軽減税率の真実!8%と10%の境目は?今後どんなトラブルが?

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2016.06.30

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消費税が8%から10%になるのに合わせ、軽減税率が導入されることになりました。

実施の時期は当初平成29年4月が予定されていましたが、世界経済の減速・不安定化と国内景気の冷え込みを理由に平成31年10月に延期。

つまり、いますぐではないけれど、いずれ必ず導入される軽減税率。導入後、私たちの生活はどのように変化するのでしょうか。

■軽減税率が適用されるものされないもの

実際に、軽減税率が適用されるものとされないものを見てみましょう。適用対象となるのは次のふたつ。これらについては、消費税が10%に引き上げられた後も、8%のまま据え置きとなります。

(1)定期購読契約が締結された、週2回以上発行される新聞

通常、朝刊や夕刊を取っているご家庭のポストに毎日届く新聞が該当します。また、スポーツ新聞や各業界の新聞であっても、内容が社会的事実を取り扱っていて、週2回以上発行されるものを定期購読しているのなら、8%の適用対象となります。

ただし、駅やコンビニなどで販売している新聞は該当しません。また、雑誌や書籍についても対象外となります。

(2)酒類と外食を除く飲食料品……だけど、ややこしい

ここでいう「酒類」とは厳密には酒税が課税されるものです。つまり、ノンアルコールビールは8%、普通のビールや発泡酒は10%となります。

「外食」は、みなさんがイメージしているとおり、普通のカフェやレストランでの飲食が該当するのですが、法律上の区分や考え方は実はかなり細かいのです。これについてはのちほど解説します。

また、仮に外食に該当しないとしても、モノによっては注意が必要です。

たとえば、「おもちゃつきのお菓子」や「ミニフィギュアつきのペットボトル飲料」など、純粋に「食べ物だけ」「飲み物だけ」ではないものについては、内容によって8%だったり10%だったりします。

販売価格が税抜1万円以下で、あきらかに食べ物や飲み物がメインだと思われるものについては8%税率が適用されることとなりますが、そうでないものについては10%の対象となります。

たとえば、お正月用のおせち料理でも中身によって適用税率が異なります。プラスチックのパックに入れられただけの3,000円のおせち料理については税率8%が適用されます。

一方、豪華な重箱に詰められた3万円のおせち料理については税率10%が適用されます。

なお、ケータリングや出張料理についても、日常生活での必要度の低さから、10%税率の対象となります。ただし、その出張先が老人ホーム等の場合は8%の適用対象となります。

■外食と外食以外がわかりにくい軽減税率

さて、先ほど、10%対象となる「外食」について、法律上の区分や考え方がかなり細かいと申し上げました。

単純に「カフェやレストランで食べるものはすべて10%」というわけにはいかないのです。それは、カフェやレストランでも、その場で食べるか、それともテイクアウトするか、飲食の仕方が人によってまちまちだから。

さらに最近は、イートインスペースを備えているコンビニもあり、ここでも「8%なのか? 10%なのか?」と混乱する可能性があります。

何だか頭がこんがらがりそうですが、基本的には次のように考えます。

(1)牛丼屋やカフェ、レストランなど、「食べたり飲んだりするためのテーブルとイスが置いてあるのが普通の場所」の場合 → テイクアウトや持ち帰りをしたら8%、お店で食べたら10%

(2)コンビニやパン屋、ケーキ屋など、「テイクアウトでも店内飲食でもどっちにもなりうるお店」の場合

・お店にイートインスペースがあって、店内飲食サービスを行っている場合 → テイクアウトや持ち帰りをしたら8%、お店で食べたら10%

・お店にイートインスペースはあるけど、店内飲食サービスをしていない場合 → 持ち帰り容器に入れて販売するのでテイクアウトのみと考えて8%

ただし、これはあくまでも「理屈の上での話」。現実に実施されたあとは、さまざまなトラブルが予測されます。

■軽減税率の導入後に予測されるトラブル

軽減税率が導入されたあと、予測されるのは「軽減税率の判断にともなうトラブル」。たとえば、次のような場面です。

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(1)年末、デパートのおせち料理を購入したお客様と店員さんとの会話

「ちょっと! このおせち、持ち帰りの食品なんだから8%でしょ! なんで10%なのよ!」

「あのー……、お客様。このおせち料理の重箱がひとつの商品でして、食品のおせちがメインだとは法律ではみなされないんです。だから10%なんですよ」

「なにいってんのよ! これ、プラスチックでできているじゃないの! 料理の方がずっと豪華よ! 8%よ、8%!」

(2)イートインスペースのあるパン屋さんでの会話

「持って帰って食べるつもりだったけど……。あら、コーヒー無料なのね。じゃ、ここで食べていこうかしら」

「ちょっとちょっとお客さん! あと2%分払ってくださいよ!」

「えっ、なんでよ? もうお会計は済ませたじゃない! 消費税だって払ったわよ!」

「それは8%分でしょ、テイクアウトの場合です。イートインスペースで食べるのなら10%の消費税なんですよ」

最近では、イートインスペースを備えたコンビニも増えています。国税庁の軽減税率制度対応の部門の方いわく、「お会計の都度、いちいち『テイクアウトですか? それともイートインですか?』と聞けばいい」とのこと。

しかし、お昼時などの混雑しているときにいちいちそれを聞くのは面倒ですし、お客さんのイライラも増大します。

さらに、最初からイートインスペースで食べるつもりであっても、2%節約のために「テイクアウト」という可能性もあります。途中で気が変わって店内で食べていく人に店員もわざわざ「追加分の2%払え!」などとはいいたくないでしょう。

「食べ物の消費税は8%据え置きなの? やったぁ! 助かるぅ~」と思う人は多いかもしれません。しかし実際には、おそらく2%のお得分を上回るだけの面倒くささやトラブルの可能性が待ち受けているのです。

(文/税理士・鈴木まゆ子)

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