暑い夏でも、おいしいやきとりとビールの組み合わせは最高ですよね!
全国には、やきとりを名物にしているお店がたくさんありますが、ご当地グルメとしてやきとりを盛り上げているのが『全国7大ご当地やきとり』。
「北海道美唄市」「北海道室蘭市」「福島県福島市」「埼玉県東松山市」「愛媛県今治市」「山口県長門市」「福岡県久留米市」の7都市が、『やきとりのまち』として名乗りを上げています。
■ご当地やきとりクイズ・問題編
突然ですが、ここでクイズです!
『全国7大ご当地やきとり』のうち、「北海道室蘭市」「埼玉県東松山市」「福岡県久留米市」のやきとりには、他の市とは明らかに違う特徴があります。
さて、その特徴とはなんでしょう?
これを知っている人は、かなりのご当地グルメ通といえるレベルです。
■ご当地やきとりクイズ・解答編
もちろん、答えを見る前にインターネットで検索してはいけません。それぞれの市のやきとりにはどんな特徴があるか、想像できましたか?
……答えは、ズバリ「鶏肉を使っていない」こと。
実は「やきとり」という料理名は、必ずしも鶏を使うものとは限らないのです。
室蘭市と東松山市では「豚肉」を、久留米市では「馬肉」を使った料理に対して「やきとり」の名称が使われています。
■室蘭・東松山・久留米のやきとり
[室蘭やきとり]
豚ロース肉とタマネギを串に刺して炭火で焼き、タレと洋がらしで食べるのが「室蘭やきとり」。
昔は北海道では鶏肉より豚肉の方が安く手に入ったため、このやきとりが広まったそうです。また、タマネギは長ネギより長期保存が可能なので、雪の多いこの地域に適しているうえ、豚肉との相性もバッチリです。
室蘭は鉄鋼業などで発展した地域。鉄鋼所で働く人たちが仕事を終えたあと、お酒を楽しむために、気軽に入れるやきとり店が賑わったとされています。
[東松山やきとり]
東松山市のやきとりは豚の「カシラ肉」を使うのが特徴。これは豚の頬やこめかみといった頭の部分の肉のことです。埼玉では江戸時代から豚が飼われていたため、豚肉がよく食べられてきました。
カシラ肉は捨てるか加工品にするくらいしか使われていなかったのですが、昭和30年代ごろからやきとりに使われるようになりました。辛い味噌ダレをつけるのも、東松山やきとりならではの食べ方です。
[久留米のやきとり]
久留米のやきとりでもっとも特徴的なのが、馬肉を使ったやきとり。一部の店では馬の内臓を使ったやきとりもあります。
また、豚バラや豚の内臓、野菜と肉を組み合わせたものなど、市内のやきとり店では様々な創作やきとりがつくられています。
久留米にはゴムの加工工場が多くあり、工場で働く人たちの間で安くておいしいやきとりが人気となり、お店が増えていったそうです。
[今治のやきとり]
江戸時代以前は「やきとり」といえばその名のとおり、鶏肉を使った焼き物を指していました。しかし近代以降は、牛や豚の臓物を食べる文化が浸透し、それらもまとめて「やきとり」と呼ばれるようになっていったのです。
全国やきとり連絡協議会によると、やきとりの定義は「鳥肉や鳥・牛・豚などの臓物を焼いて、塩やたれなどをつけたもの。串に刺されたものも多い」とされています。
ちなみに、愛媛県今治市のやきとりは、鶏肉を串に刺さずに鉄板で焼いたもの。素材だけでなく、形状や調理法も地域によって異なるのがおもしろいですね。
また、多くの店でやきとりを焼くのに使われている「備長炭」は、他の炭よりも高温で火持ちがよく、その温度は1000℃を越えるとされています。炎が立たず、煙が出づらいのも、やきとりに適しているポイントです。
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それぞれの地域で独自のやきとりが生まれたことには、きちんと理由があるのですね。全国各地のやきとりを食べ歩くのも、旅行の楽しみのひとつではないでしょうか。
(文/平野鞠)
【参考】