「慰謝料=高額」はウソ!離婚の慰謝料についての知られざる真実

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2016.07.13

suzie.20160713

「男女平等」が叫ばれてはいるものの、現実的には女性が我慢を強いられる場面がまだまだ多い。

いまの日本の状況についてそう実感しているというのは、『くたびれない離婚 – じっと我慢したまま、もう何年ですか?』(吉成安友著、ワニブックス)の著者。

2007年に弁護士になってから、多くの離婚事件に携わってきたという人物です。

つまり、そのような経験を軸として、「抑圧された結婚生活にくたびれ、離婚を切望しているような女性たちの助けになれば」という思いで書かれたのが本書だというわけです。

きょうはそのなかから、なにかと誤解されることも多い「慰謝料」についての記述に注目してみたいと思います。

■一般的な慰謝料の額は100万円以下

そもそも慰謝料とは、相手方が不貞行為、DV、モラハラなどの不法行為を行ったことによって被った精神的被害に対する賠償。

そして離婚の際の慰謝料には、「不貞行為等によって生じる苦痛の慰謝のためのもの」と「離婚そのものによって生じる精神的苦痛の慰謝のためのもの」があるそうです。

ただし、裁判の場合も、合意によって決める場合も、基本的には両者を区別せず、一括して処理するのが通常だとか。

実際のところ、離婚の訴訟で認められる慰謝料は、それほど高額ではないのだといいます。

よく芸能人の慰謝料が何千万円などというニュースが話題になることがありますが、「そうした報道の多くは、おそらく財産分与と区別がされていないのではないか」というのが著者の見解。

実際、家庭裁判所が公表している2011年の認容件数は次のとおりだとか。

・100万円以下 208件(28.2%)

・200万円以下 196件(26.6%)

・300万円以下 183件(24.8%)

・400万円以下 53件(7.2%)

・500万円以下 60件(8.1%)

・500万円以上 37件(5.0%)

このように100万円以下がいちばん多く、300万円以下が8割。不貞のケースでも、通常は100万円から300万円くらいだといいます。

■慰謝料は3年が時効なので注意が必要

少し意外ですが、慰謝料請求権は、事実を知ってから3年が経過すると時効によって消滅するのだそうです。

ただし3年を経過する前に、裁判を起こして請求をした場合は、時効が中断するとか。

また、相手がちゃんと払うと約束したり、「ちょっと待ってくれ」というような発言をした場合、つまり相手が債務を承認した場合にも事項は中断し、それから再度3年が経過しないと時効にならないといいます。

さらに、3年が経過したあとでも、相手が慰謝料を支払うなどと言った場合は、時効の利益を放棄したことになり、請求ができるそうです。

■浮気相手に慰謝料は請求できるのか?

不貞の場合、不貞相手に慰謝料請求を行うことも可能。不貞相手にだけ請求することも、配偶者と不貞相手の両方に請求することもできるといいます。

ただ、不貞相手が結婚の事実を知らずに関係を持ち、知らないことに過失もないような場合は請求することは不可能。婚姻関係がすでに破綻している場合にも、請求はできないそうです。

なお、この点については浮気相手から、「結婚しているのは知っていたけれど、妻とはもう婚姻関係が破綻していて、離婚することになっていると聞いていた」との主張がされることがあるとか(よく聞く話ですね)。

しかし実際には破綻していなかった場合、そう聞いていたからといっても、ほとんどの場合は責任を逃れることはできないといいます。特に別居もしていないような場合、婚姻関係が破綻していると信じたとしても、過失がないとはいえないものなのだそうです。

ただし、一方から十分な賠償を受けた場合は、他方に請求することはできないといいます。

精神的損害なので、どれくらいが十分なのかは曖昧な面もあるものの、片方から通常の上限の300万円を受け取っていたとしたら、もはや他方には請求できない場合が多いと著者は考えているというのです。

■事情によっては慰謝料の額が低くなる

また、不貞相手にだけ請求をした場合、配偶者への請求の場合よりも額が低くなる傾向があるのだとか。

判決になった場合の相場が100~200万円だといっても、事情によってはもっと低くなる場合もあるということです。

学説上は不貞相手への請求を認めるべきではないとする見解や、制限すべきとする見解も有力になってきているのだとか。感覚的には、裁判所も以前よりは額の面で低くしている感じもあるのだそうです。

先に触れたとおり「離婚=高額な慰謝料」というようなイメージはたしかにありますが、現実はそれほど甘いものではなさそうです。

しかしいずれにせよ、離婚問題で疲れている人は、本書で知識をつけておくべきかもしれません。もちろん、離婚することなく円満な夫婦生活を続けることこそが理想ですが……。

(文/作家、書評家・印南敦史)

 

【参考】

※吉成安友(2016)『くたびれない離婚 – じっと我慢したまま、もう何年ですか?』ワニブックス

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