといわれたから」であいまいにするのではなく、ぜひ「それは本当かな?」をクセにして、自分の責任で投資の判断を行うようにしてください。

(文/税理士・鈴木まゆ子)

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