夫が「6ヶ月間の育休」をとるだけで大違い!女性の新しい働き方

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2016.07.11

jyosei12

子育て中の女性にとって、仕事と育児の両立は難題です。そのため90年代以降、企業側は育児休業や時短勤務制度の充実を図ってきました。

でも、その流れは「制度を活用すればするほど、職場で経験を重ねるチャンスを失いキャリアアップから遠ざかってしまう」という問題もはらんでいます。

両立のカギを握るのはやはり、夫の存在。

朝日新聞社が主催したシンポジウムをまとめた書籍『「女性にやさしい」その先へ “資生堂ショック”から新しい働き方を考える』(AERA編集部・大沢真知子編著、朝日新聞社)を参考に、女性の新しい働き方について俯瞰してみましょう。

■議論のきっかけは「資生堂ショック」

女性の新しい働き方に関心が高まった直接のきっかけは、2014年に化粧品大手・資生堂が打ち出した、美容部員への働き方改革でした。

育児中などで1日2時間の時短勤務制度を利用する美容部員の働き方を見なおし、可能な限り、来客が多い夕方以降の遅番や土日勤務にもついてもらうというもの。

時短勤務の制度自体はそのままで、あくまでも面談で一人ひとりの事情をよく聞きとった上で「月1回から」など、柔軟に取り入れていくものです。

それでも、週刊誌AERAが“資生堂ショック”と名づけたこの改革は、世間に賛否両論を巻き起こしました。

そのなかには「女性にやさしくなくなった、後ろ向きな改革だ」といったネガティブな反応だけでなく、「育児はしっかりしたいけれど、キャリアもあきらめたくはない」という女性からの前向きな反応もあったのです。

■あえて「育休期間を短縮する」企業も

育児中の女性を積極的に戦力化していく流れは、ほかの企業でも動き出しています。

キリンビールでは、育休期間を「子どもが3歳に達するまで」から「2歳に達するまで」にあえて短縮。

一方で、時短勤務を長さによって3パターンに分けるなど働き方の選択肢を増やしています。

みずほ銀行でもフレキシブルな勤務制度を再考。時短勤務中でも、忙しい五・十日や月末月初には、事前申請でフルタイム勤務できる体制を整えました。

時短勤務が長引けば、それだけ職場での実務経験がほかの社員よりも減ることは事実。それだけ将来の昇進や昇格も遠ざかり、補助的な役割を担うことが多くなります。

そしてキャリアアップをあきらめる――そうしたキャリアコースを陸上競技になぞらえた“マミートラック(ママ専用トラック)”という言葉も生まれています。

「子育て優先」の働き方を選ぶのか、キャリアアップを視野に入れるのか。育児世代の女性が、働き方を自分で選択できる時代がはじまっています。

■政府目標は男性の「7人に1人以上」

本書は、これらを背景にことし1月と2月に行われた「女性と企業フォーラム」の議論の様子を収録。女性が「家庭」と「職場」とのバランスを自分で決めるためになにが必要か、企業、働く人それぞれの視点から議論されました。

そこで特に議論されたのが、男性の育休取得について。

シンポジウムでは、「男性が最低1ヶ月以上の育児休業を取って主体的にかかわれば、その後の夫の育児参加のきっかけになる」といった意見や、「『週何回』といった回数ではなく、育児や家事を旦那さんと『半分』というところからスタートしたらうまくいった」といった経験談も語られました。

2014年度雇用均等基本調査によれば、男性の育児休業取得率は2.3%。

政府目標は、2020年までに男性の育児休業取得率13%。割合にして7人に1人以上です。男性の育休取得者をいかに増やすかが、女性の新たな働き方のカギを握っているといえます。

■男性の育休が女性の活躍を後押しする

制度上は、男性も育児休業を取得することが可能です。

育児・介護休業法とそれに基づく各制度は、男女労働者が対象。会社に規定がなくても、申し出れば育児休業を取得することができます。

育休可能期間は、子どもの1歳の誕生日前日まで。夫婦ともに育休を取得した場合は1歳2ヶ月に延長され(パパ・ママ育休プラス)、その間にそれぞれが1年間を上限として取得できます。

加えて、所得保障も拡充しています。

育休期間中、資格を満たすと雇用保険から支給される「育児休業給付金」。これにより6ヶ月間、最大で給料の3分の2が支給され、所得税もかかりません。育休中は、社会保険の保険料も免除されます。

つまり、6ヶ月間は手取りがほとんど減らないということ。

出産後、妻が6ヶ月間育休をとって復職し、入れ替わりで夫が6ヶ月間育休をとれば、1年2ヶ月の間、世帯収入がほとんど減らない仕組みになっているのです。

制度を積極的に利用し、夫が積極的に育休を取得していくことが、女性の本当の意味での「活躍」を後押しします。

本書では、「女性と企業フォーラム」シンポジウムで紹介された企業の事例や、実際に育児とキャリアアップを両立させているワーキングマザーの生の声を知ることができます。

シンポジウムは700人の定員に合計1,500人の応募があったそう。このことからも、女性とキャリアへの関心の高さが伺えます。女性が、自分にとって最適な「仕事」と「家庭」のバランスを自分で考える。そのきっかけになる1冊です。

(文/よりみちこ)

 

【参考】

AERA編集部・大沢真知子編著(2016)『「女性にやさしい」その先へ “資生堂ショック”から新しい働き方を考える』朝日新聞社

改正育児・介護休業法のあらまし―厚生労働省

育児休業給付の内容及び支給申請手続きについて―ハローワーク

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