人格否定が当然の40代に若手が疲弊!会社員がうつ病になる理由

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2016.07.18

funami

内閣府の調査によれば、平成26年中における自殺者の総数は25,427人。若干の減少傾向にあるともいわれていますが、年間に約3万人が自ら命を絶つという現実がそこには存在します。

また、うつ病を含むメンタルヘルス疾患の患者は、平成20年には104万1,000人に達しており、平成24年に精神障害で労災認定された人は、3年連続で過去最多を更新しています。

このような状況を鑑みれば、メンタルヘルス対策は緊急課題だと判断することができます。

私たちは、この問題に対してなにから取り組むべきでしょうか?

『職場がイキイキと動き出す 課長の「ほめ方」の教科書』(左右社)の著者であり、企業向けのメンタルヘルス対策に取り組んでいる、船見敏子さんにお話を伺いました。

■上司と部下の間には世代間ギャップがある

年間に約3万人の自殺者が発生しているということは、毎日80人弱が自らの命を絶っていることになります。

ここに自殺予備軍を含めれば、かなりの数値になることが予想されます。原因については諸説があるものの、数が減らないということは、そこに根本的な問題が潜んでいると考えることができます。

メンタルヘルス疾患については、一般的に問題視されているものとして、パワハラ上司の存在があります。これは組織分析などを実施すると傾向が明らかになります。

たとえばパワハラ上司の影響によってマネジメントがともなわない部門は、業績が低迷していたり、離職率が高かったり、メンタル不調者が多いなどの傾向があるからです。

これらの情報は、人事データとして会社で把握していると思うので、社内の各部門と紐付けをして比較をするだけでも、結果に対する要因が明らかになると思います。

「最初に、管理職やリーダーのマネジメントスタイルについて、棚卸しをする必要があります。これは上司のテクニカルな問題ではなく、世代間における意識の違いを把握しているかという点が重要です」(船見さん)

現在の管理職に多い40代は、俗にいうバブル世代です。バブル景気を経験したこの世代には、イケイケで、チャレンジ精神旺盛な人が少なくありません。

■上司がギャップを認識しないと変わらない

ちなみに上の世代には「新人類」(世代区分として1961年生まれから1970年)がいて、下の世代には「団塊ジュニア」(第二次ベビーブームの1971~1974年)が存在します。

一方で、いまの若手はジェネレーションZ(1990年以降に生まれた層)といわれる世代です。草食系という言葉があるように、彼らはガツガツせず、傷ついたり傷つけたりすることが苦手な傾向があります。

「いまの40~50代は若いころ、上からガツンと怒鳴られ怒られダメ出しされて育ってきた世代ですね。ところが、部下になる若手にはそのような免疫がありません。上司から怒鳴られ、失敗すれば詰問され、人格にダメ出しをされ、参ってしまうのです」(船見さん)

上司が世代間における意識の違いを認識しない限り、この傾向は変わりません。「よかれ」と思って指導したことが、部下にとっては「パワハラ」として認識されてしまう可能性があるのです。

■上司は「怒ると叱る」の違いを理解すべき

これらの問題は、マネジメント研修やコミュニケーション研修などのテクニカルスキルで解決できるものではなく、世代間ギャップが存在することを認識することからはじめるべきです。

上司は、時代背景を理解して自らの指導法を見つめなおさなくてはいけません。「最近の若者は折れやすい」といった傾向からもわかるとおり、プレッシャーやストレスを与えてもなんら好影響を与えないことを理解しなければいけません。

船見さんは、上司が理解すべきこととして「怒る」「叱る」の違いを挙げています。

この2つの違いとは、相手と自分、そのどちらを大事にしているかという点にあるそうです。

「『怒る』は、相手の行動によって感じた怒りを一方的にぶつける行為です。自分の感情を表現しているため、相手の気持ちは大事にしていません。一方、『叱る』は相手のためを思って教え諭す行為です。相手のことを大事にしているわけです」(船見さん)

実際の現場では、「怒る」が圧倒的に多いのではないかと思います。しかし、成果が出ないことに怒ったところで結果は変わりません。

■人格否定せず具体的に改善点を説明すべき

「怒る」「詰める」が危険なのは、人格否定につながることです。

たとえば、成果が挙がらない時に、「もういいよ、お前は!」「お前は、本当になにもできないんだな!」「お前は給料泥棒か!」と罵ったところで、本人は意気消沈してモチベーションが下がるだけです。

「このケースでは、『お前』という人格を否定しているだけです。こういう場合は、『これについては、こうすべきだったね』と、行動に対して注意をすべきです。自分の感情に振り回されないようにクールダウンしてから『叱る』ようにしましょう」(船見さん)

いま上司には、安定的に成果を挙げるマネジメント力が求められています。

しかし、どんなに高度なテクニカルスキルを学んでも、部下との信頼関係が構築できていなければ成果を挙げることはできません。

部下がいる方は、今日できることとして「怒る」「叱る」の違いが理解できているか、確認する作業をしてみてはいかがでしょうか。

(文/コラムニスト・尾藤克之)

 

【取材協力】

※船見敏子・・・心理カウンセラー、メンタルヘルスコンサルタント。産業カウンセラー、2級キャリア・コンサルティング技能士、メンタルレスキュー協会CPSを保持。

 

【参考】

7/27 (水) 船見敏子先生 不調者を出さない“ほめ”マネジメント講座-左右社

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