4~9歳は経験値を増やすべし!子どもの「生きる力」を育む方法

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2016.07.02

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『4歳~9歳で生きる基礎力が決まる!  花まる学習会式 1人でできる子の育て方』(箕浦健治、高濱正伸著、日本実業出版社)の著者は、1993年に「花まる学習会」を立ち上げた人物。

ご存知の方も多いと思いますが、「花まる学習会」は「生きる力」を育み、「メシが食える大人=自立・自活できる人」、「モテる大人=魅力的な人」を育てることを最終目標にしているユニークな学習塾として知られています。

いわば著者は、幼児から大学生まで、教育の現場で数多くの子どもたちを見てきた実績を持っているということ。

興味深いのは、そうした経験に基づき、生きる力を育むうえで最良の時期は「4歳から9歳」の幼児期だと主張している点です。

■人間は成長すると全く違う生き物になる

子どもについて話すとき、花まる学習会では「人間は“変態”する生き物である」ということからはじめるのだそうです。変態とは、「全く違う生き物になる」こと。

たとえれば、9歳くらいまではオタマジャクシ。個人差はあれど、10歳くらいは足の生えたオタマジャクシ。そして10歳以降は、しっぽの短くなった“ほぼカエル”=大人になるのだということ。

オタマジャクシである9歳の子どもに「陸の上で飛び跳ねなさい」といっても、子どもにとってはつらいだけ。オタマジャクシがカエルのように振る舞うことは、どんなにがんばっても無理だからです。

だからこそ、そのことを理解しない親の過度な叱責や期待は、子どもの自信喪失につながると著者は訴えています。

自信を失った子どもは、時期が来ても陸に上がらず、水のなかで過ごすカエルになってしまうかもしれないとも。

■4~9歳の子どもはできなくて当たり前

著者はよく、4~9歳の子どもを持つご両親から「うちの子、じっと座っていられないんです」「何回いってもわからないんです」というような相談を受けるそうです。

でも、それこそが4~9歳の特性。そう考えれば叱る理由はなくなり、「できなくて当たり前なんだ」と思えるはず。

親にとってつらいのは、まれに「できる子がいる」ことだとか。そういう子がいると、したくないのに我が子と比較してしまい、「うちの子はこのままでいいのか」と心配になってしまうわけです。

でも、子どものことはなんでも心配になるのがお母さんで、それが「母という生き物の特性」。たしかにそう考えると母としての自覚を持つことができ、子どもと向き合うことができるのではないでしょうか。

子どもとは、母とは、どういう生き物なのか? その特性を知れば子育てが楽になり、子どもの成長の芽を伸ばす工夫ができるようになるということ。

■両親の声かけや温かなまなざしが大事!

個人差こそあるとはいえ、子どもは9歳ごろまでは、「自分はなんでもできる」と思っているのだそうです。

でも実際は、できないことだらけ。生まれてすぐは立って歩くことすらできないのに、なんでもできると思っている。だから、はじめは臆することなく挑戦できる。

挑戦した結果、できなかったとしても、お父さんやお母さんからのプラスの声がけや温かなまなざしがあれば、「自分はいつかできる」と思うことができ、また挑戦できるわけです。

つまり、お父さん、お母さんがプラスに受け止めることで、子どももプラスに受け止めることができるという考え方。

ここからもわかるように、4~9歳は、生きる基礎力が育まれる時期。そのため、「思いやりの心」「たくましい心」を“生きる基礎力”として身につけられるような経験、そしてまわりの人の態度や言葉が重要だというのです。

■4~9歳は「経験の総量」を増やすべし

私たち大人は経験上、「なにが大変でなにが危ないか」をわかっているもの。そのため子どもに対しても、つい先回りをして準備したり、子どもの行動を止めたりしてしまいます。

たとえば雨が降りそうだと思ったら、傘を準備しておく。ケンカになりそうだと思ったら、ヒートアップする前に止めてしまうなどがそれにあたるわけです。

しかしそれでは、いつまでたっても子どもは「わからない」まま。

空がどんな色をしていたら、空気がどんな匂いだったら雨が降りそうなのか。相手にどんなことをしたらケンカになるのか、どんなことをいったら相手は起こるのか。

経験しなければ、自然のことも、相手の気持ちもわからないまま。だとすれば結果的には、相手を思いやることができない大人に育ってしまうでしょう。

そこで4~9歳の幼児期に、「経験の総量」をできるだけ増やしてあげることが大切だと著者はいいます。

親としてはつい手を貸したくなりますが、4~9歳の子どもは激しいケンカをしても翌日にはケロッと忘れてしまうもの。

「忘れやすい」「恨みを持たない」「自分はなんでもできると思っている」時期だからこそ、子どもに自由にやらせてあげることが大切。

いいかえれば、この時期に「思いどおりにならない経験」をたくさん積むことが、子どもにとっても成長のチャンスだということ。

花まる学習会式の考え方は、ひとつひとつが核心を突いていて痛快。読んでみれば、気づけなかったことに気づくことができるかもしれません。

(文/作家、書評家・印南敦史)

 

【参考】

※箕浦健治&高濱正伸(2016)『4歳~9歳で生きる基礎力が決まる!  花まる学習会式 1人でできる子の育て方』日本実業出版社

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